「ライスフォース」のトライアルキット申込数を2.6倍にした動画マーケティング手法とは
お米を発酵させたエキスを利用した化粧品ブランド「ライスフォース」の通販を手がけるアイムは、動画を活用したマーケティングで、トライアルキットの申し込みを増やしており、申込数は前期比160%増となっている。売り上げも拡大し、2016年4月度の売上高は前年同月比40%増という。こうした成長をけん引している動画マーケティングの取り組みを紹介。
これまで何度も動画に挑戦したが、成功パターン見つけられず
通販事業の立ち上げ当初は、テレビのインフォマーシャルや雑誌などからの集客を中心に行っていたが、2006年ごろからWeb中心へとシフトし、現在は大半がWeb経由の売り上げとなっている。取扱商品は、化粧水、美容液、クリームの3点をメインで販売しており、この3点のミニサイズ(900円)と、これに美白美容液と日やけ止めをセットにしたもの(1400円)をトライアルキットとして販売している。
この、トライアルキットを数多くの人に買ってもらうための一環として、サイバーエージェントの子会社で動画サービスを展開するCyberBullの動画サービスを活用しているという。
アイムはこれまでにも、何度も動画を活用したマーケティングを行ってきた。しかし、成功パターンを見つけることができなかったという。
インフォマーシャルで作った動画や、ブランドを意識した動画を公開したり、化粧水の正しい使い方などといったオリジナルの動画を作って公開してきました。ページビュー数は伸びるものの、具体的にトライアルキットの申し込みにつながるようなことはほぼありませんでした。(販売促進部・飯島貴志部長)
そんな時、付き合いのあったCyberBullの中田大樹社長から動画サービスを提案された。これまでの動画の取り組みはうまくいかなかったものの、動画広告の可能性は大きいと感じていたこと、アイムの「新しい取り組みには積極的に挑戦してみる」という社風もあり、再度動画マーケティングに取り組み始めたという。
PDCAを繰り返しながら、スピィーディーに最適な動画を提供
CyberBullの提案はとても明快だった。Facebookに特化して、ユーザーに購入を想起させる動画を作ろうというもので、そのために、PDCAを繰り返し行っていくということだった。実際に、短期間の間に動画は何度も作り直し、その中で最適な動画を見つけていったという。
動画制作には莫大な時間がかかると思っていたが、これほど早く作ったり、修正できたりするものなのかと本当に驚きました。(飯島氏)
こうした取り組みで、トライアルキットの申し込みは大きく伸び、動画からのトライアルキットの申し込み件数は拡大した。「ライスフォース」の中心購入者層は30~40歳代だが、Facebookの動画広告でトライアルキットを申し込む年齢層は20~30歳代も多く、若い世代のユーザーを多く獲得することができたという。
若い世代のお客さまの場合、本商品への引き上げ率という点では若干低くなってしまう傾向がありますが、他のメディアではできなかった若い世代に高い精度でリーチすることができました。ライスフォースの動画を見ることで商品を理解いただき、購入してもらえる点では、とてもプラスに感じています。(販売促進部 EC推進課 宮坂 裕子課長)
アイムでは今後も効果を見極めながら、さらに提供する動画の本数を増やすほか、Facebook以外のSNSへの対応、ユーザーに購入を想起させる内容の動画だけでなく、化粧品の使い方を紹介する動画にもチャレンジをしていくとしている。
一方、アイムに動画サービスを提供してトライアルキットの申し込みが増えた事例を活かして、CyberBullでは今後、動画サービスを多くのECサイトに提供していくという。
ECではPDCAを素早く回すことが重要ですが、動画では制作などに時間がかかるため、これまでできてきませんでした。当社では、自社でスタジオを持っており、制作スタッフもいるので、素早く対応ができ、PDCAを回すことができる点に強みを持っています。今回、アイムと一緒になってECにおける動画の成功パターンを見つけられたので、今後、この成功パターンを広げて、多くのECサイトで活用してもらえるようにしていきます。(CyberBull 中田大樹社長)