「送料無料」表示の見直しを求める政府の方針とは? 過去には経産省幹部が「送料は当社負担という表現に」と業界に要請
政府は6月2日、「物流革新に向けた政策パッケージ」を公表、商慣行の見直しの1つとして、ネット通販の「送料無料」表示の見直しに取り組む方針を打ち出した。
「物流革新に向けた政策パッケージ」は、「物流2024年問題」の解消に向けた対策をまとめたもの。
「物流2024年問題」は、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧されている物流業界の諸問題を指す。
「物流革新に向けた政策パッケージ」では、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、『送料無料』表示の見直しに取り組む」と明記した。
「送料無料」表示の見直しについては、以前から課題にあがっていた。政府が2013年に閣議決定した「総合物流施策大綱(2013-2017)」では、送料無料記載にまつわる問題として、「送料無料と銘打った商品の販売が広く行われ、消費者が物流コストを正しく認識しづらい状況にある」と指摘。
その翌年、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が実施したJADMA総会記念パーティーに参加した当時の経済産業省審議官は、「(送料無料と記載する際は)送料は当社負担というような表現にしていただきたい」と要請。「送料無料と言うと物流はそうしたモノなんだという社会的な扱いを受けてしまう。送料は当社負担というような表現にしていただいて、この問題の改善・対応にご支援をいただきたい」と通販・EC事業者に協力を求めた経緯がある。
なお、「物流革新に向けた政策パッケージ」では、政府の中長期計画を2023年内に策定・公表し、業界・分野別の自主行動計画の作成・公表を求めるとしている。