「物販ビジネスのみでは持続的な成長は難しい」。アンドエスティが始めた購入完了画面で他社の広告を表示するリテールメディア施策とは?

ECモール「and ST(アンドエスティ)」などの運営を手がけるアダストリア子会社のアンドエスティはこのほど、「and ST」の購入完了画面で他社の広告を表示するリテールメディアの取り組みを開始した。
小売りやEC事業者などが保有する会員データベースを活用し、消費者の購買・行動データをベースに広告を配信する取り組みは「リテールメディア」と呼ばれている。
アンドエスティは人口減少が進む国内アパレル市場で、物販ビジネスのみでは持続的な成長が難しいと認識。新たな収益源の確立に向けて取り組みを進めていた。そのなかで「and ST」のリテールメディア化に着手した。
商品購入完了画面で広告を配信する仕組みは、米国のECマーケティングテクノロジー企業Rokt(ロクト)の「Rokt Thanks」を導入して実現した。
ECサイトで買い物が完了した直後の「購入完了ページ(購入確認画面)」上で、消費者にとって関連性の高い広告を提示できるようになる。導入により「and ST」では、ファーストパーティデータとRoktのAI・機械学習技術を活用し、顧客が購入を完了した直後のタイミングで、1人ひとりに関連性の高い外部広告主からのオファーを提示する。

アンドエスティは既にRoktを導入しているアパレル他社の成功事例を参考に、外部広告による収益化に着目。購入完了後のサンクスページという顧客体験を損なわないタイミングで、関連性の高いオファー(外部広告)を提示できる「Rokt Thanks」の仕組みを評価し、顧客流出リスクやブランド毀損リスクについても事前に慎重な検討を重ねた上で、導入を決定した。
導入後、「Rokt Thanks」による広告収益は初年度から順調な成果を上げているという。また、カスタマーサポート部門と連携し、導入後の顧客からのフィードバックを確認した結果、ネガティブなフィードバックはほとんどなく、顧客体験を損なうことなく、サイト価値向上と収益拡大を両立できているという。
現時点では購入完了ページのみで展開しているが、今後は他の顧客接点における広告活用の可能性も検討していくという。
アンドエスティにとって新しいビジネスモデルの第一歩を踏めたと実感している。既存のシステムとスムーズに統合できたことや、実装後の運用効率がとても高い点にメリットを感じている。(アンドエスティ プラットフォーム企画Unitマネージャー 大西彩女氏)