株式会社いつも. 2017/7/21 9:00

今回は多店舗管理ツールとして知られる「受注管理システム」の役割について紹介しましょう。

受注管理システムはフルフィルメントの品質向上にも役立つ

一般的によく目が向けられているのは、「受注処理の効率化」「情報管理の向上」といった役割です。

受注管理システムは、「多店舗管理ツール」「業務改善ツール」と言われることも多く、上記2ポイント(「受注処理の効率化」「情報管理の向上」)を解決するという印象が強いでしょう。

今回は、フルフィルメント視点から最も重要なポイントと言える「受注の品質向上」、つまりサービスの品質向上といった受注管理システムの役割について深掘りしてみます。

フルフィルメント視点で見た受注管理システムの役割
受注管理システムはフルフィルメントの品質向上という役割も担う

事業規模の拡大にともない、受注処理が煩雑化。そのタイミングで導入を検討する事業者は多く、業務改善や効率化のためのシステム導入の検討は間違いではありません。

一方で、今日のECサービスではサービスの品質向上といった視点も重要になります。競争の激しいEC業界において、注文から出荷までのリードタイムを短縮すること重要視されており、商品力そのものです。

注文後の即日出荷はもはや当たり前のように行われており、さらに当日発送の締め切り時間を延長しようと努力を重ねています。

受注処理が遅れると、出荷も遅れてしまい顧客満足を得られないどころか、クレームとなり、場合によっては評価、金銭的なペナルティが発生する場合もあります。出荷作業をいかにスムーズにミスなく行えるかという課題は必然的に重要性を増してきています。

出荷担当のスタッフは、受注処理担当が印刷した出荷指示書をもとに作業します。そのために必要とされるのは、「出荷指示を正確に素早く出してくれること」です。

受注処理を正確に素早く行えること、出荷までのリードタイムを短縮することは、出荷を安定させ、店舗サービスレベルを向上させることにつながります。

受注管理システムを導入すると、注文が自動的に仕分けられ、そのデータが「出荷指示書」「納品書」「送り状」になります。

そのため、出荷担当者は出勤後すぐに出荷業務を行えることができ、午後の仕事に時間的なゆとりを確保することができます。店舗の1日の出荷キャパシティも増し、当日発送の締め切り時間も延長することができるようになります。

また、他社との差別化を図るため、ギフトラッピングやノベルティ・チラシ同梱などサービス拡大を進める事業者が増えています。しかし、せっかくの取り組みもミスが頻発しては逆効果

ミスのない状態が理想的ですが、こういった差別化策は作業工程を増やす事になるため、ミスなく取り組みを継続することは簡単ではありません

たとえば、ギフトラッピングの注文の場合、受注処理の担当者は出荷指示書の作業用コメント欄に「ギフトラッピング」などを追記し、出荷担当者はその文字を見てギフトラッピング梱包を行います。

追記された文字を見落とすと、梱包ミスとなりクレームとなります。特定の商品を購入した消費者にノベルティをプレゼントする場合、注文担当者は対象伝票を洗い出し、出荷指示書の作業欄に「ノベルティ」と1件1件、指示の追記が必要となります。これも見逃すとやはりクレームとなります。

こういった複雑な業務を伴うため、システムを導入していない事業者は付帯サービスでミスが発生しやすくなるのが現状です。

“今は「知識のあるスタッフが行っているから大丈夫」”と思っていても、新しいスタッフが入社した時はどうでしょう? 教育などに時間と手間がかかってしまいます。

また、外部にアウトソースする場合も同様です。受注処理は、どの出荷担当者がミスなく作業を進めるように処理することがとても重要なのです。

こういった煩雑な業務をシステム化し、誰でもミス無くできるようにするために、受注管理システムが必要となるのです。

EC業界は競争も激化し消費者の選択肢も増えた結果、ニーズも多様化・複雑化しています。こうした変化に応えるため、フロント側でサービスを充実させればさせる程、バックヤード業務は複雑化していき、人の手の介入がさらに必要になっていきます。

それでも大部分の業務はシステムで自動化・仕組み化できるのがECの強み。受注管理システムで「確認工程」「作業工程」を省き、素早く正確な出荷指示を行うことで、ミスの大半を占める「見落とし」「作業間違い」を大幅に減らすことができます。

受注管理システムは、今も成長を続けるEC業界において必要不可欠な存在となりつつあるのです。

筆者関連情報

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