通販新聞 2014/11/6 7:00

ネット販売が進展するとともに、企業のソーシャルメディア活用が進む中で、やや変わったコラボレーション商品や企画がみられるようになってきている。大手通販会社では、ツイッターのつぶやきをきっかけにした商品を開発。SNSのユーザーから好意的な反応を得ている。一方、ネット販売企業の中には、大手飲料メーカーと組んで大々的に広告を展開し、通販サイトの知名度増を図る例もみられる。4社の事例を取りあげ、通販企業と異業種との、やや変わったコラボを探った。

漫画全巻ドットコム、缶コーヒーとコラボ

「漫画全巻ドットコム」と「Roots(ルーツ)」のコラボ
「漫画全巻ドットコム」と「Roots(ルーツ)」のコラボ

漫画の全巻セット販売を手掛ける通販サイト「漫画全巻ドットコム」を運営するTORICOは9月、日本たばこ産業(JT)の缶コーヒー「Roots(ルーツ)」とコラボレーションして「夢のマンガ全巻大人買い! キャンペーン」を開始した。缶コーヒーに添付されたシールに記されているシリアルナンバーを集めて特設サイトから応募すると、漫画全巻ドットコムで使えるクーポンなどが抽選で当たるというものだ。

「Roots」に添付された応募シールを集めることで、クーポンや「楽天Edy」が当たる。キャンペーン期間は来年2月28日まで。シールは1枚につき1ポイントで、50ポイント集めると、20名に10万円分のクーポン、20ポイント集めると100名に4万円分のクーポン、10ポイントは400名に2万円分のクーポン、5ポイントは2000名に5000円分のクーポンをそれぞれプレゼント。また、1ポイントでも1万7000名に楽天Edy1000円分が当たる。希望するプレゼントを選ぶとその場で抽選が行われ、総計2万名に当たる。

キャンペーンにあわせて、テレビCMをはじめとした宣伝を実施。CMは、女性が自室で「大人買い」した漫画に埋もれるようにして、幸せそうに読むという内容だ。

また、地下鉄の渋谷駅と小田急線の新宿駅では、古い作品から最近の作品まで、知名度の高い漫画の背表紙をずらりと並べた、長大な広告を通路に掲出。漫画で埋め尽くされた通路の壁が通行人の注目を集めている。TORICOでは、同社のフェイスブックページに駅の様子を掲載。通販サイトとのコラボだけに、各出版社の作品が広告に使えるのが特徴となる。

ポイントをもらった消費者の通販サイトでの購入が見込めるほか、キャンペーンを通じたサイトそのものの知名度増も期待できそうだ。

TORICOが展開した地下鉄の長大な広告
TORICOが展開した地下鉄の長大な広告

ニッセン、人気小説とコラボ

ニッセンが人気小説とコラボした事例

ニッセンのツイッターでは、担当の「スミス」氏が人気キャラクターとなっており、つぶやきから意外な形でのコラボ商品も生まれている。最近話題となっているのが、人気小説・銀河英雄伝説(銀英伝)とのコラボ企画だ。ユーザーからの「ニッセンさんは銀英とコラボなどいかがでしょう」という声に対し、「銀英伝は日ごろからオーベルシュタインとフレデリカ(注‥小説のキャラクター)を、たゆまずしっかり押していきたく思っております」とツイートした。これに対し、銀英伝の作者である田中芳樹氏の事務所代表・安達裕章氏が、「田中芳樹事務所的には、いつまでもお待ちしております」とわずか40秒後に返信。トントン拍子でコラボの流れに。

そして9月1日、コラボ企画「わが征(ゆ)くは星の通販」(=画像)の第1弾として、スマートフォンケース3種類、ワイングラス2種類、Tシャツ2種類の合計7種類を発売。売れ行きは好調なようで、同社ツイッターで発売日の10時9分に販売開始を告知。19分後の10時28分に「初回入荷在庫数まで注文が達した」という旨のツイートが。予想以上のペースで注文が殺到したようだ。

