電通デジタルは12月3日、生活者のリテールメディアへの接触が購買行動やブランド認知に与える影響を明らかにした「2025年リテールメディア調査」の結果を発表した。商品認知チャネルの中心は圧倒的に店頭で、「ファッション」「美容・コスメ」ではECモールなどで非計画購買が発生しやすいことがわかった。
リテールメディアは、店頭や流通アプリなど売り場に近い接点で情報を届ける広告チャネルとして注目されている。同調査では「商品認知」「興味喚起」「商品理解」などのブランド指標への影響を可視化し、宣伝予算の投資先としての価値を検証した。
商品認知チャネルの傾向
商品認知チャネルの傾向として29商品カテゴリー中、パソコンを除くすべてのカテゴリーで「店頭」が最も多くの商品認知チャネルだった。特に「食品・スイーツ」「飲料」「日用雑貨」でこの傾向が顕著だった。
非計画購買が生じやすい場所
非計画購買が生じやすい場所について、「食品・スイーツ」「飲料」「日用雑貨」では食品スーパー、コンビニ、ドラッグストア、バラエティショップで非計画購買が発生しやすい。一方、「ファッション」「美容・コスメ」ではバラエティショップやECモールが非計画購買の起点になりやすいことが明らかになった。
リテールメディア接触後の購買行動
リテールメディア接触後の購買行動への影響は、流通アプリ内クーポンは購買促進効果が高く、バラエティショップ、コンビニ、ドラッグストア、ECモールではユーザーの20%以上が「その場で購入する」と回答した。特にバラエティショップではアプリ内広告の購買促進効果やブランド指標への影響が他業態より高い傾向が見られた。
ブランド指標への影響
調査によるとブランド指標への影響は次の通りだった。
- 商品認知:バラエティショップのサイネージ、流通アプリ内クーポン/広告、ドラッグストアアプリ内広告が高い効果
- 興味喚起:ECモールアプリの広告・クーポン、バラエティショップのサイネージ・クーポンが高い効果
- 商品理解:バラエティショップのクーポン・サイネージ、流通アプリ内広告の影響力が高いことがわかった
流通アプリ閲覧タイミング
流通アプリの閲覧タイミングは、オフライン業態の流通アプリは「会計時」「買い物に出かける直前」「お得情報の確認」など入店前・購入直前の閲覧が多かった。
電通デジタルではこれらの結果から、リテールメディアは「買い物モーメント」にある生活者へ高精度にリーチできるメディアであることが示されたとしている。一方、ECモールアプリは「欲しいものができたとき」「商品検索・比較」のタイミングで利用される傾向が強かった。
調査概要
- 調査名:2025年リテールメディア調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2025年9月16~19日
- 調査エリア:全国
- 対象:20~69歳の男女1200人(直近3か月以内の購入者の性年代構成比でウエイトバック集計を実施)
- 主な調査項目:商品カテゴリー別認知業態、購入流通業態、流通アプリ利用率、非計画購買経験、ブランド指標への影響など