「育児経験が管理職業務に生きる」。ベンチャーEC企業の責任者と育児を両立するルームクリップの田中ゆみえGMの働き方とキャリア形成
家具とインテリアのECを展開するルームクリップのKANADEMONOカンパニーでGeneral Manager MD&QA管掌を務める田中ゆみえ氏は、成長著しいベンチャー企業の管理職業務と育児を両立する2児の母である。商品開発・生産・品質管理を行うチームのマネジメント、国内外工場とのサプライチェーンの構築など多忙な日々を送る。田中氏にEC業務で精力的に取り組んできたことや、キャリア形成とライフプランに悩む女性へのメッセージを聞いた。
EC業界で活躍する女性人材のロールモデルを体現
家具ブランドのMD、生産、品質管理などを管掌
――ルームクリップとKANADEMONOカンパニーで展開するパーソナライズ家具ブランド「KANADEMONO」について教えてほしい。
ルームクリップ 田中氏(以下、田中氏):ルームクリップは、家具を中心に住まいと暮らしのSNS・通販を手がけるサイト「ルームクリップ」を運営するルームクリップ事業と、家具ブランド「KANADEMONO」のECサイトを運営するKANADEMONO事業の大きく2つに分かれている。
私の所属はKANADEMONO事業で入社は2020年。2022年2月、ルームクリップとして初めてのGeneral Managerに抜擢いただいた。
――EC事業の足元の状況はどうか。
田中氏:堅調に推移しており、2024年度から月間受注金額が3億円を上回る月も出てきている。前年同月比で出荷金額が20%以上アップした月もある。
――EC事業における自身の役割および担当業務は。
田中氏:MD部門では売り上げ・原価率などのコントロール、商品開発・サプライヤー開拓などを担当している。QA部門では生産管理・物流・倉庫管理・品質管理を管掌している。
――EC事業における自身の実績やチャレンジについて教えてほしい。
田中氏:商品開発・仕入れを行うMDチームのマネジメントをしながら、中国や国内工場との折衝といったサプライチェーンの構築を行ってきた。あわせて、貿易関連や倉庫のマネジメント、品質管理など、家具メーカーとしてモノを作ったり動かしたりする業務の全般を担当し、創業期からの「KANADEMONO」の売り上げを支えてきたという自負がある。
2020年の入社から現時点にかけて、商品不良率を7割削減したほか、商品単位の輸送コストもピーク時の7割削減など成果につなげている。
サイトの設計や施策の運用といったECの表側の仕事というよりは、「KANADEMONO」のサプライチェーン構築に尽力してきた。コロナ禍や、自身が育児中といった事情で海外の生産地に出向くことが難しい環境下で、製品の生産を請け負う工場開拓や、品質の管理・改善をオンラインツールを活用して取り組み、品質向上と在庫の安定供給に取り組んできた。
子育てと仕事を両立しやすい。ルームクリップならではの働きやすさ
――プライベートでは幼稚園児と小学生(2024年11月時点)のお子さん2人の育児をされている。そんななか、General Managerという責任あるポストで活躍しているが、ルームクリップならではの魅力、働きやすさはどのようなものがあげられるか。
田中氏:魅力は、育児中の女性であっても意欲に応じて責任ある仕事を任せてもらえること。勤務時間の長さではなく、業務実績で評価される点も良いところ。自分の場合は、特に行動力が評価ポイントになったと聞いている。結果として今のポストを任せてもらえるようになった。
フレックスタイムやリモート勤務制度など、働き方の自由度が高い。そのため、子どもの学校行事、送迎、PTAなどへの参加も積極的に対応できる。子どもを寝かしつけてから、リモートで仕事に戻る日もある。
そのため、「仕事をしているから子どもの行事に参加できない」といった家族への後ろめたさのようなものを感じずに前向きにいられる。このことは仕事にも良い影響があり、好循環が生まれている。
男性の経営陣も、家庭では積極的に育児に参加している人が多いので、小さな子どもを育てながら仕事することに社内でも理解がある。
育児中の女性が仕事を諦めなくて良い世の中になってほしい
――働きながら育児をする女性や、ライフステージに合わせたキャリア設計を迷っている女性にメッセージをお願いしたい。
田中氏:小さな子どもを子育てする女性でも、職場環境次第では、自分のように育児とGMを両立することができるということを知ってもらえるとうれしい。子育てしながらでも、前向きに責任ある仕事をできる女性が増えたらいいなと思っている。
ECは、数ある仕事のなかでも働きやすい環境を作りやすく、女性でも比較的キャリアを継続しやすい業種。女性人材の活用をリードする業種になっていけるといい。
――一般的には、女性がキャリアを築く上で、出産・育児というライフイベントが「キャリアを中断する、あきらめる」といったネガティブなことに捉えられやすいが、どのような考えを持っているか。
田中氏:たとえば出産のために仕事を休む期間は、「仕事とは違うキャリアを積んでいる」と考えてほしい。出産・育児は、自分以外に代わりがいない重要な仕事だと思っているし、自分自身のパーソナル面も大きく成長する貴重な体験なので、焦ったり自己肯定感を下げたりせずに、やりがいを持って楽しんでもらいたい。
――育児をしているからこそ仕事面にもポジティブな影響がある、という体験はあるか。
田中氏:たくさんある。自分はルームクリップで初めて管理職を経験したが、より良いチーム作り、メンバーの個性を引き出すような育成、社内外のコミュニケーションなど、「管理する力」「チームをまとめる力」が必要となる業務の多くで子育ての経験が生かせると感じている。
この連載では、通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」(2024年11月20日に第2回授賞式)受賞者にインタビューを実施しています。本記事でとりあげた田中氏がどのような賞を受賞するかは授賞式当日に発表します。授賞式にぜひご参加ください! 参加無料・事前登録制にて、あなたのお申し込みをお待ちしています。
「ネットショップ担当者アワード」第2回授賞式は11月20日、16:15から「虎ノ門ヒルズフォーラム」にて開催。聴講無料、事前登録制です。ふるってご参加ください!
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