ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

「罪悪感? ありません」。ベストレビュアーも狙う中国のやらせレビュー業者の正体【ネッ担まとめ】

ネットショップ担当者が読んでおくべき2019年1月20日〜26日のニュース

森野 誠之

2020年1月28日 8:00

ネッ担まとめ

もはやレビューはあてにできないと思わざるを得ない記事が公開されました。レビューではなく、実際に手に取ってもらうことを考えた方が良いかもしれません。

レビューの信頼性が崩壊中

アマゾン「やらせレビュー」の首謀者を直撃、楽天も餌食に | 日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/011700016/

まとめると、

  • Amazonや楽天市場で横行している「やらせレビュー」は、中国の深センにある坂田(バンティエン)地区で量産されている。Amazonで自社製品を購入させ(実際に購入するとレビュー欄に「Amazonで購入」と表示され信ぴょう性が増す)、指定したキーワードを盛り込んだレビューを書き込ませる
  • FacebookやLINEでヤラセに協力する日本人を募集し、チャットでレビューの書き方を指導する。Amazonに検知されないよう、レビュー数や書き込むタイミングを工夫している。五つ星ばかりでは不自然なので、あえて低評価のレビューを依頼することもある
  • レビュアーには報酬として商品代金をそのまま返金する。レビュアーは実質的にタダで手に入れた商品をネットで転売して自分の利益としている。ただし、ベストレビュアーは優遇する

アマゾンにやらせを検知されないように坂田地区の住人も日々腕を磨いています。例えばやらせレビューを掲載するタイミングです。ある日、突然レビューが増えたらアマゾンに不正を察知され、アカウントを凍結されかねません。そのため初日に10件、2日目に15件というように徐々に投稿するレビューの数を増やしていき、4日目に減らすといったことをやっています。初期の需要が一巡して、いったん販売が落ち着く状況を再現しています。

 それと五つ星ばかりが並ぶのも不自然です。通常であれば、一般の購入者が三つ星をつけたり、不良品を手にした購入者が一つ星をつけたりするものですが、いくら待っても低評価がつかないことがあります。その場合、あえて一つ星や三つ星のやらせレビューを依頼することがあります。

これを読んでしまうとAmazonや楽天市場のレビューだけでなく、他のサービスのレビューそのものが信用できなくなってきますよね。業者側もどんどん進化というか対応してきていますし、ベストレビュアーの中にもヤラセ業者がいるかもしれないということなので……。
この流れが強まると店舗で実物を見たくなる人やチャットで相談する人も増えるはずなのです。そういったところに商機を見出すチャンスかもしれません。

楽天内部でごたごたしている場合ではないのですが……

楽天ユニオンが公正取引委員会に陳情書。「送料無料一律化施策は、優越的地位の乱用にあたる可能性がある」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7183

まとめると、

  • 楽天ユニオンは1月22日、楽天の送料無料化施策などが、独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」にあたるとして、公正取引委員会に調査を求める陳情書を提出した
  • 陳情書の数は、楽天に出店する約5万店舗のうち約4,000署名
  • 提出された陳情書には「アフィリエイトサービスの料率が最大8%となった規約の撤回」「決済システム楽天ペイの撤回要求の調査」「楽天市場による違反点数制度、罰金制度の廃止および罰金返還要求」も含まれている

3,980円以上の商品購入時に発生する送料を店舗が負担することは、楽天が店舗に対し一方的にコストを押しつける強制的な行為である

楽天の試算では「送料無料制度を導入した場合、より多くの消費者が楽天市場に訪れ、売上が15%増加する」となっている。しかし実際の店舗で試算した場合、利益が減少し「直接の利益」が生じることはなく、不利益が生じる

本施策によって発生した送料負担は、出店契約時に計算できなかった不利益であり、「あらかじめ計算できない不利益」を与える行為にあたる

こうしたくなる気持ちもわかりますが……。価格は自分たちで変更することができますので、こちらの記事にもあるように、商品価格に乗せるという対応をするしかないかと思います。AmazonやPayPayモールがどんどん伸びていく中で、楽天内でのこうした騒ぎは何のメリットもありませんので、早めに収束してほしいものです。新春カンファレンスも近いので、その時に何かしらの動きがあると思われます。

