鳥栖 剛[執筆] 6/7 7:30

JR東日本グループはSuica経済圏のデジタル・リアルにまたがる拡大をめざし、「えきねっと」など各種サービスのID統合と各機能などをまとめた「Suicaアプリ」(仮称)をリリースする。6月4日に中長期ビジネス成長戦略として方針を明らかにした。構想ではコマース領域としてECやOMOに関するサービスも拡充するとしている。

東日本旅客鉄道株(JR東日本)が策定した中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」では、「Suicaの進化」による新たな「デジタルプラットフォーム」の構築を成長戦略に掲げている。新たな「Suica アプリ」をリリースし、Suicaを「移動のデバイス」から「生活のデバイス」に進化。デジタルとリアルにまたがる「Suica経済圏」を拡大させていく。

JR東日本グループはSuica経済圏のデジタル・リアルにまたがる拡大をめざし、「えきねっと」など各種サービスのID統合と各機能などをまとめた「Suicaアプリ」(仮称)をリリースする。6月4日に中長期ビジネス成長戦略として方針を明らかにした。構想ではコマース領域としてECやOMOに関するサービスも拡充するとしている
2027年度までに各種サービスのID統合を行う(編集部がIR資料からキャプチャ)

2027年度までに、JRE POINTをデータプラットフォームとして「えきねっと」「モバイルSuica」「ビューカード」、ECモール「JRE MALL」などの各種サービスのID統合を行う。クラウド化による新しい鉄道チケットシステムも始める。

2028年度に各機能を集約した「Suicaアプリ」をリリースする予定。統合IDをフロントに列車予約や定期券から物販やモバイルオーダー、配送手配などをシームレスに利用できるようにする。

今後10年の間に「Suicaアプリ」に移動と一体のチケットサービス、金融・決済、生体認証、マイナンバーカード、タイミングマーケティング、健康、学び、物流、行政・地域サービスとの連携などといった機能も拡充していく考え。

データマーケティングによるビジネス圏の拡大もめざす。進化した「Suica」に集まるビッグデータを最大限活用する。移動データを結び付け、ユーザーの行動・趣味嗜好などに適したOne to Oneのデジタルコミュニケーションを通じたビジネス開発を進める。海外展開も視野に入れる。

進化した「Suica」が提供するサービス体験構想のグランドデザインでは、コマース領域についても触れている。「Suicaアプリ」を軸に、ECでは商業施設連携などを通じて駅・店舗受け取りなどを提供。OMO分野ではモバイルオーダーや駅商圏の各種サービス予約などを提供していく。また、ECの購入履歴と駅の改札タッチを連携させ、タイムリーな配達予約の展開なども検討しているようだ。

JR東日本グループはSuica経済圏のデジタル・リアルにまたがる拡大をめざし、「えきねっと」など各種サービスのID統合と各機能などをまとめた「Suicaアプリ」(仮称)をリリースする。6月4日に中長期ビジネス成長戦略として方針を明らかにした。構想ではコマース領域としてECやOMOに関するサービスも拡充するとしている
進化したSuicaがカバーするサービスのグランドデザイン(編集部がIR資料からキャプチャ)

数値目標としては、2033年度における生活ソリューションの営業収益・営業利益を2023年度比で2倍にすることをめざす。2023年度の生活ソリューションにおける営業収益は8470億円、営業利益は1703億円だった。

JR東日本では2016年に共通ポイント「JREポイント」を発足、「Suicaポイントクラブ」「ビューサンクスポイント」など各サービスでわかれていたポイントプログラムの共通化を進めた。

最近では、5月からネットバンク「JRE BANK」を開始した。利用状況に応じた特典内容の豪華さなどが話題となった。5月末には首都圏の私鉄ら8社共同で2026年度末以降、磁気乗車券からQRコードを使用した乗車券への置き換えを行うと発表している。一方で交通系ICを取り巻く環境として、九州・熊本の路線バスなどでは機器費用負担の問題で全国交通系ICカードのサービスを2024年内に撤退するという動きもある。

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