アフィリエイトモール運営の米イーベイツを10億ドルで買収、楽天

楽天のEC流通総額のうち海外比率はこれまで約6%だったが、今回の買収で海外比率は16%になる

中川 昌俊

2014年9月10日 8:00

楽天は9月9日、米国で会員制アフィリエイトモールを展開する米イーベイツ社を買収すると発表した。10月中にイーベイツの全株式を約10億米ドル(約1060億円)で取得する。2014年8月にはECサイトから届くメールを解析し購入履歴を集約するサービスを提供する米スライス社も買収。企業買収を続け、米国での事業の拡大を進めている。

イーベイツは、1999年設立の会員制アフィリエイトモールの先駆け的存在。利用者は会員登録し、「Ebate.com」経由で買い物をすると、3%~6%のキャッシュバックやクーポンを得ることができる。ECサイトのほか、旅行代理店サイト、クーポンサイトなど2600サイトと提携。アクティブ会員は250万人で、2013年度決算では、流通総額が22億米ドル(約2332億円)、売上高は1億7000万米ドル(約180億円)。

Ebates.com

イーベイツ買収の理由について、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、「2005年に買収した米LinkShare事業の最大のパートナーであり、長い間いい関係を築いてきた。イーベイツと統合することで、世界でも独創的かつ革新的なECプラットフォームを構築できると判断し、買収を決定した」としている。

一方、イーベイツのケビン・ジョンソンCEOは、「当初はIPOを準備していたが、楽天からの提案を受けた。楽天とは過去7年間パートナーとして事業を行ってきており、より大きなことが実現できると判断し、楽天とパートナーを組むことを決断した」と楽天グループに入った理由を語った。

楽天のEC流通総額のうち海外比率はこれまで約6%だったが、今回の買収で海外比率は16%になる。将来的にはさらに海外比率を50%に高めていきたいとしている。

また、三木谷社長は「今回の買収は、これまでのクローズド型のインターネットショッピングモールから、楽天が新しいオープン型のショッピングサイトに進出していくということ。米国で大きな一歩を踏み出すことになり、戦略的にも大きな意味を持っている。この買収をステップにして、インターネットショッピングの新しい形を提案、実現していきたい」としている。

写真左から米スライス社のブレディCEO、三木谷社長、米イーベイツ社のジョンソンCEO
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