OMO型店舗を拡大する青山商事、ネットとリアルの融合システム「デジラボ」を120店舗導入予定
青山商事は今期(2023年3月期)、「洋服の青山」120店舗にネットとリアルの融合システム「デジラボ」を導入する。2022年3月末時点で導入店舗数は155店舗。6月14日から順次開始し、来店した顧客に「洋服の青山」ならではの買い物体験を提供していく。
「デジラボ」は、ネット連携による豊富な在庫数とリアル店舗の接客サービスの両メリットを最大限に生かした青山商事の独自システム。導入店の店内には、全店の在庫と連動するタッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末を複数設置。顧客はこれらの端末を使い1000万点以上ある在庫のなかから好みの商品を選ぶことができる。
販売員の接客を受けながら商品の色柄や着心地などを確認した上で購入することも可能。システムを利用して商品を購入すると商品は自宅配送になる。購入後は手ぶらで帰ることができ、後日店に商品を受け取りに行く手間も不要となる。
また、店舗とECサイトの両方を利用する併用顧客の拡大にもつなげている。
「デジラボ」の導入店では、同じ色柄のスーツをサイズ別で保有する必要がなく、限られたスペースで多くの種類を陳列できることから、開始当初は主に都市部の売場面積100坪未満の狭小店を中心に導入してきた。ただ、ネット連携による豊富な品ぞろえと利便性の高さなどが反響を呼んでおり、現在では全国の大型・中型店への導入も進めている。
システムを導入した店舗ではスーツ売り場の一部を縮小。オーダースーツコーナー・テレワークにも対応するビジネスカジュアル商品やレディース商品を拡充するなど、売り場の再構築を行っている。
中期経営計画で掲げたOMO戦略による顧客接点の拡大では、店舗とECを相互利用する併用顧客を増やし、店舗とECそれぞれの売上高を拡大する方針を掲げている。「デジラボ」の導入で、在庫の縮小と売り場スペースの創出によって新アイテムやサービスを投入。接客端末などを活用したオンライン接客で、顧客接点を拡大していく。
2022年3月期のEC売上は前期比横ばいの26億円だが、デジタル会員数は堅調に増加している。2021年3月末時点でメール会員、アプリ会員を中心としたデジタル会員は合計1283万人だったが、2022年3月末時点では前期比193万人増の1476万人に増加している。
メールアドレスなどの顧客基盤は拡大。「デジラボ」のECシステム利用売上も着実に増えているという。