楽天の国内EC流通総額は約3.9兆円で、伸び率は13.4%【2019年度の実績まとめ】
楽天の2019年度(2019年1~12月期)国内EC流通総額は前期比13.4%増の3兆8595億円だった。「楽天市場」を中心に2019年度における国内ECの状況をまとめた。
2019年度の決算において国内流通総額の遡及修正があった。2019年第2四半期から一部事業で内部取引消去を行ったため、2018年度の数値を遡及修正している。
国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ファッション、ドリームビジネス、ラクー、ビューティ、マート、デリバリー、楽天ダイレクト、カーライフ、クーポン、ラクマ、楽天デリバリープレミアム、Rebates、Raxy、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。
2019年度の国内EC流通総額の四半期ベースの推移
- 2019年10~12月期(第4四半期) 前年同期比8.1%増の1兆531億円
- 2019年7~9月期(第3四半期) 前年同期比18.4%増の1兆128億円
- 2019年4~6月期(第2四半期) 前年同期比14.5%増の9219億円
- 2019年1~3月期(第1四半期) 前年同期比13.2%増の8717億円
楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリューは5.5兆円
楽天エコシステム内において会員の価値を示す「メンバーシップバリュー」は2019年10-12月期(第4四半期)で5.5兆円。前年同期比で19.7%増。
楽天スーパーポイントアッププログラム(SPU)などの施策によって2019年の年間ポイント発行数は3200億ポイントに拡大。クロスユースの堅調な推移、アクティブユーザーの増加によってメンバーシップバリューの拡大につながったとしている。
過去12か月間で2サービス以上利用者数を同期間の全サービス利用者数(2019年12月末時点)で割って算出したクロスユース率は、2019年12月末時点で71.9%となった。
楽天カード決済比率が拡大
楽天カード会員数は2020年1月に1900万人を突破。100万人増加ペースは過去最高という。
こうしたカード会員の増加によって、「楽天市場」流通総額における楽天カード決済比率は継続的に拡大。2019年12月時点で63.7%まで伸びた。
モバイル流通総額の比率は74.1%
2019年10~12月期における「楽天市場」のモバイル流通総額の比率は73.4%に。前年同期比で3.2ポイント上昇した。
出店者数は順調に拡大
「樂天市場」出店者数は2018年12月末時点で4万7007店舗だったが、1年後の2019年12月末で4万9887店に拡大。伸び率は6.1%。
自社配送サービスの人口カバー率は61%まで拡大
自社配送サービス「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアを、秋田県、岩手県、山梨県、静岡県、岐阜県、三重県、滋賀県、愛媛県、山口県、佐賀県および長崎県に拡大。「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアは合計34都道府県となり、国内人口におけるカバー率は約61%となった。
「Rakuten EXPRESS」では、楽天グループで生活用品や日用品を取り扱う「Rakuten24」などの直販店舗、「楽天ブックス」、ファッション通販サイト「Rakuten Fashion」、家電ECサイト「楽天ビック」の商品と、「楽天市場」出店店舗を対象とする物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」で受託する一部の荷物を自社配送している。
再配達においては、24時までの時間指定に対応するほか、不在再配達を減らす取り組みとして、住宅敷地内への置き場所指定配達「置き配」にも対応している。
「ワンデリバリー」構想への投資計画は2000億円で、2020年内には新たな物流拠点として千葉(習志野)と神奈川(中央林間)が稼働する予定。物流拠点を増やすことで、楽天独自の配送サービス「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアを拡充につなげる。
「Rakuten EXPRESS」は楽天が運営する配送サービスで、日用品のECサービスを提供する「Rakuten Direct」、「楽天ブックス」「Rakuten BRAND AVENUE」、「楽天スーパーロジスティクス」で担う「楽天市場」の出店店舗の一部商品を楽天が配送している。
「楽天スーパーロジスティクス」ではAmazonが提供する「FBA」の価格帯よりも物流・配送業務のアウトソーシングコストが低減できるとする。