中国ECに興味のある企業は知っておきたい中国のネット通販における返品対応状況
中国政府は2017年3月、従来よりもネット通販に関する返品を厳密にした規定を施行します。中国向け越境ECを行う日本企業にも影響は及ぶのでしょうか? 解説していきます。
7日以内の返品規定が詳細かつ厳密に。越境ECは対象外
中国国家工商行政管理総局(工商総局)は2017年3月15日、「网络购买商品七日无理由退货暂行办法(ネット通販、7日以内無条件返品暫定方法)」を施行すると発表しました。
実は、返品に関する規定の施行は今回が初めではありません。2014年2月15日に施行した「网络交易管理办法」の規定をより詳細に取り決めたものになります。
今回公布された規定の内容を次のようにまとめました。
- (特殊な商品を除いて)インターネットで注文した商品に関しては7日以内の返品を可能にする
- 返品は受け取り日翌日から7日間とする
- おまけ(クーポン、ポイント、金券含む)なども本商品(返品する商品)と同様に返品するものとする
- 送料は消費者負担とする
- 4つの商品群(以下に記した①~④の商品群)は対象外とする。ただし、消費者に対してこの商品が対象外であることを購入時に確認してもらう必要がある
- 商品の品質、機能、ブランドラベルに問題がなければ返品は可能とする
対象外となる4つの商品群
①オーダーメイド商品②生鮮品、腐りやすい商品
③ダウンロード商品、開封した音源商品
④PCのソフトウェア、デジタル商品
1.と3.の特殊な商品群は、すでに公布されている規定と変更はありません。
5.に関しては、日本ではすでに標準化されていますが、中国の場合はまだ購入前の事前確認がほぼありません。おそらく日本と同様、チェックボックスで確認事項をチェックしてもら形を採用するでしょう。この確認が行われない場合、特殊な4商品群に関しても返品を受け付けなければなりません。
6.について。たとえば、家電の場合、これまでの規定であれば商品パッケージを開いた時点で返品は不可でした。今回の規定であれば商品パッケージを開いても、商品自体が2.~4.の条件を満たしていれば返品は可能になります。たとえば、商品に貼り付けてあるブランドラベルなどに傷があったり、変な加工が施されている場合は返品不可能になります。
アパレルの場合だと、タグなどを切っているものなどは返品不可になります。
越境ECサイトへの適用は?
今回の規定は越境ECサイトにも適用されるのでしょうか。施行された規定を見てみると、対象サイトは中国国内にある通販サイト(TmallやJDといったECモールを含む)とされています。対象外サイトは次の2通り。
- Tmallグローバルなどの越境ECサイト
- 海外にサーバーがある越境ECサイト
そのため、越境ECを展開している日本企業には、今回の返品規定の交付はそれほど影響がないといえます。
私はTmallなどでECサイトを運営しています。今回の規定はすでに対応している状態で、基本的に消費者からの返品はほぼ100%受け付けている状態です。
なぜなら、少しでも消費者の機嫌を損ねるとクレームになり、店舗の評価が下がってしまうから。そうなると、転換率の低下、キャンペーンに参加できなくなったり、商品検索に影響してしまうのです。
今回はタオバオやその他有名ではない現地のECモール、自社店舗などまだ整備が不十分なサイトをターゲットにした規定となります。
裏を返せば、まだまだ偽物を握らされることは日常茶飯事であり、ネット通販全体の底上げをすることで偽物などへの対策をより強化するものになるでしょう。