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インスタグラマーの写真がきっかけで、ハンドメイド販売サイトの売り上げが10倍にアップしたショップの事例を紹介します。なぜ売り上げが飛躍的にアップしたのか、ショップオーナーへのインタビューと3つの視点で分析した内容をお届けします。

写真を変えただけで売り上げ10倍にアップ?!

具体的な話をする前に、まずこちらの2つの写真をご覧ください。販売商品は、emuz-mode(エムズモード)のハンドメイド「絵本棚」です。あなたならどちらの写真が「ステキ!」と思いますか?

 

左の写真は、販売者のemuz-modeが撮ったもので、出品当初に掲載していた写真です。右の写真は、購入者であるインスタグラマーさんがインスタグラムに投稿した写真です。

この右の写真がきっかけで、売り上げが10倍にもアップしたのです。しかも、写真変更後に、値上げしたにもかかわらず、販売台数は落ち込むことなく好調が続いているそうです。そこにはどんな要因があったのか、オーナーの長谷川さんへのインタビューとともにその理由を3つの視点で解説していきます。

まず、長谷川さんが運営するemuz-mode(エムズモード)を紹介します。

  • 店舗名:emuz-mode(エムズモード)
  • 店舗:minne /Creema (ハンドメイド系のマーケットプレイスに出品)
    minne https://minne.com/@emuz
    Creema https://www.creema.jp/c/emuz-mode/
  • 商品構成:絵本棚・ワークデスク・飾り棚・シェルフ・ローテーブルなどのハンドメイドテイストの家具
  • 商品価格帯:2800円~48000円
  • 事業拠点:新潟県三条市

emuz-mode(エムズモード)は、新潟燕三条で手作りの木の家具を制作・販売しています。販売にあたり、売り場としてまず選んだのはminneとCreemaです。実店舗は持っていません。

  • minneとは
    GMOペパボ株式会社が運営するハンドメイドマーケット。アクセサリーやファッション、家具、バッグなどのハンドメイド作品が売買されている。

  • Creemaとは
    株式会社クリーマが運営する、クリエイターズ・ニューマーケット(創作者たちの新しい場所)。

上記のどちらも、ウェブサイト・アプリの両方で利用できます。ハンドメイドを行っている作家や、ハンドメイド作品が好きな女性層に多く利用されています。

ショップオーナーの長谷川さんに話を聞くと、emuz-modeの「絵本棚」は、他商品の2~3倍の価格設定で販売していたため、出品当初から好調に売れていった訳ではないそうです。しかし、minneやCreemaに掲載している商品写真を変更(下図)したことで、劇的に売れるようになったわけです。

再掲

写真変更前(上写真左)は、絵本棚のターゲットであるママたちがイメージしやすいように、子供が絵本を取り囲んで楽しんでいる写真です。一眼レフで撮影して、どちらかといえばプロっぽい写真です。

一方、変更後(上写真右)は、購入したお客様がご自身のインスタグラムに投稿したemuz-modeの絵本棚の写真です。素敵なルームスタイリングに惹かれて、このお客様に連絡を取り、ショップで写真を使わせてもらうことにしました

インスタグラマーさんの写真がきっかけでターゲット層に認知が広がり、絵本棚の紹介写真をその写真に変更することで、売れていきました。しかも、価格を安くするどころか高くしたにもかかわらず。自分も驚きです(長谷川さん)。

minneやCreemaに出品されている絵本棚のなかでは最も高いうえに、似たような商品もたくさん出てきたのですが、それでも売り上げは伸びています。当初は月に4台程度の注文で、週末などの空き時間を利用して製作する程度でしたが、現在では月間40台ほどの注文があり、専属のスタッフも雇用したそうです。

しかし、分解して考えてみると、偶然ではなく必然で売れる仕組みができ上がっていたことがわかります。

それでは、なぜこのように売れて行ったのでしょうか。その仕組みを次の3つの視点で解説していきます。

  • 売り場とインスタグラムユーザーの相性
  • 真似したくなる利用シーンの提案(スタイリング)
  • 「インスタ映え」する商品か?

1. 売り場とインスタグラムユーザーの相性

minneやCreemaを利用しているユーザーは、当然ハンドメイド雑貨好きな人々です。特に20代~30代の女性、ママなどの層が多い人気のアプリです。一方、Instagram(以下、インスタグラム)のメインユーザーも20代~30代の女性です。売り場としっかりマッチングしています。

そして、ハンドメイド系の雑貨が好きな人々は、お気に入りの商品を入手した時に行うことといえば、インスタグラムへの投稿です。実際に、インスタグラム上で「#ハンドメイド」とタグが付けられた投稿を確認すると、853万件以上(2017年8月現在)の投稿があり、アクセサリーや小物・インテリア雑貨などさまざまな写真が投稿されていて、人気のハッシュタグであることが伺えます。

