楽天グループ「共通の送料込みライン」の公取委審査は終了へ。改善策の提示で独禁法違反の疑いが解消
「楽天市場」での買い物時にユーザーが3980円(税込)以上購入した場合の送料を事業者が負担する「共通の送料込みライン」施策について、優越的地位の乱用の疑いがあるとして審査を継続していた公正取引委員会と、審査対象となった楽天グループは12月6日、審査を終了すると公表した。
公取委が、優越的地位の乱用の疑いがあると判断した事象について、楽天グループが申し出た改善措置で解消できると判断したため。
「共通の送料込みライン」施策について公取委は、2020年3月のスタートとなる前月の2月28日、東京地方裁判所に緊急停止命令の緊急停止命令の申し立てを実施。その後の3月10日、「(楽天グループが)出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようにすること等を公表し、東京地方裁判所における緊急停止命令に係る手続においてもその旨を表明した」として緊急停止命令を取り下げたものの、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)に該当するかの審査を続けてきた。
その審査で、「共通の送料込みライン」への参加を促す際に不参加店舗を不利にする取り扱いの示唆などして申請への参加、および適用対象外申請の不実施を余儀なくさせることで出店者に不利益が生じる場合には、独占禁止法違反になり得るとの考え方を公取委は示した。
公取委との協議などを踏まえ楽天グループは、①「共通の送料込みライン」への参加および不参加の状態に戻ることについて、出店事業者の意思を尊重して独占禁止法に違反する行為を行わない②「共通の送料込みライン」に参加していない店舗を不利にする取り扱い(検索結果において不参加店舗の取扱商品ゆえに不利にするなど)を行わず、出店事業者に示唆しない③「共通の送料込みライン」への参加を余儀なくされた店舗の適用対象外申請(不参加の状態に戻ることの申請)を制約する取り扱いを行わず出店事業者に示唆しない――と、公取委に対して改善措置を申し出た。
公取委は今後、楽天グループが改善措置を実施したことを確認した上で本件審査を終了するとしている。
楽天グループは、違反行為があった場合、「楽天市場」以外の独立した部署が担う苦情・相談窓口に連絡するよう各店舗に案内するとしている。