ニッセンでは今回の取り組みについて、「当社の企画というより、『スミス案件』というべきもの。スミスはバーチャルな世界のキャラクターという位置付けなので......」(ニッセンホールディングス広報企画室)と多くを語らない。ニッセンは若い女性が主力顧客のため、スミス氏の「ネット住民に受けるキャラクター」とは相容れない部分があるのだろうが、これまでニッセンを良く知らなかった層へのアピールができているのは確か。コラボグッズ売り切れの際に丁寧にサポートのツイートをしたり、第2弾として発売予定のコラボグッズのサンプル写真を先行して紹介したり、ツイッターの活用法は他社が学ぶべき点も多そうだ。

ピーチ・ジョン、人気アニメとコラボ

ピーチ・ジョンのコラボ
ピーチ・ジョンは人気アニメとコラボ

ピーチ・ジョンは9月19日から10月1日までの期間限定で予約販売した、漫画「美少女戦士セーラームーン」とのコラボレーション下着が好調だった。アニメ放送時に「セーラームーン」を視聴していた世代と自社の顧客層が合致。小嶋陽菜さんが着用したことによる話題性でくちコミが広がり、予想以上の予約数を獲得した。

予約販売で取り扱ったのは「美少女戦士セーラームーン×PEACHJOHNコラボシリーズ」。コラボは2回目で、下着のセットに加えて、新たにルームウェアなどを投入し全4アイテムを展開。人気アイテムは「Newセーラームーンなりきりブラセット」(画像=税込価格7538円)はブラとパンティのセットだった。

「なりきりブラセット」のヒットの理由は、これまでなかったスカートをセットにして"本物の衣装"に近づけ、モチーフとしたキャラクターを5体から10体に拡大。さらに、サイズ展開も第1弾販売時の要望を踏まえてB~Fカップまで増やした。

発売直後から、ツイッターなどのSNSでくちコミが拡大。「着用したい」、「コレクションしたい」などの声が挙がったり情報が拡散。小嶋さんの着用画像の公開で、「かわいい」、「欲しい」などの共感の声が広がったという。

購入者層は自社顧客層に合致する20~30代が中心で、10~40代の受注もあった。漫画は1992年にスタートし、アニメ化されるなど現在でも人気の作品で幅広い層からの人気を得ている。当時アニメを視聴していた層を取り込んだことで、新規客の獲得にも寄与したようだ。

フェリシモ、漫画家とコラボ

フェリシモのコラボ
フェリシモは漫画家とコラボ

フェリシモは10月2日、ネコによるひっかき傷を隠すばんそうこう「にゃんそうこう」のウェブ予約販売を開始した。

ネコ好きをターゲットとした「猫部(ねこぶ)」から発売する。飼い主がネコにひっかき傷をつけられた際、「(手首を自傷した)ためらい傷」など、他人からあらぬ疑いをかけられる前に「私がやりましたが何か」「ニャに者かによる傷」などのイラストとメッセージによって「ネコによる傷」と分かる、アイデア商品となっている。

新商品は、漫画家の山野りんりん氏のアイデアから生まれた。今年5月、「猫部」のツイッターが「いまネコと暮らすのに欲しいサービスを考えているのですが、みにゃさま何か案はありますでしょうか?」とアイデアを募集したところ、山野氏が「このようなばんそうこうを考えてみたのですが、いかがでしょうか」と、ネコの引っかき傷を隠すばんそうこうの案を、イラスト付きで返信したのがきっかけ(=画像)。猫部では「これうちでつくっちゃっても大丈夫ですか!?」と返信。多くのフォロワーから「かわいい!」「ぜひ商品化を!」などの反響があり、企画がスタートした。

フェリシモのコラボ②
ツイッターの投稿がきっかけとなり商品化へ

複数の原画案の中から、500名を超えるユーザーの投票により商品化するデザインが選ばれ、6つのデザインが決定。発案・デザインの山野氏は、「動物たちが平和に暮らせるお手伝いがしたい」として、原稿料を全額基金にしたという。

1セットは24枚(6種類・各4枚)で、価格は税別560円。山野氏描きおろしのオリジナルニャース(ナース)が描かれたパッケージも付属する。商品は、12月下旬から来年1月下旬に届く。販売額のうち30円は、飼い主のいない動物の保護や里親探し活動に役立てられる。

猫部サイトの紹介ページでは「ばんそうこうって地味なので、こんなばんそうこうをつけたらテンション上がりますね」「ツイッター見たときから購入は決めてました!」「かわいい!かわいすぎる!」など、好意的なコメントが寄せられている。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]