瀧川 正実 2018/8/7 7:00

楽天の2018年1~6月期(中間期)連結業績における国内EC流通総額は、前年同期比11.1%増の1兆7584億円だった。

2017年1~6月期の国内EC流通総額は1兆5824億円で前年同期比14.0%。2018年1~6月期は2ケタ台の高い成長率を維持しているものの、前年同期と比べると伸び率は2.9ポイント減少している。

楽天の2018年1~6月期(中間期)連結業績における国内EC流通総額
国内EC流通総額の推移(画像はIR資料をキャプチャ)

国内EC流通総額は「楽天市場」「楽天トラベル」「楽天ブックス」「楽天マート」「楽天ペイ」「ラクマ」などのほか、ケンコーコムと爽快ドラッグの合併会社「Rakuten Direct」などの流通額を合算した金額。

なお、「Rakuten Direct」発足のタイミングで直販ビジネスの流通総額定義の見直しをい行っている為、過去の数値を遡及修正している。今回発表のデータから過去の1~6月期のEC流通総額を算出すると、2017年1~6月期は1兆5824億円、2016年1~6月期は1兆3882億円。

楽天市場トピック① ファッション分野が好調

「楽天市場」が運営するブランド公式ファッション通販サイト「楽天ブランドアベニュー」の2018年4~6月期における流通総額は、前年同期比57.6%増と伸長。テレビCMなどの積極的な投資が功を奏しているという。

楽天ブランドアベニューの成長
ファッション分野が好調(画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック② 楽天ブックスが好調

本・書籍・電子ブックなどの楽天ブックスも好調という。2017年にSPU(楽天スーパーポイントアッププログラム)へ楽天ブックスも追加。ポイント付与率のアップにより、高成長を記録したという。

楽天ブックスが好調
楽天ブックスが好調(画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック③ 併用率の増加

SPU導入によって新規顧客の増加や休眠顧客の復帰が加速。近年はグループ内の複数サービスを利用するクロスユース率が増加し、流通総額の拡大に寄与しているという。

併用率の増加
クロスユース率の増加(画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック④ CtoCが拡大

楽天の旧「ラクマ」と、Fablicの「フリル」を2月26日に統合し、新サービス「ラクマ」としてフリマアプリの運営を一本化。

6月4日から、無料で展開していた販売手数料を改定し、商品価格の3.5%を手数料として徴収する料金体系に変更した。

河野奈保常務執行役員(コマースカンパニー シニアヴァイスプレジデント)は、「(3.5%の手数料をスタートした)その後も好調で、高い成長率を維持している。業界内のポジションは日本No.1をめざして歩んでいる」と説明した。

楽天市場トピック⑤ モバイル化が進む

2018年4~6月期における「楽天市場」のモバイル流通総額の比率は66.6%に拡大。前年同期比で3.3ポイント上昇した。

楽天市場モバイル流通総額比率
楽天市場モバイル流通総額比率(2018年4~6月期時点、画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック⑥ 楽天市場におけるカード決済比率の拡大

「楽天市場」の流通総額における楽天カード決済比率は継続的に拡大。2018年6月時点で56.7%となっている。

楽天市場流通総額における楽天カード決済比率
楽天市場流通総額における楽天カード決済比率(画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック⑦ 楽天のペイメントプラットフォーム構想

楽天会員IDで、クレジットカードや楽天ポイントでお支払いができるサービス「楽天ペイ」のプラットフォーム構想を明らかにした。

「楽天ペイアプリ」に、電子マネー「楽天Edy」や楽天ポイントなどを楽天IDを使ってセットアップできるようにし、各種店頭決済、個人間送金機能などを提供。楽天としてOtoOビジネスを加速していくとしている。

楽天のペイメントプラットフォーム構想
楽天のペイメントプラットフォーム構想(画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック⑧ 新指標の公表

「これは重要なチャート」(代表取締役副会長執行役員の穂坂雅之氏)として提示したのが、楽天エコシステムの価値を示す「メンバーシップバリュー」。

メンバーシップバリューで、楽天エコシステム(経済圏)の最大化
楽天エコシステム(経済圏)の最大化(画像はIR資料をキャプチャ)

穂坂氏によると、「1つの契約が稼ぎ出す利益を表している。トータルで見るのが重要で、今回、このような考えを採り入れた」と説明。2018年4~6月期時点のメンバーシップバリューは4兆円規模。これを10兆円まで広げるとしている。

楽天エコシステム(経済圏)の超拡大
メンバーシップバリューを拡大(画像はIR資料をキャプチャ)

楽天市場トピック⑨ 注力分野はワンデリバリー、MNO、決済

注力分野はワンデリバリー、MNO、決済
現在の注力分野(画像はIR資料をキャプチャ)

購買データに加え、配送データも管理することで商品の注文から配送までの仕組みを一気通貫で整備。受け取りの利便性向上、再配達削減、配送状況の可視化などの実現をめざす楽天の「ワンデリバリー構想」。

楽天は「会員や注文データの活用」「注文から配送までのシステム統合」「需要予測と在庫の最適化」「倉庫内作業の自動化」などに取り組む方針。

MNO(モバイルネットワークオペレータ)として挑戦する携帯キャリア事業では、7月に三木谷浩史社長は「携帯キャリアというモバイルの“根っこ”の部分を押さえて『楽天市場』の流通額を増やしていけるかが重要になる」と出店者に訴えている。

楽天は2017年に決済サービスのブランドを「楽天ペイ」として統合。「楽天ペイ(実店舗決済)」「楽天ペイ(アプリ決済)」「楽天ペイ(オンライン決済)」といったサービスの提供を通じ、楽天IDによる他社サイトや実店舗での決済を実現している。

穂坂氏は「統一したoneIDで顧客へサービスを提供し、クロスユースを図っていく」とした。

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