2か月半の自社EC停止…ユナイテッドアローズは「調査結果に基づき適切な処置を下す」「自社運営化とオムニチャネルサービスは必ずやり遂げる」
ユナイテッドアローズは自社ECサイトの運営が2019年9月12日から停止している事態を受け、12月1日付で自社EC開発部を社長直下に新設、情報システム部の部長とデジタルマーケティング部の担当執行役員の2人が自社EC開発部を管掌する組織体制に移行する。自社ECサイトの開発、オムニチャネルサービス開始に向けたインフラ整備が主な目的。
ユナイテッドアローズではECサイトを全面刷新するために自社ECの運営を9月12日に一時停止、10月中にリニューアルオープンするとしていた。だが、新システムでの運営スタートが難航し、長期にわたるサイトの運営停止を避けるため、従来システムへの切り戻しを決めた。11月27日の再開を予定しており、停止期間は約2か月半におよぶ。
「自社運営化によるオムニチャネル施策は当社の今後の成長を支える重要施策だと認識しており、必ずやり遂げる」(ユナイテッドアローズ)。プロジェクト管理を強化するために組織変更を実施し、12月1日付で自社EC開発部を社長直下に新設。担当執行役員には、過去に情報システム部長、デジタルマーケティング部長を歴任し、現在は経営企画部門とファッションマーケティング部門を担当する髙田賢二執行役員が就いた。自社EC開発部の部長は、情報システム部長が兼務する。
なお、「専門組織として推進することで責任の所在を明確にし、行動計画に基づいて進捗管理を行いながら、今後の開発を進める。手続きの都合上、組織設立は12月となるが、すでにこの体制でプロジェクト管理をスタートしている」(ユナイテッドアローズ)という。
ユナイテッドアローズでは、自社ECサイトが長期にわたって停止する事態が起きたことについて、内部監査室を中心に開発遅延とサイト停止に至った原因と責任の所在を明らかにするために調査を実施中。調査結果に基づき、適切な処置を下す予定としている。
アラタナへの委託から自社運営化に切り替える予定だった
ユナイテッドアローズは2019年秋に、自社ECサイトの開発と運営体制を自社主導に切り替える方針を掲げていた。これまでECシステムの開発や運営を委託していたのはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO子会社のアラタナ。ECサイト運営の一時停止措置は、自社主導に切り替えるため。
システム開発を内製化し、機能追加の迅速化、オムニチャネルサービスの強化などを進める方針だった。自社ECの内製化に向けて物流センターも再編し、流山センターを入出荷と自社EC運営用に特化。他の付帯業務を他センターに移管している。
流山センターでは、ECサイトで購入された商品の店舗への直送、店舗で取り扱いのない商品の店舗への配送、ギフトラッピング対応など、実店舗とネット通販の垣根をなくす取り組みの多くを実現するとしている。
ユナイテッドアローズの2019年3月期におけるEC売上高は、前期比12.0%増の263億3600万円。単体売上高に占める割合(EC化率)は20.0%。EC化率は前の期と比べて1.7ポイント上昇している。