現金よりも「キャッシュレスの方が便利」。「楽天買取」の代金受取は、キャッシュレスが現金を上回る
楽天が運営する宅配買取サービス「楽天買取」では、2020年8月以降、買取代金の受け取り方法でポイントを含むキャッシュレスが現金を上回っている。キャッシュレスを選ぶユーザーは複数の楽天サービスを併用するユーザーが多く、「現金よりも便利」という理由が多い。
増加傾向にあるリユース市場
「リサイクル通信」の調査によると、2018年のリユース市場規模は約2兆円で、そのうち、ネットショップの金額は3809億円。経済産業省によると、2016年の1年間で不要になった製品の推定価値は7兆6300億円になるという(自動車・バイク・原付バイクを除く)。
買取代金の受取、キャッシュレスが現金を上回る
2019年7月から中古品の買取代金を「楽天ポイント」で受け取れる「ポイント受取」をスタート。2020年7月からはオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」で受け取れる「楽天キャッシュ受取」を開始している。
従来は現金での受け取りが多かったが、2020年8月からは「楽天ポイント」または「楽天キャッシュ」で買取代金を受け取るキャッシュレスが現金を上回ったという。
「楽天買取」は、買取代金をキャッシュレスで受け取ったユーザー281人にアンケートを実施。キャッシュレスで受け取った理由について聞いたところ、「現金振り込みよりもお得だから」が51%で最多、次いで「現金振り込みよりも便利だから」が37%、「ポイントを貯めているから」が33%だった。
キャッシュレスを選んだ理由をフリー回答で見ると、「楽天で買い物する際に使えるから」「ポイント還元率が高いから」「楽天ユーザーなので、楽天ポイント・楽天キャッシュでもらう方が使いやすい」などの理由があがった。
一方で、買取代金を現金で受け取ったユーザー110名に現金を選んだ理由を聞いたところ、「現金が便利だから」が65%で最多だった。
アンケート結果を受け、楽天の永里元気氏(C2C事業 PRチーム)は「買取代金をキャッシュレスで受け取るユーザーは、利便性の高さを重視していたり、普段から楽天を使用しているユーザーが多い傾向がある」と分析する。
キャッシュレス受取をするユーザー数はジャンルによって大きな偏りはなく、低単価の商品に多い傾向があるという。また、楽天会員の中でも高ランクユーザーが多いという。
コロナ禍で導入した「ビデオ通話査定」
「楽天買取」は2020年10月からビデオ通話を利用して中古品の査定を受けられる「ビデオ通話査定」機能を開始。「ビデオ通話査定」は、ユーザーが買取店舗に予約を行い、オンライン上で中古品の査定を行えるという仕組みだ。
一部商品は対象外だが、腕時計やブランドバッグ、携帯電話のニーズが高いという。またベビーカーの査定も多く、「買取金額についての情報が少なく、相場がわかりにくいという理由があると思う。また、大きいため店舗に持ち込みにくいが、出張買取を行っている店舗があるため、ビデオ通話査定のニーズが高いのではないか」と楽天の重田紘範氏(事業開発部 リユース・レンタルグループ マネージャー )は話す。
「ビデオ通話査定」の利用者は、これまで買取を行ったことがない新規ユーザーが多い傾向があるという。
サービス開始当初は、以前から店舗で買取を行っているユーザーがオンラインにシフトすると考えていた。しかし、実際は「買取査定自体が初めて」というユーザーが多く、新たなユーザーとのタッチポイント創出につながった。(重田氏)
対面査定とビデオ通話査定の査定金額に大差はない
「ビデオ通話査定」は店舗での対面査定と異なり、通話時に大まかな査定金額を算出し、商品が店舗に届いた後、正式な査定金額を算出している。
オンラインでの査定では、実物を直接確認できないため、査定精度に不安を感じるかもしれないが、実際はビデオ査定時と商品到着後では、査定金額にあまり差は生じていないという。
その理由を「ビデオ通話では双方向のコミュニケーションが取れるため、店舗が見たい箇所を伝えて、映してもらうことができるから」だと重田氏は話す。
「楽天買取」とは
「楽天市場」に出店するさまざまなジャンルの中古買取店舗に、不要品の買取依頼を行える宅配買取サービス。ユーザーは買取店舗を決め、専用フォームから申し込みを行い、売りたい品物を店舗に発送する。店舗からの査定結果に納得した場合は売買取引が成約、納得しない場合はキャンセルが可能。