千趣会が本業の通販事業に経営資源を集中、ブライダル事業を売却
千趣会は、ブライダル事業を手がける持分法適用関連会社のワタベウェディング、連結子会社でブライダル事業を展開するディアーズ・ブレインの株式を、それぞれ売却すると発表した。本業の通信販売事業に経営資源を集中する。
千趣会は3月19日、ワタベウェディングの完全子会社化をめざすホテル事業などの興和にワタベウェディングの一部株式を無償譲渡し、無償譲渡しない株式はスクイーズアウト(金銭交付などで少数株主を強制的に排除する手法)手続きで売却すると発表した。
ブライダル市場は少子化に伴う婚姻組数の減少、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う婚礼の延期やキャンセルなどで厳しい状況に陥っている。こうした状況下、ワタベウェディングは2020年12月期、債務超過に陥った。
ワタベウェディングは2020年11月頃から、増資の引き受けに関する新たなスポンサーを検討し、興和による提案が最善の策と判断。興和の完全子会社化に向けて千趣会もワタベウェディングの株式を手放すことにした。株式無償譲渡の実行日は6月23日の予定。
連結子会社であるディアーズ・ブレインの株式もベンチャーキャピタル(VC)に譲渡する。ただ、VCが出資するディアーズ・ブレインHDへ5%を出資して業務提携契約を締結。「結婚」というライフイベントでの価値提供、その前後の生活において商品提案の機会を得るため、通信販売事業を中心にブライダル事業との連携を追求する。株式譲渡日は3月31日の予定。株式譲渡価額は開示していない。
千趣会の2020年12月期におけるブライダル事業の業績は、売上高が前期比59.4%減の84億円、営業損失は37億2800万円(前期は9億7100万円の営業利益)だった。
千趣会はグループの再成長に向け、顧客との「つながり方」や「提案方法」を時代に合った形に進化。顧客・取引先をパートナーとする「共創」をベースとした「生活総合提案型企業として独自のビジネスモデルを構築する方針を策定した。
その方針のもと、通信販売事業を「生活総合提案型企業」のコア事業と位置付け、経営資源を集中的に投下することにした。