関連記事

ニトリが化粧品とアパレルに参入

ニトリが化粧品販売に本格参入、スキンケアブランド「GUARDIO」を展開 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7175

ニトリがアパレルに本格参入 第2のワークマンになれるのか|NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20200119_1526980.html

まとめると、

  • ニトリはスキンケアシリーズ「GUARDIO(ガーディオ)」の販売を開始した。デコホームとニトリの一部店舗で販売する
  • 女性衣料専門店「N+(エヌプラス)」も開始した。実験店は2020年に10店舗まで増やす予定(新規出店はすべて関東地方)
  • ニトリは長期的目標として2032年に3,000店、売上高3兆円を掲げている。これを達成するための切り札の1つがアパレル

ニトリの売り切る力の源泉はなにか。商品構成は、家具よりもホームファニシング(家庭用品)と呼ばれる商品が多い。毛布、カーテン、布団カバーなどの衣料系ホームファニシングは、家具よりも購買頻度が高い。

 また、トレンドに左右されないベーシックな売れ筋商品を効率良く回転させている。これがニトリの売る力の本質なのだ。ニトリ本体で、ベーシックな肌着や部屋着を開発してきた経験を、アパレル進出でも生かせるとみている。特に、物流まで自社で構築してきたことは、通販サイトとの連携が、より重要になってきた今こそ大きな戦力となる。
https://www.news-postseven.com/archives/20200119_1526980.html

市場規模が大きなところはどんどん異業種から参入されますよね。ワークマンがワークマンプラスで成長して今度はニトリ。引用文にある通りニトリの家具はベーシックでお手ごろな価格のものが多いですよね。それと同じ考えで化粧品やアパレルも伸ばすことができるのか? 実験店での売れ行きが気になるところです。

EC全般

中川政七商店の緒方氏が語る「ECと店舗の役割」「ブランディング」「自社ECのこと」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7119

過去に何度か取り上げた中川政七商店の緒方さんのお話。1記事にまとまっていますので保存しておくと良いですね。

「とにかく一度食べてみて!」熊本の山と大地に育まれた「こめたつ 」のお米 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7014

送料無料の話もありますが、こうして自分たちがやれることをやり切ることからかなと思います。

TikTokがEC機能をテスト導入、勢いを増すソーシャルコマースの波。 | ZOZO FashionTechNews
https://ftn.zozo.com/n/n6ba6e65c8154

「1日で10万アイテムを販売、約3,000万ドル(約32億円)を売り上げた」とのこと。

成長するには「事業のヒリヒリ感」が必要 24歳EC事業部長が率いる「全員野球のEC運営」とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/7369

ECで結果を出さないことには店舗が付いて来てくれないのは知っておきたいですね。

自社ECで利用される決済方法はどう変化したのか 2020年、◯◯Pay時代を迎えるためのおさらい | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/7391

株式会社Origamiのメルカリグループ参画に関するお知らせ | 株式会社メルペイ
https://jp.merpay.com/news/2020/01/origami/

カード決済すら面倒になってきているので○○Payは必須です。そして、決済業界も再編が進んでいます。

Amazonの配送会社が急変し、熾烈になる競争。2020年EC物流大予測 | Agenda note
https://agenda-note.com/retail/detail/id=2353

通販・ECの差別化はフルフィルメントにあり! ARやロボットなど2020年の5大トレンド | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7171

Amazon、置き配の実証実験を東京都・大阪府の各3区と名古屋市・札幌市に拡大 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/7428

モールの独自配送が広がっています。その中で既存の配送業者との競争も激化。

今週の名言

最も危険なのが、経営陣が他社のECを見て焦り、早くそこに追いつけと現場にむちゃな指示を出してしまうことだ

サイト停止が相次ぐファッションEC ecビーイング林社長「ECのリプレースは駅の改修工事」 | 繊研新聞
https://senken.co.jp/posts/ecbeing-200122

これは7Payでも同じだったはず。先行している競合は長い期間積み重ねた結果なので、追う側はそれを知った上でどうするかを考えないと。

筆者出版情報

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