通販新聞[転載元] 2023/3/29 7:00

ジェネレーションパスでは、国内外でネット販売を展開する「ECマーケティング事業」が拡大しており、2022年10月期の同事業の売上高は前年比14.9%増の124億8300万円となった。コロナ禍の巣ごもり需要が落ち着きを見せる中、2ケタ増の成長を果たしている。事業拡大の背景や今後の市場展望、成長戦略について岡本洋明社長に聞いた。

ジェネレーションパス 岡本洋明社長
ジェネレーションパス 岡本洋明社長

円安効果で増益。ネックは商品不足

――22年の業績を振り返って。

営業面では順調に売り上げが伸びた。ただ、21年はコロナ禍に伴う巣ごもり需要の影響があって伸びたが、22年はそこまでの伸びではなかった。円安が急速に進んだことで、EC事業に関しては輸入品が多いことから収益面でマイナスに働いた。

海外向けの事業も行っているため、そちらは円安となったことで大きな利益があった。(海外は商品企画関連事業で)中国やベトナムなど現地で売っている商品が円安効果で好調だった。22年10月期の最終利益においては円安効果による為替差益がかなり大きかったと思う。

――コロナの反動減を受けた国内ECでは市場で商品の絞り込みも見られるが。

絞り込みは行っておらず、今は約200万点を取り扱っている。季節ごとの入れ替えなどがあるため(常時)その内150万商品を出している状況。コロナ前の状態に近い品揃えになった。

コロナ禍では日用品や一部家電も多くあったが、今は以前の状況に戻っている。最近になり外出機会が増えたので、またアウトドア商品なども売れるようになった。一方でインテリア・家電は20年、21年ほど伸びていない。また、わかりやすいところではマスクなどの衛生関連用品などの動きもそこまで見られなくなった。

「リコメン堂」トップページ(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
「リコメン堂」トップページ(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)

――22年に好調だった商品群は。

何かが突出したということではなく、全体的に伸びたことで(連結売上高では)前年比120%増となった。むしろ、22年に一番問題だったのは、商品が足りなくなっていたこと。もしも十分に商品が揃っていれば150%は伸びていたと思う。

円安や原材料高の影響を受けて、メーカーが生産に慎重になっていたこともある。加えて、中国のゼロコロナ政策によって、現地の生産工場が稼働しなくなり、商品自体の供給ができなくなったことも大きい。

ジェネレーションパスは元来、商品力に強みを持っている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
ジェネレーションパスは元来、商品力に強みを持っている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

“ネットで買うときの参考に”――。キュレーションサイトのニーズ高まる

――家具キュレーションサイトの状況は。

(アフィリエイト収益などによる)売り上げベースが前年比150%~170%に上がっている。今は完全に1つのチームを作って運営していて、徐々にインテリア関係からギフト関連情報など様々な内容で横展開して伸びた。来期くらいには1つのセグメントとして会計上にあがってくるのでは。

とにかく、キュレーションサイトのニーズがすごく高いと感じる。コロナ禍でECが注目されていき、色々とネットで商品を探す機会が増えたので、メディア系の情報を参考にする人が多くなったこともあるだろう。

今は、外部のライターと社内の人間を使って記事を作っている。あまりに自社のECに引き込むような導線だと恣意(しい)的に感じられてしまうので、他社で扱っている商品の情報も色々と発信している。

客観的にさまざまなサイトの中で商品を比較して、良いものを選んでもらえればと思う。

ジェネレーションパスが運営する家具キュレーションサイト(画像はキュレーションサイト「IECOLLE(イエコレクション)」トップページを編集部がキャプチャ)
ジェネレーションパスが運営する家具キュレーションサイト(画像はキュレーションサイト「IECOLLE(イ
エコレクション)」トップページを編集部がキャプチャ)
「IECOLLE」を含む、メディア事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
「IECOLLE」を含む、メディア事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

貿易仕入れは50%に引き上げる計画

――前期に注力した取り組みは。

貿易に力を入れた。以前は中国から商社経由で仕入れていた商品が、昨今の為替や原材料高の影響で今までと同じ工場では製造できなくなってきたケースがある。

であれば、こちらから中国に人を配置して、直接、現地の工場に作ってもらったり、日本で売るための商品を新しく作ってもらうような交渉をしている。今も商社経由で調達している商品もあるが、少しずつ自社化している

すべての商品ではなく、ある程度のボリュームが取れそうなものについてとなる。テーブルなどの大型商品をはじめ、機能性を持った家具・家電などが中心。もちろん、当社の既存の取引先(メーカーなど)が、(現地で調達先としている)工場や取り扱い商品などは基本的に避けている。

家具・家電を中心に自社製造を進めている(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
家具・家電を中心に自社製造を進めている(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
中国とベトナムに自社工場を持つ。品質を保つため、現地スタッフの育成にも力を入れている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
中国とベトナムに自社工場を持つ。品質を保つため、現地スタッフの育成にも力を入れている(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

