中川 昌俊 2016/3/14 8:00

楽天は4月から、有力店舗によるコンサルティングサービス「R-Nations(アールネーションズ)」の提供を開始する。対象店舗25店舗を2月中に決定し、すべての店舗で1年以内に月商1000万円の突破をめざす。楽天はこれまで、社員がコンサルタントとなり、出店者の成長をサポートしてきた。実績のある店舗が、楽天出店者をコンサルするサービスを始める経緯や狙い、今後について、「R-Nations」を推進してきた楽天の城戸幸一郎執行役員に話を聞いた。

「Z-CRAFT」近藤氏「SILVER BULLET」高木氏などがコンサルティング

――「R-Nations」とはどんなサービスなのですか。

「楽天市場」内で売り上げを伸ばすことができていない店舗に対して、自店舗を成功に導いてきた店舗がコンサルティングを行うことで、1年以内に月商1000万円を突破することを目標としたサービスです。

オープンから1年以上運営し、2015年下半期の流通総額が100万~300万円などの条件に当てはまる店舗が主な対象となります。今回は、応募いただいた店舗の中から25店舗に限定してサービスを行う予定です。

コンサルティングを行うのは、楽天で有力店舗を運営する5人。「Z-CRAFT」の近藤武志氏、「SILVER BULLET」の高木孝氏、「イーザッカマニアストアーズ」の今石雄介氏、「北海道お土産探検隊」の小笠原航氏、「爽快ドラッグ」の小森紀昭氏。それぞれ5店舗ずつコンサルティングしてもらう予定です。

――5人に白羽の矢が当たった理由は。

私の方で商品ジャンルのほか、それぞれの経歴から選びました。小森さんは大手企業の社員から社長になった方、近藤さんは企業の一部署の責任者としてゼロからECを始めました。高木さんはアパレル企業のEC担当からスピンアウトして社長になり、小笠原さんは家業を継いでECに参入し、今石さんはEC企業を起業された人といったように、異なった経歴を持っているので、さまざまな店舗に対応できると考えました。

今回の案を5人に相談すると、皆さんすぐに今回の趣旨に賛同いただき、参加いただけることになりました。

楽天SOY常連の5店舗がコンサルを行う

――コンサルティングを実施する対象店舗を選ぶ基準などは。

応募いただいた店舗の方に集まっていただき、5人の中からコンサルティングしてほしい人を選んでいただいた。そして、店舗の情熱などを見て、近藤さんや高木さんなどがコンサルティングを行う店舗を決めるという仕組みです。当初、この面談会は東京だけで行うつもりでしたが、参加希望店舗がかなり多くなり、急きょ東京と大阪の2回に分けて実施することになりました。

2月末までに支援対象店舗を決定し、3月中に契約。4月1日から支援をスタートしていく予定です。

最低でも月商2倍以上、完全成果報酬型で提供

――コンサルティングの内容は。

内容はすでに何度も打ち合わせをして、どのように進めていくかを共有しています。とはいえ、コンサルティングを行う中で、新たに浮き彫りになった問題点なども出てくると思います。そこはこれまで何度も自社でさまざまな経験をされている方たちばかりなので、基本的にはお任せして心配ないと考えています。

――料金体系は。

月額制ではなく、完全成果報酬型。2015年3月~2016年2月の平均月商をベースにして、このベース金額の2倍をコミットメントクリアとします。直近3か月の平均でコミットメントクリアとなれば、2倍より上回った分の10%を、コンサルティング開始時の流通額からコンサルティングフィーとしていただくという形になります。

わかりにくいと思うので具体的に数字にしてみます。たとえば、昨年の平均月商が100万円の店舗が、2016年4~6月の平均月商が180万円となった場合、コミットメントクリアとならないため支払いは発生しません。その後、5~7月が平均月商200万円、6~8月の平均月商が220万円になった場合、8月に初めて20万円の10%分、つまり、2万円のコンサルティングフィーが発生するというわけです。

9月までにコミットメントクリアにならなければ、9月末で店舗へのコンサルが終了となります。たとえ3か月の平均月商が1000万円を超えたとしても、1000万円を超えた部分は成果報酬の対象にならないようにし、成果費用が大きくならないようにしています。昨年の平均月商が100万円の店舗の場合、月商が1億円になっても、90万円のコンサルティングフィーしか発生しないということです。

500店舗へのコンサルティングに規模拡大めざす

――「楽天市場」はそれぞれの店舗に担当のECコンサルタントがついています。今回のサービスを利用した場合、従来のECコンサルタントはどうなるのでしょうか。

複数のコンサルタントが担当すると、施策が異なったり、寄せられる情報もそれぞれで異なってしまうことが考えられます。「R-nations」を利用している期間は、従来のECコンサルタント(ECC)は外すことにしています。もちろん、「R-Nations」によるコンサルティング期間が終わったら、そのショップの現状を知らないECCに代わるということを防ぐため、コンサルティングいただく有力店舗とECCの間では十分情報共有を行っていこうと考えています。

――25店舗へのコンサルティングサービスとして始まるが、今後広げていく予定は。

対象店舗は、今後もっと広げられると思っています。早期に100店舗の有力店に協力いただき、500店舗へのコンサルティングサービスにしていきたいと考えています。

今回のサービスは「楽天市場」らしいサービスだと思っています。「楽天市場」は始まった当初から店舗さん同士が協力し、ノウハウを共有し合うことで売り上げを伸ばしてきた歴史があります。

動画専門講座「RUx」も店舗さんがノウハウを公開している動画がたくさんあり、新春カンファレンスなどでも店舗さんが講師となってノウハウを共有してきました。

こうした、楽天らしさを十分に生かし、売り上げが止まってしまっている店舗を後押しすることで、さらにモール全体を活性化できればと思っています。

「R-Nations」を担当する城戸 幸一郎執行役員(右)と高山 武佐士 楽天市場事業楽天ネーションズグループマネージャー
この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]