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中国でもオンラインショッピングは利便性の高さ、商品の安さ、ファッション性の高さなどから多くのネットユーザーが利用し、消費者の生活の一部として欠かせないものとなっています。EC市場が拡大する一方で、配送件数も右肩上がりで増加。消費者の手元に商品を届ける「ラストワンマイル」で課題も出てきました

どうすればスマートな商品受け取りは実現できるのか? 中国では今、こうした課題を解決するために普及が進んでいるのが宅配ロッカー。人気を集めているセルフ型の荷物受け取りサービスの今を紹介します。

1つのイベントで数兆円が動く中国のEC、爆発的に増える配送件数

1つのイベントで取引額(GMV)は約2.7兆円――。2018年6月、中国直販EC最大手のECサイト「JD.com(京東商城)」を運営する京東集団が6月1日~20日(2014年までは18日まで、2015年から20日までに延長されました)の期間で開いた大規模セールイベント「京東618」は、1~18日までの取引額が前年比32.8%増の1592億元(約2.7兆円)となりました。

2017年の「京東618」の取引高は1199億元で、日本円ベースでは約1.9兆円。6月18日は京東集団の会社創立記念日で、毎年6月に大規模セールイベントを行っています。ECサイトでの買い物が増えるこの期間、競合他社も同様にイベントを仕掛けています。

JDとTmallの618販促イベント
JDとTmallの618販促イベントのトップページバナー

1つのイベントで数兆円も動くECの祭典は他にもあります。中国で最も有名なECの買い物の祭典「独身の日」(W11、ダブルイレブン)では、2017年におけるアリババグループの取扱高は1682億元(日本円で約2兆8594億円)。アリババグループが仕掛けた「独身の日」の販促イベントは、競合でもあるJD.comも同じ期間に販促を仕掛けています。JD.comの「独身の日」キャンペーンの取扱高は1271億元(日本円で2兆1607億円)でした。

「独身の日」「京東618」といったオンラインにおけるECの販促イベントが一般化されていくと、アリババ、JD.comといった大手プラットフォームのほか、蘇寧電器(Suning)、唯品会(Vipshop)といった主要ECプラットフォームも同じ時期に販促イベントを行うようになりました

JD、SUNING、Tmallの618販促イベントのカレンダー
JD、SUNING、Tmallの618販促イベントのカレンダー

こうした企業同士の競争によって市場は活性化し、ECの市場規模は拡大。それに伴い、配送件数も右肩上がりを続けています。

中国のネット小売額の推移
中国のネット小売額の推移(出典は三菱東京UFJ銀行(中国)経済週報

オンラインショッピングは消費者の生活の一部として欠かせないものとなっています。そんな環境下、どうすれば消費者は荷物を簡単に受け取れることができるか? こうしたラストワンマイルの課題を解決しようと知恵を絞り、サービスを展開する企業が増えています。

さまざまな業界からの参入、スマート宅配ロッカーが発展

郵便事業を手がける中国郵政がスマート宅配ロッカーを初設置したのは2010年のこと。以降、2012年から2015年まで、多くの企業が巨額の資金を投じてスマート宅配ロッカー事業に参入しました。

現在、スマート宅配ロッカーを手がける企業は、宅配系企業(代表企業は中国郵政速達易、豊巣)、EC系企業(代表企業はJD.com、Suning)、第三者企業(代表企業は江蘇雲柜<CLOUDBOX、日日順<RRS>)という、3業態によって構成されています。

スマート宅配ロッカーを手がける中国企業
スマート宅配ロッカーを手がける中国企業(出典はiresearch)

中商産業研究院が発表した「2017-2022年 中国スマート宅配ロッカー市場の見通しおよび投資機会に関する研究報告書」によると、2012年における中国スマート宅配ロッカーの市場規模は31億元と予測されています。

EC市場の拡大に伴う宅配事業の成長、スマート宅配ロッカーの急速な発展で、スマート宅配ロッカー市場は2017年末までに107億元に達しる見通しです。2012年比で243%の成長を遂げ、2020年には180億元を突破することが見込まれています。

宅配系の代表企業である中国郵政傘下の「速達易」(スマート宅配ロッカーブランド)は、2018年5月時点で9,000万人のユーザーを抱え、中国225都市で合計8.4万台のスマート宅配ロッカー(もう1つの宅配ロッカーブランド「易郵柜」を含む)を設置しています。「速達易」が1日に扱う荷物の最大件数は225万件で、これまで累計16億件以上の荷物を取り扱っています

中国郵政の「速達易」が提供する宅配ロッカー
中国郵政の「速達易」が提供する宅配ロッカー

荷物受け取り方式と宅配ロッカーによるセルフサービスの現状&比較分析

筆者が所属するトランスコスモスチャイナ上海本部では、全従業員のうち、上海出身以外のスタッフの割合は約44%。その多くが故郷を離れて1人暮らしをしており、勤務時間中に荷物が配送された場合、家の中で荷物を受け取ってくれる人はいません。

