「ファッション小売業からファッションテック企業へ」。イオングループのコックスが進めるEC戦略とは
イオングループのコックスが、ファッション小売業から「ファッションテック企業」へ生まれ変わるためのIT投資を加速している。
ファッションテックの推進に向けた重点施策の1つとして、自社ECサイト「コックス公式オンラインストア」をリニューアル。新しいサイト名を「TOKYO DESIGN CHANNEL(トウキョウデザインチャンネル)」とする。
「コックス公式オンラインストアのリニューアル」は、「スマホファースト」のECサイトへ刷新するほか、自社ECサイトとモール店といったサイト別戦略を明確にし、利益拡大を図っていく。
「コックス公式オンラインショップ」では商品プロモーションを強化、SNSの活用により顧客接点を拡大する。公式サイト訪問者へのアプローチでは、サイト訪問者の行動を解析、客観的なデータに基づくリアルタイムオファーで、売り上げ拡大や収益構造を改革するという。
新型コロナウイルス感染症拡大が深刻化した5月にスタートした「日本を元気にしようプロジェクト」の一環として、ファッションマスクを販売する専門店「Mask.com」を始動した。ECサイトでの展開のほか、八重洲地下街を9月にオープン。10月には羽田空港に期間限定店舗を開設。他社コラボなどを通して、ファッション性や機能性の高いマスクの販売を本格化している。
ファッションマスクの投入効果もあり、2020年3-8月期の自社EC売上高は前年同期比約10倍増で、EC売上高構成比(EC化率)は27.1%に拡大。会員サービス「コックスメンバーズクラブ会員」の新規登録者が38万人増えたという。
「ファッションテック企業」への投資では、店舗のデジタル化として、SNSの強化に向けた顧客接点の拡大に向けた取り組みを導入する。
コックスは2020年度、IT・物流投資に重点を置いている。2020年度の投資額のうち、IT・物流投資比率は72.3%、店舗投資比率は27.7%を計画。2017年度の投資額は、店舗投資比率が90%超を占めていた。
2020年2月期の決算説明会資料では、「ファッションテックの推進に向けた投資のシフト」を宣言。店舗投資は、店舗活性化中心の投資にシフトし、「全社としては、IT・物流投資へと大きくシフトし、収益構造の改革を進めていく。投資のシフトにで世の中の変化に遅れることなく対応する」とコメントしていた。
コックスの2020年2月期におけるEC売上高は、前期比15.8%増の16億9700万円。連結売上高に占めるECの割合(EC化率)は約10%。
コックスは「ikka」「LBC」「VENCE EXCHANGE」「CURRENT」といったファッションブランドを展開しており、EC事業では自社ECサイト「コックス公式オンラインストア」「ZOZOTOWN」などで販売している。