家族経営の養蜂園が販売するハチミツがAmazonで人気になった理由
小林養蜂園(1955年創業)は、はちみつの生産と販売を行う家族経営の養蜂園で、群馬県のロマンチック街道沿いの実店舗で蜂蜜の販売を行っている。夏の観光客をメインに販売を手がけていたが、今ではAmazonを通じて全国の顧客から注文が集まっているという。小林豊氏にAmazonで販売を始めた経緯や現在の取り組みなどを聞いた。
FBAの利用で、収穫量も拡大
――60年以上にわたって養蜂業を続けているそうですね。
昭和30年に私の父が農業と兼業で養蜂を始めました。1箱の巣箱から安定して販売ができる量まで蜂を増やすのに20年かかったそうです。蜂の管理は難しいうえ、収穫は天候に大きく左右されることもあり、収穫量が安定しませんでした。卸売などは行わず、主に春から夏の間だけ露店と自社通販を行ってきました。
20年前、街道沿いに実店舗を持ち、日光や尾瀬を訪れる観光客に販売を行ってきましたが、観光客が少なくなる冬場は売り上げが大幅に落ち込み、夏場の売り上げが頼りでした。しかし、観光のピークとなる春から夏は、収穫の最盛期と重なり、収穫と販売の両方に追われるため、生産も売り上げも伸ばすのは難しい状況でした。
――Amazonで販売を開始したのはどうしてですか。
2013年は天候に恵まれたためか、はちみつが大豊作になりました。例年の2倍の収穫となり、実店舗や自社の通販では売り切ることができないほどの量でした。
次の年はどうなるかもわかりませんから、投資が不要で、手軽に販売を始められるサービスを探しました。Amazonが最適だということがわかり、試しにやってみようという感じで販売を始めました。
――現在、「フルフィルメントby Amazon(FBA)」を利用していますが、その理由は。
最初の3か月はあまり売れませんでしたね。月間登録料が登録から3か月は無料だったので、特に問題はありませんでした。その頃からカスタマーレビューが付きはじめ、4か月目から次第に売り上げが伸びていきました。当時はすべて自社で発送していたので、発送作業に限界を感じてきたところで作業負担を減らそうとFBAの利用を始めました。
FBAの利用を始めてすぐに売り上げが急増し、1000本単位でAmazonにアウトソーシングした商品が売れていったのには驚きました。FBAの料金には、配送料や梱包費も含まれているので、自社発送と比べて収益も改善しました。
――売り上げが伸びたのはいいのですが、品切れなどは大丈夫なのでしょうか。
FBAを利用したことで、発送作業の負担が大幅に減り、はちみつの生産や研究にリソースを充てることができたため、収穫量も増えました。今は、カスタマーレビューを参考に、容器の形態や内容量なども検討し、さらに売り上げを伸ばそうと考えています。
年間を通して販売できますし、全国のお客さまに国産のはちみつの味を知っていただけるのは、生産者としてとてもうれしいことです。
事業者概要
- 販売サイト名:小林養蜂園
- 本社所在地:群馬県沼田市
- Amazonでの販売開始時期: 2013年8月
- 販売カテゴリー:食品・飲料・お酒
- 利用サービス:Amazon出品サービス、フルフィルメントby Amazon(FBA)