ワコールのオムニチャネル戦略――3Dボディスキャナー、AI接客、パーソナライズアプリ

3Dスキャナなどを導入した「次世代型インナーウェアショップ」を2019年春にオープンし、その後は直営店や百貨店にも同様のサービスを展開する

渡部 和章

2018年8月7日 9:00

下着メーカーのワコールがオムニチャネル戦略を加速する。

現在開発中の「3Dボディスキャナー」や「接客AI」、「パーソナライズアプリ」などを導入した「次世代型インナーウェアショップ」を2019年春にオープンする予定。デジタルツールの検証を行い、精度を高めた上で、 直営店や百貨店などに同様のサービスを展開する。

開発中の3つのデジタルツール

現在、独自の計測技術でバストサイズを計測する「3Dボディスキャナー」を開発中。適切なサイズ提案や、採寸に関するストレスの解消などの効果を見込む。

インナーウェアの商品知識や販売員の接客スキルを学んだ「接客AI」を導入することで、顧客が自分に合う商品をどこでも検索できるようにする。また、ストレスフリーな購買体験が可能になるという。

顧客の購買データやサイズデータを記録するアプリも2019年春に開始する。「美のアドバイス」などを提供することで、顧客とインタラクティブな関係を構築していく。

ワコールのオムニチャネルとは?

ワコールは、店舗における顧客サービスをデジタル技術で革新し、店舗とECの連携を図ることで、顧客1人ひとりと「より深く、 広く、長く」つながる環境を作りあげる独自の「オムニチャネル戦略」を推進している。

オムニチャネル戦略の基盤となるデータベースの構築作業は完了しており、顧客データや在庫データの全社一元化の取り組みを開始しているという。

従来は販売チャネルやアイテムで分断されていた顧客データや在庫データ、商品データを全社一括で管理。卸先である一部百貨店のECチャネルと、ワコールの在庫情報の共有化を開始しているという。ECサイトを持たない下着専門店とワコールのECサイトの連携も順次開始する。 

また、店舗の接客業務を支援するタブレット端末を、試験的に運用している。導入店舗では接客以外に費やす業務時間を短縮できるなど、効果が表れているという。2018年度中に本格的な運用を開始する。

本社在庫と店頭在庫の連携や、現在は紙で管理している顧客カルテの電子データベース化にも取り組んでいる。

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