高山 隆司 2015/7/7 9:00
この記事は『ネット通販は「物流」が決め手!』(ダイヤモンド社刊)の内容を、特別に公開しているものです。

ネット通販の分類と成長マップ

ネット通販には大小さまざまな事業者が参入している。物流を考える場合、どのようなタイプのショップかということは重要な前提条件であり、いくつかの分類をここでみておこう。

①ネットショップの出自による分類・個人商店 個人商店のネットショップ・企業のEC事業部門 新規事業、リアル店舗とのクロス・マーケティング、メーカー定番のEC
②販売チャネルによる分類・仮想モール出店・自社サイト→マルチドメイン→クロスメディア
③扱い商品による分類・単品通販型・総合通販型
図表5 ネット通販の分類

第一の分類法は出自によるものだ。大きく分けると、中小の個人商店と規模の大きな企業のEC事業部門とがある。

個人商店の中には早くからネット通販に参入し、楽天市場などの仮想モールに出店して事業を行っているところもある。

一方、企業のEC事業部門は、メーカーが自社商品を直販するためにサイトを立ち上げたり、メディア系企業が新規事業として始めたり、あるいは流通系がリアル店舗とのクロス・マーケティングの一環として手掛けたりするものである。

第二の分類法は、販売チャネルに着目したものだ。これも大きく分けると、仮想モールに出店するものと、自社サイトをメインにするものがある。前者は個人商店が多く、後社は大手企業でよくみられる。

ただし、仮想モールへの出店が中心だった個人商店も最近は自社サイトをつくるようになり、自社サイトから出発した大企業も仮想モールに出店するなど、マルチドメインが一般化している。

並行してSNSやマス媒体など様々なメディアを組み合わせるクロスメディア化が進んでいるのも最近の傾向だ。

第三の分類法は、扱い商品によるものだ。大きくは単品通販型と総合通販型に分けられる。

単品通販型は特定ジャンルのごく少数の商品を扱うもので、化粧品や健康食品に多い。「単品通販」のほか「リピート通販」と呼ばれてきたものだ。

一方、総合通販型は複数のジャンルにまたがる多数の商品を扱うもので、ファッション、雑貨、あるいはアマゾンのような巨大ショップがあてはまる。

扱い商品による分類は、ビジネスモデルの違いにもつながる。単品通販型の場合、長期間にわたって定期的に購入してもらうファンを育成するため、コールセンターに顧客ステイタス※別に担当者を置いたり、SNSを活用したリテンション・マーケティングに力を入れるケースが多い。

一方、総合通販型もリピーター客の育成が重要ではあるが、それ以上に新規顧客の獲得を継続していく必要がある。検索連動型広告などのインターネットマーケティングをフル活用し、大々的なプロモーションに力を入れたりすることになる。

顧客ステイタス…単品通販の場合、顧客のリピート(=育成)を重視するため、初めてのトライアル商品購入客・正規商品購入客・定期購入客といったステイタス管理をしている。そのためコールセンター対応はもちろん、出荷時に商品に同梱する挨拶状やパンフレットも顧客ステイタス毎に違うものを同梱している。

ネットショップの成長段階

以上のようなネット通販企業の分類を、売上規模を基準としたショップの成長段階に応じてさらに整理してみよう。

ネットショップの成長段階
図表6 ネットショップの成長段階

年間売上高1億円未満は「創業期」である。個人商店であろうと大手企業であろうと、ネット通販としてはスタートアップ段階である。

この段階では、個人商店はモール出店型が圧倒的多数である。大企業が新規事業として立ち上げる場合は自社ドメイン型が多い。最近は、個人商店も大企業も複数のサイトを持つマルチドメインが一般的になってきているが、どちらからスタートするのが効率的かはよく検討すべきだろう。

年間売上高が1億円を超えると、事業の成長に勢いがついてくる。仮想モールへの出店のみでも1億円超の売上は可能であり、この段階で自社ドメインを立ち上げるケースも多い。大企業の場合は、当初からテレビや新聞などのマス広告を行えば、このレベルは比較的早くクリアできるだろう。

次に、年商10億円がひとつの壁になる。個人商店の場合は、自営業から会社組織への移行が必須となる。

社内体制の整備、各種情報システムの導入、一部業務のアウトソーシングなどでサービスの安定化を図り、それによって生まれた人的リソースを「顧客のファン化」のため、マーチャンダイジングやプロモーションに投入することが10億円を超えるためにはどうしても必要だ。

年間売上が10億円を超えると、一般に固定費比率が低いネット通販事業は安定期に入る。個人商店でも名前を知られた有名ブランドとなり、大企業のネット通販事業では一定の利益を確実に生み、本業との相乗効果が出てくる。

さらに年間売上げが30億円を超えてくると、多くの人が知っているメガ・ブランドとなるが、ここまでたどり着けるショップは少数である。

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