楽天ユニオンが公正取引委員会に陳情書。「送料無料一律化施策は、優越的地位の乱用にあたる可能性がある」
楽天が3月18日から始める「楽天市場での購入が3,980円以上の場合は送料無料」とする施策は、一方的に送料を出店店舗に負担させるなど独占禁止法に抵触すると主張
楽天ユニオンは1月22日、楽天が3月18日から開始する予定の送料無料化施策などが、独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」にあたるとして、公正取引委員会に調査を求める陳情書を提出した。陳情書の数は、楽天に出店する約5万店舗のうち約4000署名。
楽天が実施する施策は「楽天市場で3,980円以上商品を購入した場合、送料を一律無料とする」というもの。その際に発生した送料は楽天市場に出店している店舗が負担する。楽天ユニオンは、この施策が「優越的地位の乱用にあたる可能性がある」とし、施策の停止を求めて措置請求書を提出した。
楽天ユニオンが「優越的地位の乱用にあたる可能性がある」と主張し、提示した事項は下記の通り。
- 3,980円以上の商品購入時に発生する送料を店舗が負担することは、楽天が店舗に対し一方的にコストを押しつける強制的な行為である
- 楽天の試算では「送料無料制度を導入した場合、より多くの消費者が楽天市場に訪れ、売上が15%増加する」となっている。しかし実際の店舗で試算した場合、利益が減少し「直接の利益」が生じることはなく、不利益が生じる
- 本施策によって発生した送料負担は、出店契約時に計算できなかった不利益であり、「あらかじめ計算できない不利益」を与える行為にあたる
提出された陳情書には、「アフィリエイトサービスの料率が最大8%となった規約の撤回」「決済システム楽天ペイの撤回要求の調査」「楽天市場による違反点数制度、罰金制度の廃止および罰金返還要求」も含まれている。
今後の対応について、楽天ユニオンは下記のように述べている。
署名提出時、公正取引委員会の方が真摯に対応して下さり、内容を確認した上で法律に沿って対応するとおっしゃった。社会通念に照らして問題提起を行うことにより、楽天に考え直してもらいたい。3月の送料無料一律化に向けて楽天ユニオンとしてできる限りのことは行ったと考えている。
なお、楽天は同日に行った記者向けの勉強会で、2019年に行った3か月間の実証実験で出店者の売り上げが増加したと説明。楽天の野原彰人執行役員は、「楽天ユニオンだけに限らず、出店者の多種多様な意見を頂戴し、その意見に対して耳を傾ける。それらの意見、楽天の方向性、ユーザーにとってのメリットを踏まえて、双方にメリットがある施策を行っていく」と話した。
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