2022年6月1日施行の改正特定商取引法(消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律)で、ECサイトの最終申込画面に販売期間を表示する義務を課すという条項などの運用について、消費者庁は「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を公表した。

消費者庁が公開した事業者向けチラシ「貴社カートシステムでの改正法への対応について」
消費者庁が公開した事業者向けチラシ「貴社カートシステムでの改正法への改正特定商取引法について」

3/24追加】6月に施行される改正特定商取引法のポイント、通信販売に関する規定の新設などを解説した資料を、消費者庁が公表しました。以下からご確認ください(リンクをクリックすると、PDFが開きます)。

悪質な定期購入販売をターゲットにしたとされる改正特定商取引法だったが、一部条文は健全な事業活動を行う事業者にも影響する内容が盛り込まれた。ECサイトの最終申込画面で販売期間を表示する義務が生じることに関し、ECプラットフォームの大規模改修の必要が生じるといった声が事業者からあがったのだ。

「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」で消費者庁は、「申込期間について不実の表示を行い、当該商品が期間経過後に購入できなくなると消費者に誤認させるような不当な表示等を防止する観点から、申込期間を設けている場合には正しく表示することが求められる」と回答。ECサイトの最終申込画面で販売期間を表示する義務を事業者に求めるとした。

消費者庁は「申し込みの期間に関する定めがある旨とその具体的な期間が消費者にとって明確に認識できるようにする必要がある」と説明。たとえば、商品名欄などで商品名に販売期間の併記、バナー表示、消費者が明確に認識できるようなリンク先や参照ページ、クリックにより表示される別ウィンドウなどで詳細を記載する方法などをあげている。

表示義務(改正特定商取引法第12条の6)に違反しないと考えられる表示の例
表示義務(改正特定商取引法第12条の6)に違反しないと考えられる表示の例
表示義務(改正特定商取引法第12条の6)に違反しないと考えられる表示の例
表示義務(改正特定商取引法第12条の6)に違反しないと考えられる表示の例。バナーやリンク先に詳細を表示させる形式も可とする

該当するのは、購入期限のカウントダウンや期間限定販売など。商品の販売などそのものに係る申込期間を設定する場合(一定期間の経過をもって消費者が商品自体を購入できなくなるもの)を念頭に置いている。個数限定販売、価格その他の取引条件(価格のほか、数量、支払条件、特典、アフターサービス、付属的利益など)について、一定期間に限定して特別の定めを設けている場合は該当しないとしている。

たとえば、「価格」についての定めになるタイムセール(○月×日までなら50%オフのようなもの)は対象外となる。

※記事初出時、タイトルと本文に「タイムセール」が改正特商法で規制される旨を記載しておりましたが、資料を改めて確認したところ、「タイムセール」は「販売期間」ではなく「価格」についての定めになるため対象外になります。訂正しお詫びします。

改正特定商取引法の主な内容は、

  • 広告表示義務に「申込期間についての定め」を追加(法第11条第4項)
  • 最終申込画面に、以下の項目を記載する義務を新設(法第12条の6第1項)
    • 価格・対価・送料
    • 支払時期・支払方法
    • 引渡し時期
    • 申込期間の定め(あるとき)
    • キャンセルポリシー、返品特約(あるとき)
  • 最終申込画面で人を誤認させるような表示の禁止(法第12条の6 第2項)
  • 最終申込画面で人を誤認させるような表示があった場合の取消権の付与(法第15条の4)
    ※改正法案の条文は「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案新旧対照条文(※リンクをクリックするとPDFが開きます)で確認できる。

最終申込画面で誤認させるような表示を行った場合、消費者に申込みの取消しが認められるとともに、販売事業者に100万円以下の罰金が科される。必要な表示をしていない場合、法人には1億円以下の罰金を科す。

ECサイトの改修は5月末までに

ECサイトの最終申込画面でも販売期間を表示する義務を課すという条項の新設について、健全なECサイト運営を行っている事業者も対象となり、ECシステムの改修が伴うことから多くの疑問の声があがった。

改修、および事業者側の対応を含めると、改正特商法施行まで約5か月という短期間のため、「施行日までに間に合わない可能性があり、中小企業ではコスト負担も大きな問題になる」といった声が、「通信販売の申し込み段階における表示についてのガイドライン(案)」のパブリックコメント募集に事業者や各種団体から寄せられた。

こうした声に消費者庁は、「通常は意見募集対象とはならないガイドラインについて、今回は任意の意見募集を実施するなど、事業者の皆様からも幅広く御意見を伺った上でガイドラインを策定したものと認識している」と説明。今後は施行に向けて必要な周知を行っていくとの回答にとどめている。

パブリックコメントに寄せられた意見では、「自社ECをスクラッチで構築している企業はごく一部。多くはASP、モール、パッケージソフトなどを利用しているので、自社で最終確認画面の表示内容を構築できない」という声もあった。

これに対し消費者庁は、「特定商取引法上の義務を負うのは、あくまでも通信販売事業者であることに御留意ください」とのコメントにとどめている。

ASP、モール、パッケージソフトなどを使用しているEC事業者はベンダー企業への確認、ベンダー企業はシステム改修が急がれる。海外製のASPなどを利用している企業は、ローカライズの可能性があるかなどの確認が必要になる可能性がある。

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