アスクルの「LOHACO」が初の黒字化。インフレや原価高騰など環境の変化には法人向け商品のBtoC展開などで対応する方針

「LOHACO」は今期(2024年5月期)、BtoBで販売している大容量の業務用商品を個人向けに開放。業務用・大容量ニーズ、低価格志向へ対応する

瀧川 正実

2023年7月10日 9:00

アスクルの2023年5月期連結業績によると、BtoC事業の売上高は前期比10.5%減の632億5200万円、営業利益は3億円の黒字(前期は24億円の営業損失)に転じた。

BtoC事業のうち、「LOHACO」の売上高は同15.0%減の461億7600万円で、営業利益は前期比30億円増で「通期の黒字化を実現できた」(アスクル)

アスクルの2023年5月期連結業績
2023年5月期連結業績(画像はIR資料からキャプチャ)

「LOHACO」の通期黒字化の要因の1つが1箱当たりの売上単価の向上で、2023年3-5月期(第4四半期)は前年同期比19.2%増。販促手法の見直しや配送バー改定の効果などで1箱当たりの売上高が増加し、売上総利益率が上昇した。また、BtoB事業との融合を進めたことで、固定費の低減など利益構造が改善し黒字化に貢献した。

アスクルは、アフターコロナ、インフレ・原価高騰、物流コスト増といった外部環境の変化を成長機会と捉え、変化対応で進化を続けていく方針。

アフターコロナは人流の回復・活発化で、日用品、生活用品、オフィス用品の需要を積極的に取り込む。成長分野では品ぞろえの拡充、専門商材を強化することで売上高を増加させる。

インフレ・仕入原価高騰に関しては、仕入先の柔軟な変更・見直し、仕入方法の見直しを図り。機動的、柔軟な価格改定も視野に入れる。

「2024年物流問題」に代表される物流コストの増加については、自社の輸配送ネットワークの強化、自社の配送システムを配送パートナーに開放し、パートナーの生産性を高める。自動化への投資による生産性向上、UIやUXといったECサイト上での売り方を工夫し配送個数の減少に取り組む。

アスクルは、アフターコロナ、インフレ・原価高騰、物流コスト増といった外部環境の変化を成長機会と捉え、変化対応で進化を続けていく方針
環境の変化への対応(画像はIR資料からキャプチャ)

「LOHACO」では、BtoBで販売している大容量の業務用商品を個人向けに開放。業務用・大容量ニーズ、低価格志向へ対応する。また、家庭用品、ガーデニング、DIYといった高単価・高収益商品を取り扱い販売領域を広げる。日用消耗品を中心にBtoBの規模を生かしてオリジナル商品を強化、価格訴求力を向上する。

2024年5月期に取り組むこと(画像はIR資料からキャプチャ)

 

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