ECの最終画面でわかりやすい契約事項表示を求める改正特商法にネット通販会社が違反、その違反行為と処分内容とは?
ECサイトにおける契約申し込みの直前画面(最終確認画面)の各契約事項をわかりにくく表示し、定期購入については解除できないかのように説明したとして消費者庁は6月29日、ヘアケア用品やサプリメントのネット通販を手がける株式会社LIT(中村智紀社長)に対して、特定商取引法違反で6か月の一部業務停止命令を出したと発表した。
2022年6月1日施行の改正特定商取引法では、「申し込み直前の画面に注文内容を表示」「注文内容や契約の申し込み手続きに関して、消費者を誤認させる表示の禁止」「申し込みの撤回や解約をさまたげる不実告知(嘘)の禁止」などを義務づけている。
最終確認画面では、商品の分量や販売価格、支払い時期・支払い方法、引き渡し時期、申し込み期間、申し込みの撤回・解除に関する事項をわかりやすく表示することが義務付け。
消費者が購入申し込みの撤回、定期購入の解約などを申し出た際に、その撤回・解約を妨げるために、事業者が事実と異なることを告げる行為も禁止している。
LITは、自社ECサイトの「emerire」でヘアケア商品「ブラックデュアルトリートメント」を、「百命堂」でサプリメント「精の命」をそれぞれ販売していた。
最終確認画面における誤認表示【改正特商法 第12条6】
LIT社は、少なくとも2023年3月10日から4月12日の間、自社ECサイトの最終確認画面において定期購入の初回購入価格を赤字で大きく「990円」などと強調表示した一方、2回目以降の販売価格、商品代金の支払時期、引き渡し時期などは画面をスクロールしなければ確認できない位置に表示した。
また、いずれも「注文を確定する」ボタンの直上に、「いつでも解約OK」などとピンク地に黒字で大きく表示し、契約の解約がいつでも可能である旨を強調。解約条件を「いつでも解約OK」と比べて著しく小さな文字で、スクロールをしなければ確認することができない位置に表示していた。
解除に関する事項につき不実のことを告げる行為【特定商取引法第13条の2】
定期購入の解除について、本来は解約可能だったにもかかわらず、解約専用フォームにアクセスした消費者に対し、「大変恐れ入りますが、商品が既に発送準備中となっているため、キャンセルをお受け出来かねます」「次回発送分の商品から解約可能となっております」などと表示。あたかも、解除することができないかのように告知した。
なお、法人に対する処分に加え、中村智紀代表取締役にも6か月間の業務禁止命令を出した。