瀧川 正実 2019/2/14 9:00

楽天の2018年度(2018年1~12月期)国内EC流通総額は前期比11.2%増の3兆4310億円だった。「楽天市場」を中心に2018年度の国内ECの状況をまとめてみた。

2018年度の決算において国内流通総額の遡及修正があった。2017年度の決算説明では流通総額を3兆3912億円としていたが、2018年度の決算説明会資料では3兆862億円に遡及修正している。他社のECサイトや実店舗などで使える決済サービス「楽天ペイ」(実店舗決済とオンライン決済)の流通額を含まない数値を2018年度から適用したため。

楽天の国内EC流通総額の推移
国内EC流通総額の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ブランドアベニュー、ドリームビジネス、ラクー、ビューティ、マート、デリバリー、楽天ダイレクト、カーライフ、クーポン、ラクマ、楽天デリバリープレミアム、Rebates、Raxy、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

2018年10-12月期(第4四半期)における「楽天市場」のモバイル流通総額(フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレットを含む)比率は70.2%。前年同期比で6.0ポイント上昇している。

2018年度は四半期ベースで2ケタ成長を維持し、通期で2ケタ台の成長率を維持した。

2018年度の国内EC流通総額の四半期ベースの推移

  • 2018年10~12月期(第4四半期) 前年同期比12.9%増の9836億円
  • 2018年7~9月期(第3四半期) 前年同期比11.3%増の8612億円
  • 2018年4~6月期(第2四半期) 前年同期比10.0%増の8113億円
  • 2018年1~3月期(第1四半期) 前年同期比10.1%増の7749億円
楽天の国内EC流通総額の推移 国内EC流通総額の四半期ベースの推移
国内EC流通総額の四半期ベースの推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

なお、売上高にあたる売上収益は初めて1兆円を突破。売上収益は1兆1015億円(前年比16.6%増)だった。

楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリューは4.6兆円

楽天エコシステム内において会員の価値を示す「メンバーシップバリュー」は2018年10-12月期(第4四半期)で4.6兆円。前年同期比で10.5%増。

楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリュー
楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリュー(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

楽天カード決済比率は拡大

「楽天市場」流通総額における楽天カード決済比率は継続的に拡大しており、2018年12月時点で59.4%まで伸びた。

楽天カード決済比率
楽天カード決済比率(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

重点ポイントは物流

楽天は最後の大きな難関である物流事業に大きな力を注いでいる。それが「楽天市場」の流通拡大につながるだろう。

決算説明会でこう話した三木谷浩史社長。楽天スーパーロジスティクスの拡大で独自の物流網を構築するとし、その一貫で外部の3PL事業者との資本提携も進めていると説明した。

楽天は2月7日、物流支援を手がける関通と資本業務提携契約を締結したと発表。兵庫県尼崎市内にある関通の物流センターを「楽天スーパーロジスティクス」の物流拠点として3月から運営する。

楽天独自の自社配送サービス「Rakuten-EXPRESS」の人口カバー率は19%まで拡大。楽天の直販のほか、「楽天市場」出店者の一部商品なども扱っている。

「Rakuten-EXPRESS」の人口カバー率
「Rakuten-EXPRESS」の人口カバー率(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

また、置き配サービス(不在時に指定の場所に届けるサービス)なども始めている。

楽天のアセットを活用した独自の配送サービス
楽天のアセットを活用した独自の配送サービス(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

決算説明会では1月の「新春カンファレンス」で説明した「送料無料ラインの全店舗統一」構想にも触れ、「いくら以下が送料無料になるとは言えないが、一定金額を購入した場合は送料がかからないようにする。統一的な料金を採用することが、消費者の利便性に寄与できる」(三木谷社長)と話した。

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