大嶋 喜子[執筆] 6/12 11:00

アーバンプランが実施した離職と会社へのエンゲージメントの相関性に関する調査によると、20〜30歳代の若手正社員の約6割が「会社にエンゲージメントを感じない」と回答している。その要因として、「給与・待遇」「人間関係」「働き方」などが上位にあがった。

調査対象は、調査回答時に「20〜30代の正社員として働く男女である」と回答したモニター1002人。調査期間は2025年4月16日〜17日。

離職原因の上位は業務の辛さよりも「関係性の薄さ」

過去と比較して、離職や転職についてどう感じるかを聞いたところ、「とても多くなったと感じる」が19.0%、「多くなったと感じる」が40.7%で合計59.7%が「多くなったと感じている」と回答した。

アーバンプランは「20〜30代の正社員はキャリア初期の選択肢が多様なため、より良い職場環境やスキルアップを求めて流動性が高くなる傾向にある」と指摘している。

離職者のイメージについて聞いたところ、「職場に対する不満が多い」が最多の40.0%、続いて「会社への愛着がない」が30.0%、「会社の人間関係が希薄」が25.0%だった。アーバンプランは「離職の要因が業務の辛さではなく、関係性の薄さや期待のなさであると示された。個人にとっての“働きやすさ”や“人間的なつながり”が、定着意識を左右している」と解説している。

過去と比較して、離職や転職についてどう感じるか(右)、離職者のイメージ(左:複数回答可)
過去と比較して、離職や転職についてどう感じるか(右)、離職者のイメージ(左:複数回答可)

約6割が「会社にエンゲージメントを感じない」

現在勤務している会社に対して、どの程度のエンゲージメント(愛着・貢献意欲)を感じているかを聞いたところ、「全く感じない」が16.6%、「あまり感じない」が43.2%となり、合計で約6割が「エンゲージメントを感じない」と回答している。

「全く感じない」「あまり感じない」と回答した人に、会社へのエンゲージメントの低さや不満はどういった点に感じているかを聞いたところ、最も多かったのは「給与・待遇」で58.6%、続いて「人間関係」が35.1%、「働き方」が32.2%、「オフィス環境・整備」が27.4%だった。

現在勤務している会社に対してどの程度のエンゲージメントを感じているか(右)、会社へのエンゲージメントの低さや不満はどういった点に感じているか(左:複数回答可)
現在勤務している会社に対してどの程度のエンゲージメントを感じているか(右)、会社へのエンゲージメントの低さや不満はどういった点に感じているか(左:複数回答可)

働くことの捉え方、エンゲージメントがある人は「人生を豊かにするもの」17%

会社に対するエンゲージメントの回答別に、“働くこと”の捉え方として1番近いものを聞いたところ、「会社にエンゲージメントを感じている」と回答した層は、「生活するためのお金を稼ぐ手段」が最多で36.0%、続いて「人生を豊かにしてくれるもの」が17.6%、「生きるため」が17.4%だった。

「会社にエンゲージメントを感じていない」と回答した層は、最多は同じく「生活するためのお金を稼ぐ手段」で46.3%、続いて「生きるため」が19.2%、「人生を豊かにしてくれるもの」が13.7%だった。

エンゲージメントの高い層は、働くことを自己実現や人生の充実と結びつけている人がより多い結果となっている。

働くことの捉え方として1番近いもの(左:会社へのエンゲージメントを感じていない人、右:会社へのエンゲージメントを感じている人)
働くことの捉え方として1番近いもの(左:会社へのエンゲージメントを感じていない人、右:会社へのエンゲージメントを感じている人)

過半数が「働くことの価値観は変わらない」

今後、あなたにとって「働くこと」の価値観は変わると思うかを聞いたところ、「変わると思う」が46.1%、「変わらないと思う」が53.9%だった。

「変わると思う」と回答した人に、どんなことがきっかけで変わると思うかを聞いたところ、最も多かったのは「出産・子どもができる」で20.6%、続いて「転職」が18.4%、「仕事での大きな成果」が15.6%だった。

アーバンプランは「現状の職場環境や待遇が、働く意義に直結している状況を踏まえると、社員のライフステージに合わせた柔軟な制度設計が求められる」と指摘している。

今後、働くことそのものへの価値観は変わると思うか(左)、どんなことがきっかけで変わると思うか(右)
今後、働くことそのものへの価値観は変わると思うか(左)、どんなことがきっかけで変わると思うか(右)

エンゲージメントが高い会社の理想像

エンゲージメントの高い会社の理想像について聞いたところ、最多が「給与や待遇の改善」で54.7%、続いて「柔軟な働き方の導入」が41.4%、「良い人間関係の構築」が35.7%、「快適なオフィス環境の整備」が27.6%だった。

上位の回答の内容は不満要因としてあがった内容と類似しており、満たされれば定着する要素であることがうかがえる。

エンゲージメントの高い会社の理想像(複数回答可)
エンゲージメントの高い会社の理想像(複数回答可)

7割以上が求める「パーソナルスペースの拡充」「快適なデスク・椅子の提供」

どのようなオフィス環境の改善が会社へのエンゲージメント向上に影響すると思うかを聞いたところ、「快適なデスク・椅子の提供」について、「影響する」(24.7%)と「やや影響する」(45.5%)は合計70.2%。

「共有スペースの充実(カフェ・休憩スペースなど)」について、「影響する」(23.0%)と「やや影響する」(42.2%)は合計65.2%。

「パーソナルスペースの拡充(パーソナルロッカー、パーティションのある席など)」について、「影響する」(22.7%)と「やや影響する」(47.7%)は合計70.4%。

「目的別スペースの設置(Web商談スペースや集中個室など)」について、「影響する」(18.3%)と「やや影響する」(43.2%)は合計61.5%。

「おしゃれなデザイン性(明るさ・カラーなど)」について、「影響する」(16.1%)と「やや影響する」(40.4%)は合計56.5%という結果だった。

どのようなオフィス環境の改善が会社へのエンゲージメント向上に影響すると思うか
どのようなオフィス環境の改善が会社へのエンゲージメント向上に影響すると思うか

調査概要

  • 調査期間:2025年4月16日~17日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:調査回答時に20~30代の正社員として働く男女であると回答したモニター1002人
  • モニター提供元:PRIZMAリサーチ
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