「楽天市場」に「契約更新基準」を導入、年間売上30万円未満の店舗は「研修受講」もしくは「重要施策への参画」で出店継続
楽天は、「楽天市場」の顧客満足度向上、販売が低迷している出店者の売上拡大を目的に、出店継続の基準を定めた「契約更新基準」を新たに導入する。
「楽天市場」での年間売上高が30万円未満の場合、「研修(Eラーニングコンテンツ)の受講完了」もしくは「楽天市場重要施策への参画」を契約更新基準にする予定。
出店規約を改定し、2021年3月上旬に出店者などへ開示する。改定後の規約の適用開始は2021年6月頃の予定。その後、新基準に基づいた契約更新は2022年6月以降を予定している。
「契約更新基準」概要
「楽天市場」での年間売上高が30万円未満の出店者に対して設ける、「研修(Eラーニングコンテンツ)の受講完了」もしくは「楽天市場重要施策への参画」の更新基準は次の通り。
Eラーニングコンテンツの受講完了
売上アップのための商品ページの作成方法、イベント活用方法、ルール、サービス、重要施策についての理解を深めてもらうコンテンツを用意。受講完了で基準を満たしたものとする。
「楽天市場重要施策」への参画
1~3の施策うち1つ以上への参画することで、基準を満たしたものとする。
- 1.「楽天NATIONS BASICプログラム」の修了
「楽天NATIONS」は、楽天店を成功に導いた著名社長などが講師となり、新規店舗などに店舗運営の基礎、実践例などを伝える短期集中売上アッププログラム - 2.「楽天が提供する物流サービス」の導入
楽天が提供する「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」「集荷・持込サービス」「楽天特別運賃プログラム」などの導入 - 3.「共通の送料込みライン」適用対象店舗(39ショップ)への変更
「楽天市場」での買い物時にユーザーが3980円(税込)以上購入した場合の送料に関し、購入者負担を0円として事業者が送料全額を負担する「共通の送料込みライン」施策への変更
「楽天市場」はここ数年、「統一性と多様性の両立」を課題としてサービス向上に取り組んでいる。「多様性」は個性豊かな店舗の魅力を最大限引き出すこと、「統一性」は機能を統一することでユーザーの利便性を向上すること。
「共通の送料込みライン」などは「統一性と多様性の両立」を実現するための取り組みの一環。楽天は出店者に対し、以下のようなメッセージを伝えている。
コロナ禍となった2020年より、消費はオンラインへ大きくシフトし、「楽天市場」でも新たにお買い物をいただくユーザーを多く迎えております。ユーザーの期待に応え続けるため、楽天と一緒に真摯にユーザーと向き合っていただける店舗さまの売り上げをより伸ばしていきたいという考えから、契約更新における基準を新たに設けることといたします。
(中略)「楽天市場」での売り上げを一緒に上げていくためのきっかけや機会を店舗さま」に提供できればと考えております。今後も「楽天市場」は「統一性と多様性の両立」を実現する取り組みを通じて、ユーザーのニーズにあわせたサービスへと成長し、店舗さま」の売上拡大を支援いたします。
なお、「楽天市場」の出店プランは、月額固定費が割安となるがんばれ!プランが月額1万9500円、ランニングコストが割安となる月額5万円の「スタンダードプラン」などがある。
「がんばれ!プラン」で出店している場合、月額出店料だけで年間23万4000円(税別)の固定費が発生。決済手数料を加えると損益がマイナスの出店者がほとんどと推測される。
年間売上30万円未満の店舗に「研修受講」もしくは「重要施策への参画」を促す「契約更新基準」導入は、「楽天市場」内で販売が低迷している出店者の売上改善、スキルの習得、サービス向上、モチベーションアップなどにつなげる狙いがある。