米国EC市場で売上高20億円目指すハミィ、欧州にも進出しグローバル展開に挑む
スマホ用グッズのECやEC事業者向け業務管理システムを提供するハミィは今春、米国市場でのECに本格参入する。このほど米国カルフォルニア州に事務所と併設した物流倉庫を設置。これまで日本から米国に商品を発送していた体制から、米国内から消費者に商品を届ける体制に切り替えた。米国での売り上げは順調に広がっているようで、5年後には米国向けのEC売上高を20億円まで引き上げる考え。ハミィは欧州にも進出しており、創業から今も拠点を置く「神奈川県小田原市」発のグローバル企業を目指す。
米国向けEC事業の規模は現在1.5億円
昨年12月の月商は5000万円まで高まった。米国内でのECの感触はとてもいい。5年程度で20億円規模を目指したい。
スマホ用グッズのECを手掛けるハミィは昨年5月、米国法人を設立。昨年から現地法人の指揮を執る小俣勇次・ハミィ副社長は、米国EC市場における感触をこう説明する。
小俣氏は、1999年に家電量販のノジマにて取締役DB推進室長として「いーでじ!」の立ち上げに携わり、楽天市場初となる月商1億円を達成。同サイトを運営するノジマ子会社のイーネット・ジャパン(現在はノジマ)社長を経て、楽天にてECコンサルタントとして活躍。現在はハミィの取締役副社長として経営に携わっている。
ハミィは2001年3月から、「Strapya World」という英語圏向けのECサイトを運営しており、13年4月期における海外向けEC事業の年商規模は約1億5000万円。2011年開設の「Strapya World Amazon」は米国向けのアマゾン店で、開設後6カ月で月商100万円を突破した店舗だ。
小俣副社長は米国EC市場における重点店舗は、「自社サイト、アマゾン、ebay」と説明。米国法人ではアメリカ人を3人採用。現地スタッフがアマゾン店、「ebay」店、自社サイトの運営を担当している。
これまでハミィは、日本から米国の購入者に商品を送っていたため、米国内の同業と比べて配送料を含めると割高になっていた。この経営課題を解消するため、米国カルフォルニア州に事務所併設の倉庫を開設。一部商品は日本からの配送になるが、米国で製造された商品は米国倉庫に直接納入するなどして、4月21日から米国内からの商品配送を始めている。
従来、日本から米国に商品を送るには1000円超の送料がかかっていたが、米国内に倉庫を構え、USPS(アメリカ合衆国郵便公社)を使うことで配送費用は500円まで圧縮。米国ユーザーから見ると、配送コストが圧縮された分、従来よりも手ごろな価格で購入することができる環境になった。これにより、米国の競合企業と同じ土俵で戦える環境となり、さらなる事業規模拡大に向けた準備が整った格好だ。
アマゾンに真似られるリスクを減らし、自社企画製品でヒット狙う
ハミィは米国の他、昨年11月から、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインといった各欧州地域で事業展開しているアマゾンに出店。英語でサイトを構築し、売れた商品は日本から商品を配送している。各海外でのアマゾンへの出店はテストと位置付けているが、「いま最も力を入れているのは米国のアマゾン」と小俣副社長は説明する。
米国と日本では売れ筋は異なるようで、「キャラクターグッズの売れ行きがいい。アマゾンではスマートフォンケースなどが売れている」(小俣副社長)という。
世界各地のアマゾンに出店しているハミィだが、危機感も抱いている。アマゾンは出店店舗の販売状況を把握し、売れている商品を自社の直接販売部門で取り扱うケースが多発しており、こうしたアマゾンの手法に警戒感を抱くEC事業者は多い。このアマゾンの販売手法は、日本以外の各海外のアマゾンでも同様のようだ。小俣副社長は今後、米国のアマゾンを中心に売上高を伸ばしていくには、「商品力を強化しなければならない。自社オリジナルのヒット商品を作る必要がある」と課題を上げる。現在、日本のハミィにおける自社企画商品の割合は4割まで高まっており、米国ハミィでもオリジナル商材の拡販に注力する方針。
米国では、複数店舗の業務を一元管理するツールなどを提供するプラットフォーム「ネクストエンジン」の米国版の販売も計画。まずは米国ハミィが、米国の楽天、グル―ポンなどに出店し、多店舗展開を進める。米国のモールへの出店を重ねてノウハウを蓄積、現地企業やこれから米国市場に足を踏み入れたいEC企業のEC運営をサポートする業務も手掛ける計画も着々と進めている。