越境ECの実施企業、9割以上が売上アップを実感。前年比1.5倍以上の成長企業や、多数国の進出企業による効果的な施策とは

調査の結果、9割以上が越境ECで事業成長を実感していることがわかった。効果的なマーケティング施策は進出先の国ごとに差異が見られる

大嶋 喜子[執筆]

4月23日 6:30

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを手がけるディーエムソリューションズは、越境EC事業を手がける全国の20歳〜50歳代の責任者や担当者700人を対象に実施した「越境EC事業の運用手法に関する実態調査」の結果を発表した。

越境EC事業の前年対比の売り上げを聞いたところ、「100〜109%で成長」が40.7%、「110〜149%で成長」が37.7%、「150%以上の成長」が12.7%。9割以上が事業成長を実感していることがわかった。

越境EC事業の売上状況についての前年対比
越境EC事業の売上状況

越境ECで最初に進出した国は「アメリカ」が最多の28.1%、続いて「中国」が27.1%、「台湾」が18.6%、「韓国」が12.0%だった。

越境ECで最初に進出した国
越境ECで最初に進出した国

越境ECの運用における外注状況について、「自社のみ」と回答したのは全体の5.0%。95%が国内または進出先国の支援会社に外注していることがわかった。外注している会社の数は「3社」と回答した人が最も多く29.6%だった。

越境ECの運用において外注している会社の数
越境ECの運用において外注している会社の数

進出先国数別の外注会社数について、1か国のみに進出しているEC事業者で最も多かったのは「2社」で33.0%、続いて「1社」が30.9%だった。5か国以上に進出しているEC事業者で最も多かったのは「5社」で30.8%、続いて「3社」が22.6%だった。

ディーエムソリューションズは「初期段階では、幅広いサポートを提供する少数のパートナーと連携することで、コストを抑えつつ効率的な立ち上げをめざす戦略が有効。複数国への展開が進み、事業が拡大した段階では、各国の専門知識やネットワークを持つ複数のパートナーと連携する戦略によって、より専門性の高い対応や新たな成長機会の獲得をめざすことができる」と解説している。

越境ECの運用において外注している会社の数(左:1か国のみに進出/右:5か国以上に進出)
進出先国数別の外注会社数(左:1か国のみに進出している事業者、右:5か国以上に進出している事業者)

複数の外注先を利用しているEC事業者に、外注先の複数化によって工数が増えたり管理が煩雑になったと感じるかを聞いたところ、「まあまあ思う」が最多で58.5%、続いて「非常に思う」が26.8%だった。合計すると85%以上が外注先の管理の煩雑化を感じていることがわかった。

外注先の複数化によって工数が増えたり管理が煩雑になったと感じるか
外注先の複数化によって工数が増えたり管理が煩雑になったと感じるか

越境ECでの成果のあがったマーケティング施策を聞いたところ、前年対比で1.5倍以上成長しているEC事業者の回答で最も多かったのは「クラウドファンディング」で46.1%、続いて、「リスティング広告」が43.8%、「アフィリエイト広告」が36.0%だった。

ディーエムソリューションズは「高成長企業においてクラウドファンディングが重視されている理由は、単なる資金調達に留まらず、製品のプレローンチやブランド認知度の向上、熱心なファンコミュニティの形成など、多角的な効果を期待できるためかもしれない」と考察している。

効果があったマーケティング施策(前年対比の越境EC成長率が50%以上の事業者)
効果があったマーケティング施策(前年対比の越境EC成長率が50%以上の事業者)

5か国以上に進出しているEC事業者に越境EC運用で効果のあったマーケティング施策を聞いたところ、最多は「リスティング広告」で39.8%、続いて「アフィリエイト広告」が36.1%、「SNS広告」が35.3%だった。「複数国に進出している企業がリスティング広告を重視しているのは、広範囲なターゲットに効率的にリーチできるというメリットがあらためて認識されているためと考えられる」(ディーエムソリューションズ)

効果があったマーケティング施策(5か国以上に進出しているEC事業者)
効果があったマーケティング施策(5か国以上に進出しているEC事業者)

越境EC進出先の上位5か国(米国、中国、台湾、韓国、東南アジア)による、国別の効果のあったマーケティング施策を聞いたところ、進出先国によって効果的なマーケティング施策に差異があった。

米国では「リスティング広告」が最多で40.6%、続いて「クラウドファンディング」が40.1%だった。進出国として米国に次ぐ人気の中国では、最も効果のあったマーケティング施策は米国と同じく「リスティング広告」で38.9%、続いて「アフィリエイト広告」が36.3%だった。

越境EC進出先上位5か国による国別の効果のあったマーケティング施策
越境EC進出先上位5か国による国別の効果のあったマーケティング施策

調査概要

  • 調査対象:20〜50歳代の男女700人。内訳は、EC事業における責任者219人、担当者309人、フロント寄りが114人、バックヤード寄りが58人
  • 調査対象者の現在の越境EC進出先国数:1か国のみが188人、2~4か国が382人、5か国以上が130人
  • 調査条件:越境EC事業を運営している責任者・担当者
  • 調査対象エリア:全国
  • 調査期間:2025年4月2日~5日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査元:ウルロジ

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