――海外から直接調達することのメリットやデメリットは。

海外での自社の直接調達は、当然、利益が得られるようにやってきたが、逆に前期は円安の影響で痛かったところ。為替のタイミングは読むことができないが、ここはやらなくてはいけない。現在の極端な為替の問題が解消されれば粗利益率は上がる。

一般的にモノづくりは(完成まで)半年から、短くても3か月はかかるが、為替もその間で大きく変わることがある。何かの問題が起きて海外から商品が入りづらい状況になったり、ゼロコロナで現地の工場が止まることもあるだろう。

(小売りにとっては)商品がないことは何よりも大きな問題だ。今のところ貿易で仕入れている商品は全体の20~30%程度だが、ゆくゆくは50%程度まで伸ばしたい

2023年のEC市場は“市況読みにくい”

――2023年のEC市場の展望について。

正直、わかりづらい面がある。たとえば、越境ECやインバウンドなどの需要が(23年1月の)現時点ではそこまで見込めず、わからない状況となっている。もしかするとこのインバウンド需要が大きなうねりになる可能性もあるが、今の段階ではっきりとこれくらいの数字になるとは出しづらい。

たとえば海外からの旅行者は航空機で日本に来るが、航空需要が回復しているとはいえ、中国などからの飛行機の便数はコロナ前よりもまだかなり少ない状況。

また、仮にインバウンドで大量の観光客が日本に来るようになって実店舗で商品がどんどん売り切れるようになれば、国内の消費者はリアルよりもECで買い物をするようになることも考えられる。

とは言え、国内EC市場という観点で考えると、引き続き安定的な成長が見込める。コロナによって、EC未経験者の利用が増えてきたことは間違いない。ただ、石油価格の上昇で物流費の値上げなどが起きるとそれが大きな足かせになる可能性はある。

ECマーケティング事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)
ECマーケティング事業の事業戦略(画像はジェネレーションパスの公表資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」から編集部がキャプチャ)

――相次ぐ商品値上げによる消費環境への影響は。

今のところ、消費者側が許容しているような印象を受ける。おそらく、あらゆる商品が値上がりしているので、もうこれに対してはしょうがないという向きも持ってしまっているのでは。

日々使うような商品が1000円から1500円に上がると高くなったと感じるが、(当社が得意とするような)家具・インテリアは、あまり毎年買うことがない大型商品なので、1年前と価格を比べたりすることは中々ない。買い替え頻度が低いものは値上げによる買い控えの影響を受けにくいと思う。

岡本社長は「買い替え頻度が低い商品は値上がりを感じにくい」と指摘(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)
岡本社長は「買い替え頻度が低い商品は値上がりを感じにくい」と指摘(画像は「リコメン堂」から編集部がキャプチャ)

優先事項はインバウンド向けの対策

――今期の優先順位の高い施策は。

インバウンド需要に関してのものになるだろう。もちろんこれは越境ECも含めての話となる。中国で日本のかぜ薬が大量に購入されているというニュースも聞くが、改めて海外消費者にとって日本の商品はニーズが高いと感じる。

これは日本メーカーの商品ということだけではなく、たとえば、中国の工場で作って日本で売っているという商品についても、試しに中国で売ってみたところ「日本の規格」を採用しているということで非常に人気となった。つまり、日本の商品は「品質管理」が良いというイメージを海外から持たれているのだ。

中国向け越境ECモールは“あえて”小規模モールに出品。品質や計画生性を重視

――越境EC事業の進捗について。

22年末から中国の小規模な越境ECモールに出店していて、100~200点ほどの商品を試しに販売している。

そこでは1か月間で8%程度の購買率になったので、悪くはないだろう。今までの越境ECでは、中国の大手越境ECモールを使って販売していたが、手数料が高かったこともあり難しい状況だった。そうした理由から、今は大手のモールではなく小規模のモールに出店している。

――越境ECを行う上での注意点や課題について。

当社も長年越境ECを行ってきたが、中国と日本のマーケットには大きな違いがあると認識している。中国の場合、売れる商品であればどんどん量を出して販売してほしいという考え方だが、日本では売れるとしてもそこまで極端な出し方はしない

たとえば、日本のメーカーはヒットしている商品を製造する時に、おそらく前年の110%~120%程度(の増産)という形で翌年の計画生産を考えるが、中国ではとにかく一気に大量に仕入れようとするので、いきなり前年の3倍の量の商品を出してほしいという考え方になる。

当然ながら、モノづくりについて品質管理をしっかり考えた場合に、製造ラインや人材の確保などの問題からそこまでの大規模な量に対応した商品を急に製造することはできない。そうした感覚が大きな違いになっている。今、当社が中国で出店している仮想モールは小規模なので、仮にそこで急激に売れたとしてもそこまでの大きな影響は受けないと思われる。

価格差が大きいものほど売れやすい⁉

――越境ECで売れる日本の商材とは。

海外向けと日本向けの販売で、価格差が大きいものが売れやすいと言える。先ほどのかぜ薬の話も、中国では日本で売られている何倍もの価格で売られている。

他にも日本酒などが海外では国内以上の高値で取り引きされている。そういったものは、物流費込みで海外向けに高い価格を設定して販売したとしても日本よりもはるかに売れる商材となるのではないか。

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