瀧川 正実 2020/2/28 15:35

公正取引委員会は2月28日、「楽天市場」での買い物時にユーザーが3980円(税込)以上購入した場合の送料に関し購入者負担を0円として事業者が送料全額を負担する「送料込みライン」統一施策について、楽天へ施策停止を求める緊急停止命令を東京地方裁判所に申し立てた。

申し立ては独占禁止法に基づく措置。公取委は楽天の施策が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いあるとして東京地方裁判所へ施策の停止を申し立てた。

公取委は申し立ての趣旨として、「1回の合計の注文金額が税込み3980円以上(沖縄、離島など宛ては税込み9800円以上)の場合に商品の販売価格とともに『送料無料』と表示する施策など、出店事業者が一律に別途送料を収受し得ないこととなる施策を実施してはならないとの決定を求める」としている。

申し立ての理由は、「共通の送料込みライン」の導入は優越的地位の乱用の疑いがあると説明。「相当数の出店事業者の自由かつ自主的な判断による取引を阻害し、自由な競争基盤に悪影響を及ぼす状況が続くことになるとともに、当該出店事業者とその競争者との競争に重大な悪影響を及ぼすなど、公正かつ自由な競争秩序が著しく侵害されることとなり、排除措置命令を待っていては、侵害された公正かつ自由な競争秩序が回復し難い状況に陥ることになる」とした。

裁判所は、緊急の必要があると認める場合、独禁法に違反する疑いのある行為をしている事業者に対し、行為の一時停止の命令などをすることができる。

公正取引委員会年次報告附属資料によると、公取委の申し立てによる裁判所の差止命令事案は7件あり、5件で公取委の主張が一部もしくは全面的に認められている。なお残りの2件は事業者側の是正などによって公取委が申し立てを取り下げている。

公取委の申し立てによる裁判所の差止命令
公取委の申し立てによる裁判所の差止命令(消費者庁の資料から編集部がキャプチャ)

 

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