決済承認率改善コンサルティングを手がけるYTGATEは3月26日、全国の自社ECを運営する企業200社を対象に実施した「決済環境の可視化診断」の結果を公表した。クレジットカード決済を試みた件数のうち、実際に決済が完了した割合を示す「決済承認率」は、平均85.4%、中央値は88.0%だった。
承認率85%未満が36.5%、低水準層が平均を押し下げ
診断結果をA〜Hの8段階で分類したところ、承認率85%未満のDランク以下に該当する企業は73社(36.5%)だった。
平均値(85.4%)と中央値(88.0%)の差は2.6ポイントあり、承認率が極端に低い事業者の存在が全体平均を押し下げている。最も低いHランク(65%未満)に該当する9社の平均は42.3%で、全体平均を40ポイント以上下回った。
また、年商規模が同等の事業者でも承認率には最大62.7ポイントの差があり、決済設計や運用の違いが大きく影響している。
業種別では食品・飲料が高水準、家電は低迷
業種別の平均承認率では、「食品・飲料」が89.9%と高水準。一方で「家電」は76.1%と低く、業種間で13.8ポイントの差が生じた。
YTGATEは、商品単価、不正利用リスク、3Dセキュアの運用、決済代行(PSP)の設定、カード発行会社(イシュアー)の審査方針など、複数の要因が承認率に影響すると分析している。
業種別の傾向と主な要因
主な業種の平均承認率と特徴は次の通り。
- アパレル・服飾雑貨:85.3%
高単価ブランドほど与信枠や本人認証の影響を受けやすく、返品率もリスクスコアに影響する可能性がある。 - インテリア・家具:87.5%
高額商品が多く、3Dセキュア導入初期に承認率が低下するケースがある。 - ギフト:86.9%
配送先と決済者が異なるため、不正検知にかかりやすい。 - スポーツ・アウトドア:80.7%
高額・限定商材で転売目的の不正リスクが高まりやすい。 - デジタルコンテンツ:83.7%
継続課金モデルが多く、初回決済のエラーがLTVに影響。 - ホビー・エンタメ:87.8%
短期間で決済が集中し、イシュアーの審査差が出やすい。 - 家電:76.1%
高単価かつ不正対策強化の影響で、承認率が最も低い。 - 食品・飲料:89.9%
日常消費で安定するが、ギフト期は一時的に低下する傾向。 - 日用品・生活雑貨:86.5%
購買意図が明確で、不審取引が発生しにくい。 - 美容・健康:88.2%
定期購入モデルが多いが、高単価商品では不正リスクが影響。 - 旅行・交通:82.5%
高額・前払い・変更リスクにより不正検知が働きやすい。 - 百貨店:84.1%
高額商品比率が高く、認証離脱リスクも影響する。
「承認率」は見えにくい機会損失
YTGATEは、決済承認率は業種や客単価、決済手段の構成によって大きく変動する一方、定期的に把握している事業者は多くないと指摘。「知らないうちに売り上げを取りこぼす要因」になりやすい指標だと位置付ける。
同社は目安として承認率95%以上を推奨。数%の改善でも売り上げへのインパクトは大きく、特に高単価商材やサブスクリプションモデルでは重要性が高いとしている。
調査概要
- 対象:全国の自社EC事業者200社
- 内容:各社の決済データをもとにYTGATEが分析・集計
- 評価:承認率をA〜Hの8段階で分類(A:100〜95%、B:95〜90%、C:90〜85%、D:85〜80%、E:80〜75%、F:75〜70%、G:70〜65%、H:65%未満)
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