海外向けの越境EC販売は2桁成長。取引額成長の要因とは? 人気カテゴリーは? 【イーベイの2023年レポート】
越境ECのマーケットプレイス「eBay(イーベイ)」を運営する米eBayの日本法人イーベイ・ジャパンが発表した2023年の越境ECレポートによると、日本からの販売額は2ケタ成長となった。
越境ECレポートは、2023年(1-12月)に日本の販売事業者が出品した商品の販売動向をまとめたもの。
女性向けアパレルが取引額1位、自動車パーツの成長率は50%増
取引額ランキングは前年と同様、1位が「レディース アパレル&バッグ・ブランド小物」、2位が「時計・パーツ&アクセサリー」、3位は「アニメアート&キャラクターグッズ」だった。デジタルカメラは10位。
ブランドバッグは、プロによる商品鑑定サービス「eBay真贋鑑定・配送サービス 日本センター」が2023年にオープンしたことも追い風になったと見ている。同サービスは2024年内に全販売事業者へ対象の拡大を予定している。
取引額10位のうち、前年同期比で大きく成長したカテゴリーの成長率は前年3位の「自動車パーツ」が1位となった。「デジタルカメラ」は成長率ランキングで2位に。2021年に取引が急拡大した「トレーディングカード」は、近年市場の伸びが落ち着いていたが、再び成長率が高まった。
カテゴリー別の売れ筋・注目商品をピックアップ
2023年度に日本から多く売れた商品や注目度の高い商品をイーベイ・ジャパンの各カテゴリー担当者がピックアップしている。
ファッションカテゴリー
前半は米国オンライン市場が低調に推移した影響で苦戦を強いられたが、後半は米国のマーケットトレンドに合わせたクーポン施策などが奏功し、堅調に推移したという。ファッションカテゴリー全体の取引額は前年比7%増となった。
主力の2カテゴリーは、年間を通じて「ウィメンズバッグ」「時計」。取引額は前年比5%増で推移した。続く「メンズバッグ」は同24%増、「ファインジュエリー」は38%増に成長した。
ブランドでは「エルメス」「ルイヴィトン」「シャネル」「ロレックス」「オメガ」が売り上げをけん引。「ヴァン クリーフ&アーペル」「カルティエ」を軸とした高級ジュエリーもシェアを拡大している。
スニーカー:国内ブランドは「アシックス」などが健闘
ファッションカテゴリーにおけるスニーカージャンルのなかでは、売り上げをけん引しているのは「ナイキ」。約3割強のシェアを占めている。
日本の販売事業者特有のブランドでは「アシックス」「オニツカタイガー」「ミズノ」が上位5位に入っている。この3ブランドで全体のスニーカーの売上額の3割弱を占めているという。
コレクティブルズカテゴリー
2023年の取引額は堅調に成長した。要因は、日本郵便が取り扱う国際郵便の一種、小型包装物(スモールパケット)が11月に再開した影響や、最大8か国に出品できる多国展開ツール「eBaymag」を通して、欧州など米国以外のサイトでの売り上げが向上した点など。アニメグッズの取引額伸長につながった。
同カテゴリーのうち、トレーディングカードの取引額は前年比25.8%増となった。なかでも、2023年6月に発売された「ポケモンカード151」や、「ONE PIECE(ワンピース)」のトレーディングカードの伸びが目立ったという。
自動車パーツ・カメラ・楽器カテゴリー
カメラ:デジカメはじめ、小型カメラの需要が急上昇
「中古カメラを買うなら日本から」というイメージがバイヤーの間で根付いていると見る。特にコンパクトカメラは海外需要が急激に上がり、売り上げは前年の2倍になった。
自動車パーツ:右肩上がりに需要増
過去5年間で5倍、2年前からも2倍の市場規模に成長している。北米を中心に、右肩上がりに需要が高まっている。昨今の注目ポイントは、出品商品のバラエティが豊富になっている点だという。イーベイ・ジャパンは、2024年も自動車パーツは伸び率上位を維持した状態で売れていくと予想している。
スポーツ用品:若年層によるゴルフ人気目立つ
2023年の取引額は前年比23%増となった。なかでも、ゴルフ用品市場は同53%増と大きく成長している。ゴルフが従来の高尚なスポーツから、よりカジュアルなスポーツへとシフトしていることがあげられるという。若者層のゴルフ人気が急速に高まっていると見られる。
2024年の注目カテゴリーは?
- 日本のアンティーク:「日本のアンティーク」は根強い人気があり、とりわけ「侍」は人気が高いジャンルだという。インバウンドも回復基調の傾向があるため、日本の文化に触れる訪日外国人も増え、さらに人気が高まると見ている。
- レゴ:米国はすでに在庫切れになっている人気シリーズや、過去に人気を集めたレゴは高値で取引されている。日本からの出品点数はそこまで多くないが、「eBay」では需要が高いジャンルの1つだという。
- ホーム&ガーデン:有名メーカーがラインアップする商品のほか、浄水器のフィルターなど、海外では購入できない根強い人気がある消耗品なども注目商品となっている。
2024年の展望として、イーベイ・ジャパンの北村直樹氏(カテゴリーマネージメント部 部長)は次のようにコメントを発表している。
今年も米国大統領選挙などの状況変化が予想されるが、社会に根付いたサステナビリティ意識のさらなる高まりや、円安による外国人旅行者の増加に伴う日本製品への需要増など、追い風が期待される要因が大いにある。
2024年の展望としては、真贋保証サービスの取り扱いカテゴリーの拡大や、「eBay」独自の配送サービスである「SpeedPAK(eBay公式物流サービス)」でのロジスティクスのサービス拡充を予定している。これらのイニシアティブを軸としてさらなる市場拡大を進めていく。(北村氏)