石居 岳 2022/2/8 7:00

ユナイテッドアローズは2022年3月上旬、自社ECサイト「ユナイテッドアローズ オンラインストア」をリニューアルオープンする。

ZOZOに自社ECの運用を業務委託していた体制から自社運営に切り替える。最新システムを採用し基本スペックを向上、将来的なOMO施策の実現を担保する設計となっている。自社物流センターにフルフィルメント拠点を置き、各種サービスレベルの改善を通じた顧客体験価値の向上を図る。

「とりわけ在庫の効率化が図れることで、販売機会ロスの削減やリードタイムの短縮、在庫移動減少によるコスト低減などが図れる」(ユナイテッドアローズ)としている。

ユナイテッドアローズ 自社ECサイトのリニューアルについて
自社ECサイトのリニューアルについて(画像はユナイテッドアローズの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

基本機能の改善

最新システムの採用でサイト表示速度を改善、基本スペックを向上させる。検索ワードの入力を補助するサジェスト検索や検索条件の保存を含む検索機能の改善、カート投入から決済までのステップ短縮などでユーザビリティを上げていく。

販売スタッフの個人アカウントで商品を紹介するショートブログを追加しスタッフコンテンツを拡充、実店舗の接客販売力をオンライン上で再現する。顧客によるレビューも追加し、買い物をサポートする。セキュリティレベルも上げ、より安全に買い物ができるサイトにする。

アプリの進化

従来の買い物機能特化型から、オンラインストアのニュース、特集、各種スタッフコンテンツなどが閲覧可能なコミュニケーション性の高いアプリに切り替え、顧客との接触頻度を上げていく。

商品下げ札についたバーコードを読み込み、商品紹介ページを開くスキャン機能も追加。店頭で気になる商品があった際、スタッフに声掛けしなくても商品詳細が確認でき、そのままお気に入りに保存もできる。

CSレベルの向上

サービスの拡充で顧客の体験価値を高める。オリジナルの梱包資材を使った店頭品質に近い包装で届け、実店舗で購入した時と同様のワクワク感で満足度を上げる。物流センターの在庫を自社ECサイトの在庫として引き当てられるようにし、最短配送に対応する商品も拡大する。

実店舗の在庫を確保してから来店したい、実際に試着してサイズ確認してから購入したいというニーズは依然として高く、一時中断していた店頭試着予約サービスも再開する。

購入品の受け取りも注文時に置き配サービスを選択できるようにして利便性を高める。商品の返品についても手続きを簡便化し、自宅、コンビニ、宅配ロッカーなど、顧客の都合のよい場所から、QRコードを使って送り状を書く手間なく返送できるようにする。

ユナイテッドアローズ 自社ECサイトのリニューアルについて
「基本機能の改善」「アプリの進化」「CSレベルの向上」について(画像はユナイテッドアローズの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

効率的な在庫運営

フルフィルメント拠点を自社物流センター内に設置、効率的な在庫運営につなげる。これまで自社EC業務の委託先であるZOZOの倉庫に自社EC用とZOZOTOWN用の在庫をまとめて配分していた。

今後は自社物流センターのフリー在庫を自社ECに引き当てられるようにする。在庫の奥行きを広げ、販売機会ロスを低下させる。実店舗を絡めたOMO施策も予定しており、実店舗への在庫配分の適正化も含めた在庫運用の効率化を図る。

コスト構造の改善

SaaSサービスの活用で開発投資金額を抑制する。システム保守費用など一部コストの固定費化を図り、従来の変動費モデルから運営コストを低減させる。実店舗の売り上げ増にも寄与するため厳密な費用対効果の算出は難しいものの、自社ECサイトの売上・利益だけで初期投資の回収が2~3年、現在の運営体制からの収益性改善は2年後を想定している。

OMOへの発展性

現段階ではECサイトの基本機能を新しい仕組みに置き換え、安定的に運用することを第一としているため、実店舗も絡めたOMO施策まではカバーしていない。今後も継続的に開発投資を行い、実店舗のデジタル化も進めながらOMO施策を開始。自社ECサイトのサービスレベルを実店舗に近づけていく。

CRMの進化と連動させ、将来的には1人ひとりに最適化した精度の高いサービスをオンラインとオフラインの枠を超えて提供する。顧客の行動変化に即し、実店舗と自社ECサイトをまたいだ買い物体験の課題解決を進め、ライフタイムバリューを高めていく。

ユナイテッドアローズ 自社ECサイトのリニューアルについて
「効率的な在庫運営」「コスト構造の改善」「OMOへの発展性」について(画像はユナイテッドアローズの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

ユナイテッドアローズは2019年、ECサイトを全面刷新するために自社ECの運営を一時停止した。新システムでの運営スタートが難航。長期にわたるサイトの運営停止を避けるため、従来のシステムへ戻した。

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