ここで、ターゲットとなる20~30代の女性・ママ層が、インスタグラム上で多く利用していると考えられるハッシュタグの投稿数をいくつか比較してみたいと思います。

#カフェ 約538万件
#ランチ 約739万件
#デコ弁 約13万件
#双子コーデ 約294万件

#ハンドメイドは約853万件の投稿数ですから、いかにインスタグラムのユーザーにハンドメイドを好む人が多いかがわかります。

つまり、ハンドメイドが好きな人々はインスタグラムっぽさが好きであったり、日常的にインスタグラムを多く利用していたりする人々であることが伺えます。

インスタグラム上にお客様が投稿し、おそらくインスタグラムのアプリ上で色合い加工したであろう「いかにもインスタグラムっぽい」写真に変更したことで、インスタグラムが好きな顧客層が「いいね」と思うテイストとなり、購買意欲の向上につながったと考えられます。

2. 真似したくなる利用シーンの提案(スタイリング)

ECサイトで商品を販売する際は、アパレルならモデルを使用してスタイリングを提案したり、インテリア雑貨なら、その雑貨を配したルームコーディネート写真を掲載したり、売れるための「利用シーンの提案コンテンツ」を制作する場合が多いのではないでしょうか。

以前の写真は、「子供たちが絵本棚前で喜んで絵本を読んでいる様子」をユーザーに想起させるような写真でした。これもひとつの利用シーンの提案が含まれた写真です。しかし、部屋が映っているわけではなく、あくまで絵本棚が中心の写真でした。

一方、変更した写真のほうは、部屋のスタイリング(利用シーン、この本棚で生活がどう変わるか)がわかるような構図です。

ユーザーにとって自身のルームコーディネートの参考になるような写真となっています。「真似してみたい!」と参考になる写真であったため、よりユーザーにとっては自分事に置き換えて利用シーンを想像しやすかったのだと考えられます。

実際に購入する際に、「写真に写っている星のモビールも売っているのか?」という問い合わせが来るそうで、この写真のコーディネートをそのまま真似したいというユーザーが多いことが伺えます。

このことから、「真似できる素敵な利用シーンの提案ができているか」が、インスタグラム利用層をターゲットとした商品においては重要なポイントであることが言えます。

3. 「インスタ映え」する商品か?

このようにインスタグラムっぽい写真が、売り上げにつながっていったemuz-modeの事例ですが、同じようなインスタグラム利用者世代をメインターゲットとする商品を販売している店舗が同様に真似をしたからといって、必ずしも売り上げが上がるとは言えません。

今回の絵本棚は、結果「インスタ映えするアイテムであった」ことが、奏功したのではないかと考えています。

インスタ映えとは、投稿するユーザーにとって自身の価値がアップするような、「可愛い」「おしゃれ」「クール」な写真です。いくらインスタ世代に向けたアイテムであったとしても、そのアイテムが写り込んだ写真が「可愛い」「おしゃれ」「クール」に該当し、真似したい! と思う絵面ができなければ、今回のようにECの売り上げに直結することはなかなかないでしょう。

◇◇◇

このように3つの視点で分析してみましたが、やみくもに流行っているからインスタグラムを展開するというのではなく、今回の成功事例から逆算して考えることで、自社に照らし合わせてインスタグラムが活用できるか否かの判断ができるのではないかと思います。

着手する前に、インスタ世代とマッチングし「真似したい!」と思う絵面をそのアイテムで作ることができるのかを検討して、商品・サービスに関連するハッシュタグで見込み層がどの位のボリュームなのかを分析した上で、どの程度のリソースをインスタグラムに費やすべきかを判断されてはいかがでしょうか。

インスタグラム活用においては、発信力を増大するためにフォロワーを獲得することも重要です。フォロワーを増やすコツは、またの機会にお伝えさせていただきます。

オリジナル記事はこちら:ショップ写真vsインスタグラマー写真どっちが売れる? ハンドメイド通販で売上10倍UPの事例紹介(2017/10/03)

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安達里枝(あだちりえ)

株式会社スマイルファーム 代表取締役

新潟を拠点に、コンテンツ企画からWebサイト制作・運用・MA導入・SNS運用・集客まわりをワンストップで提供する総合プロデュース企業を経営。 2009年の創業時からグロースハックの手法を取り入れながら、ウェブを軸とした事業成長の支援を行っている。 近年では、ウェブ解析士として小規模事業から上場企業、自治体・観光サイトなど多様なジャンルのサイト解析を手掛けている。

 

  • WACA公認ウェブ解析士マスター
  • 公益財団法人 にいがた産業創造機構 
    (IT・情報化/ネットビジネス/マーケティング分野 認定専門家)
  • 株式会社スマイルファームWebサイト:https://smile-farm.co.jp/
  • facebookページ:https://www.facebook.com/smilefarm
  • サイト分析123:https://analytics123.net/ 
    (ウェブサイトの分析に特化した日本初!?の番組を配信中。会員登録で無料視聴可)

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