中国では勤務先に荷物を配送する勤め人が多いのですが、トランスコスモスチャイナでは情報セキュリティと業務効率化の観点から、個人が購入したアイテムの配送先として会社を指定することを認めていません。そのため、1人暮らしのスタッフが荷物をECなどで購入した荷物を簡単に受け取ることは難しい状況となっています。

しかし、スマート宅配ロッカーを中心とするセルフサービスの荷物受け取りサービスの登場によって、勤務時間内の荷物受け取りの不便さ、受取人不在による配送、その後の二次配送といった問題は解消され始めています

たとえば、スタッフは退勤後、スマート宅配ロッカーで各自が購入した荷物を簡単に受け取れますし、宅配企業は人件費の削減につなげています

トランスコスモスチャイナ上海本部のビルに設置したスマート宅配ロッカー
トランスコスモスチャイナ上海本部のビルに設置したスマート宅配ロッカー

オンラインショッピング市場の急速な発展と国内労働コストの継続的な増加に伴い、日本と同様、中国のほとんどの宅配会社が、「ラストワンマイル」という物流のボトルネックに直面しています。

もし、物流会社が現在の「ポイント to ポイント」による配送体制を、「エリア別の集中配送体制」に変更したら、配送員の平均配送効率は1日60件から200件に向上すると言われています。また、セルフサービスによる荷物の受け取りモデルの発展は、宅配会社の業務効率を少なくても、現在比で45%向上するとされています。

宅配企業の配送問題、対面での集金による配送効率の悪化、受取人が留守の場合における無駄な配送や再配達を解決するには、宅配ロッカーは最高のソリューションとされています。

従来の「ラストワンマイル」の配送モデル
従来の「ラストワンマイル」の配送モデル
「ラストワンマイル」ソリューションのコアロジック図
「ラストワンマイル」ソリューションのコアロジック図

「ラストワンマイル」は、物流において消費者へ商品を届ける最後のタッチポイントと言われており、ECにおいてはEC販売事業の最後の業務となります。物流会社であろうと、EC会社であろうと、ユーザーエクスペリエンスの継続的な改善、運用効率、ユーザーロイヤリティ、ブランドイメージの持続的な向上など、ゴールは同じ。ユーザーエクスペリエンスの向上はECに携わる事業者にとってとても重要なことですので、「ラストワンマイル」の課題は解決しなければならない問題なのです。

中国のスマート宅配ロッカーの利用方法は?

ここで、中国で展開されているスマート宅配ロッカーの仕組みを解説しましょう。
配達員が配達時に受取人の電話番号を宅配ボックスに入力すると、システムが自動的に暗証番号を生成して受取人の携帯電話にSMSで送信、受取人はその暗証番号を宅配ボックスに入力すると荷物を受け取れるという仕組みです。

これにより、配送員の配送負荷を軽減しながら、消費者はより便利に商品を受け取ることができます。さらに、商品の受け取り間違い、商品の破損といったことも回避できています。

上海長寧区に住んでいるトランスコスモスチャイナの従業員・孫さんは、「京東 618」イベントの配送ピーク時による宅配を避けるため、イベント開始初日に商品を購入しました。そして、6月3日の昼休み、孫さんは上海本部ビル1階に設置されたスマート宅配ロッカーに足を運び、「荷物受け取り」のボタンをクリック、電話番号や暗証番号を入力すると荷物が保管されたロッカーのドアが自動的に開きました。

「配送員から電話がかかってきたとき私は勤務中だったので、宅配ロッカーに保管してもらうように頼みました。そして、昼休みに取りに行きました。以前、このビルにはスマート宅配ロッカーが設置されていなかったので、荷物がビル内の受取代行場所や受取代行も手がけるコンビニ内にごちゃごちゃに置かれ、時にはなくなったこともありました」(孫さん)。

ビル1階のスマート宅配ロッカーを利用して荷物を受け取るトランスコスモスチャイナの孫さん
ビル1階のスマート宅配ロッカーを利用して荷物を受け取るトランスコスモスチャイナの孫さん

宅配会社SF Expressの配送員である王さんは、次のように話します。

以前は1回目の配送で不在だった場合、再配達希望のお電話をかけてくるお客さまがたくさんいました。しかし、スマート宅配ロッカーの普及で、再配達の必要がなくなり、電話をかけてくるお客さまも少なくなりました。とても便利で、すいぶん楽になりました。

技術発展に伴い、今後、無人機、無人自動車といった配送サービスが登場すると考えられている中国のEC市場。それにより、宅配の「ラストワンマイル」には、お客さまが簡単に荷物を受け取れるようにするための策が講じられるはずです。

筆者が所属するトランスコスモスチャイナもこうした状況に随時対応していきます。アウトソーシング会社として、エンドユーザーに優れたサービスエクスペリエンスを提供することはもちろん。その時の市場に適した方法で、クライアント企業に優れたサービスを提供し、中国EC市場でのパフォーマンスを最大化していきます。

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