エニグモが、ファッションなどのスペシャルティ・マーケットプレイス「BUYMA(バイマ)」における越境ECを強化している。海外ユーザーが「BUYMA」で購入しようとする際に立ちはだかる「言語」「決済」「配送」「関税」「問い合わせ」といった運用上の壁を、外部サービスを活用して解決。海外在住でも手軽に“買える状態”を構築した。越境ECの取り組みの現在地や今後の取り組みなどについて、エニグモの担当者とBeeCruiseの岩本夏鈴氏(Global Growth Hack事業部)に話を聞いた。
「BUYMA」は世界185か国・24万人以上のショッパーが出品
「BUYMA」は世界185か国に在住する24万人以上(2026年1月時点)のパーソナルショッパー(出品者)が世界中の商品を出品・販売するマーケットプレイス。会員数は2026年1月時点で1201万人超。パーソナルショッパーはユーザーの嗜好・価格などに合わせて商品の買い付け・販売などを手がける。
取り扱う商品はノーブランドから、韓国や中国の新興ブランド、エルメス、シャネルといったラグジュアリーブランドまで幅広い。カテゴリもレディース・メンズのアパレル、バッグ、靴、財布・小物、アクセサリー、インテリア、ペット用品、スポーツ用品、アウトドアなどさまざまだ。近年はライフスタイル系の雑貨も人気という。
ユーザー層はファッション感度が高く、価格とのバランスを重視するユーザーが多い。ボリュームゾーンは30代半ば~後半だが、全体を見ると20代前半~60代半ばまで幅広いユーザーが利用しており、特定の年齢に偏っていない点が特長だ。男女比は女性が7:男性3くらいの割合という。

(画像は「BUYMA」のサイトからキャプチャ)
販売傾向は、日本ならではのブランド、伝統的な工芸品などを買いたいというユーザーよりも、グローバルブランドでも値段的に優位性があるものを購入しているそうだ。
「BUYMA」はハイブランド・ノンブランドなど幅広い商品を取り扱っているため、他のプラットフォームとは違うという特長があるという。
「BUYMA US」終了後の再挑戦として、越境ECをスタート
そんなエニグモが越境ECに注力し始めた理由の1つとして、以前に運営していた「BUYMA US」という日本以外への対応サイトがあったことをあげる。
「BUYMA US」はクローズしたが、これまでに培ったノウハウ、利用していたお客さまがいることもあり、他の形で海外ユーザーが「BUYMA」で購入できる形を用意したかった。円安によってインバウンドも増えたことや、価格的な競争力もあり、越境ECをスタートした。
最初は日本ブランドが売れるかと思っていたが、全体で見るとストリート、スポーツブランドからラグジュアリーブランドまで幅広く売れる。ショッパーのセラーの力で安く出品されているものを求めているユーザーが多い。(エニグモ担当者)
越境ECの壁は外部サービスを活用して乗り越えていく
越境ECで物を買うユーザーにとって、購入前後に詰まりやすいポイントがいくつかある。まず決済だ。海外クレジットカードが使えない、現地で主流の決済手段がないというだけで購入は止まってしまう。次に言語。商品情報が読めない、問い合わせができない、購入フローが理解できないといった懸念があると安心して購入できない。
さらに物流と関税も課題になる。配送手段、配送日数、追跡、破損・紛失時の補償、関税負担の考え方が曖昧だと購入後の不安が増える。返品も同様で、越境取引では「返品できるのか」「返品するといくらかかるのか」が購入判断に直結する。「BUYMA」はこうしたユーザーにとっての壁を、海外決済、多言語化に対応(19か国語)できる「Buyee」の活用で乗り越えた。
本来であれば、代理購入サービスを使わず、海外ユーザーが直接「BUYMA」で購入できるのがベスト。だが、セラーは日本国内発送が基本で、海外発送の場合は送料を変更しなければならないといった内部的な課題があるため、外部サービスを活用することで、ユーザー、セラー共に負荷が少ない方法を選んだ。
利用国・地域はアジア圏を中心に26か国・地域
越境ECの利用国・地域はアジア圏が一番多く、特に台湾、香港が多い。日本からの商品を購入することに抵抗がない国・地域からの引き合いが高いという。
以前は米国も多かったが、関税の問題で低下傾向にある。南米、ブラジル、中東などからの利用者も少なくない。ヨーロッパについてもドイツ、フランスなどさまざまな国のユーザーが購入しており、2026年1月の実績では、26か国から購入されている。(エニグモ担当者)
台湾の特長について、BeeCruiseの岩本氏は「代理購入のプラットフォームが多いので、『どのプラットフォームで買うのが賢いか』といった情報が多く出回っている。SNSで『今・どこで・外貨で何を買うと一番得か』といった情報をメディアやブロガーがまとめている」と話す。
中華圏のユーザーは特に値段をシビアに見る傾向があり、クーポンやポイントシステムを駆使して買い物をする傾向が見られるという。
海外ユーザーは年齢層が幅広く、10代~50代。日本とは違い男性も半数ほどにのぼる。海外ユーザーは男性が女性にギフトを贈る文化が強いことなどから、男性名義で女性向け商品を購入するケースもある。また国によってはクレジットカードを女性が持っていないため、男性名義で購入しているケースもあるという。
海外在住の日本人ユーザーの悩み解決で「BUYMA」を活用するシーンも
越境ECで日本の商品を購入する場合、海外に住む日本人以外が越境ECを利用するケースが多いが、「海外在住の日本人が『BUYMA』を利用しているケースもある」(エニグモ担当者)と言う。
海外在住の日本人だと「現地で販売しているものではサイズが合わない」といったケースや「デザイン性が日本のものが好き」といったケースもあるし、日本だと現地より安く購入できる。日本人も「BUYMA」を使って越境ECを利用している。(エニグモ担当者)
なお越境EC経由のユーザーは「全体からするとまだ一部に留まっている」(エニグモ担当者)としながらも、多言語化に対応したことでユーザーに安心感を持ってもらえたことや、海外発送対応商品が増えたこともあり、着実に増加しているという。
英語発信や国・地域別プロモーション施策も実施
「BUYMA」では海外ユーザー向けの施策として、英語のメルマガ送付、Instagramにおける英語での発信、中国の「独身の日」など国・地域ごとの重要なプロモーションに合わせたクーポン施策などを実施しており、成果も出つつあるという。
ただ、「どの施策が伸びているという傾向まではまだ出ていないので、ベースラインを整えている状況」(エニグモ担当者)という。より成果を出すため、「BUYMA」内のUXなどを整えていく方針だ。
認知拡大とUX改善、サイト多言語化も視野
今後取り組むのはまず認知の拡大。その課題に対し岩本氏は、「取扱ブランド・カテゴリが幅広いので、『どのブランドがどの国のお客さまに刺さるのか』といったことを検証しやすいと思っている。検証を繰り返すことで、認知度拡大につなげていけるのではないか」と話す。
2026年はキーマーケットでのマーケ施策に注力しつつも、「BUYMA」の導線・利便性にまだまだ向上できる余地があると感じているという。購入方法が他のECより複雑なため、UXなど「BUYMA」上で解決できることは解決していきたいとする。また「BUYMA」自体は日本語対応のみのため、サイト上での多言語化にも取り組んでいきたいという。
海外において「BUYMA」の知名度がまだ低いため、どのように広げていくかが課題。知らないサイトで購入するのはハードルが高いと思うので、キーマーケットへの広告などは行っていきたい。お客さまがより安心して「BUYMA」で買い物をしていただけるような環境構築を進めていく。(エニグモ担当者)
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