上新電機が物流業務を大型倉庫へ移転する理由――ECの業務処理能力アップ&OtoOビジネスを推進
上新電機は、三井倉庫ロジスティクスと共同で「物流センター開設プロジェクト」を設置し、物流網の再構築に着手した。上新電機のリアル店舗とEC販売の相乗効果で、顧客により魅力ある買い物の機会の提供と商品の安定供給をめざすための取り組み。
昨今、消費者のライフスタイルの変化により、EC利用の需要が高まっている。EC需要の高まりを踏まえ、ECにかかる業務処理能力を大幅に向上させた物流体制を構築する。
阪急阪神不動産と三菱地所が共同で開発する大型物流施設「ロジスタ・ロジクロス茨木彩都(A棟)」(倉庫面は積約11万5999平方メートル)の全フロアを三井倉庫ロジスティクスが賃借。上新電機の新設大型ロジスティクスセンターとして、2021年夏ごろから稼働を始め、2022年春ごろの本格稼働を予定している。
次世代物流を見据えたサステナブルな物流設計を計画する。IoT、AGV(無人搬送車)、物流業務補助システム、AI(人工知能)などを活用した最新鋭の物流業務プロセスを導入し、複数倉庫の一拠点化やリアル店舗とEC販売の相互補完、販売チャネルを考慮したシームレスな在庫一元管理を実現。ビジネスの複雑性を軽減するITシステムを構築し、リアル店舗とEC販売の連携を進める。
最新鋭のマテハン機器を導入し、ロボティクスを含む倉庫業務運営の合理化、業務処理自動化率の向上による労働者人口の減少リスクを低減。災害リスクへの備えも施し、免震構造による倒壊リスク、湾岸エリアから内陸エリアへの移設による津波リスクなどの軽減を図る。
大型ロジスティクスセンターは、名神高速道路の「茨木IC」まで約2.5km、新名神高速道路の「茨木千提寺IC」まで約6.5km、名神高速道路・中国自動車道・近畿自動車道の結節点「吹田JCT」まで約5.2km、国道171号線など主要幹線道路にも近く、幅広い地域をカバーできる立地となっている。
上新電機は楽天と「楽天市場」「楽天ポイントカード」の連携強化を通じてO2Oビジネスをスタート。211店舗の実店舗で、「楽天市場」と「楽天ポイントカード」を活用したポイント付与キャンペーン施策を定期的に実施している。1億人以上の会員基盤を抱える楽天会員を活用し、オンラインとオフラインの店舗へ送客を図っている。
2020年3月期連結業績によると、EC売上高は前期比4.8%増の571億3400万円。連結売上高に占めるネット販売の構成比を示すEC化率は13.8%だった。2020年3月期の決算短信では、3年間分のチャネル別売上構成を公表。2018年3月期のEC売上は574億4300億円でEC化率は14.7%、2019年3月期は同545億4100万円で同13.5%。