石居 岳 2022/5/13 8:00

スクロールは、2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定した。

成長性・リスク耐性を高めるには、少子高齢化や気候変動といった外部環境の変化に対応することが必要と判断。

コストプッシュインフレ、消費マーケット・マインドの縮小、モノ・サービスへの顧客ニーズの多様化、EC・通販利用の増加、サステナビリティ意識の高まり、健全性のある経営、地域による経済的格差の広がりなどを反映していく必要があるとしている。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 対処すべき外部環境の変化
対処すべき外部環境の変化(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)

中期経営計画策定では「100年続く企業」を掲げた。社会的要請に応えながらも持続的な成長を実現するため、マテリアリティ(重要課題)を特定して策定。その一環として、スクロールグループの「新フィロソフィ」を定義した。

さらに、「新フィロソフィ」を踏まえ、足元の課題および社会的要請からマテリアリティ(重要課題)を特定し、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献していく。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 中期経営計画策定の考え方
中期経営計画策定の考え方(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)

それに向け、各事業セグメントの成長による、既存通販事業による一本足経営から脱却、DMC(Direct Marketing Conglomerate)複合通販企業への変容・進化を掲げている。具体的には①通販事業セグメントにおけるソリューションベンダービジネス(SVB、地域生協ごとのニーズにマッチした商品やサービスの提供)の売上拡大②ソリューション事業セグメントの収益拡大③eコマース事業の収益率向上――をあげている。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 DMC複合通販企業の変容と進化
DMC複合通販企業の変容と進化(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)

通販事業

新たな収益の柱を構築するため、SVBの売上拡大を推進、既存事業のさらなる効率化と合わせ、中長期にわたりグループを支える確固たる収益基盤を確立する。NBブランドとの提携によるショッピングモール型ビジネスの拡大、若年層を開拓するほか、スギホールディングスとの提携によるOTC医薬品・健康食品の品ぞろえの拡充によってヘルスビジネスを拡大。生協向けにソリューションビジネスを提供することで、コト消費ビジネスに挑戦する。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 通販事業戦略
通販事業戦略(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)

ソリューション事業

主力の物流代行を拡大。決済代行・マーケティングサポート事業の強化によって、グループを支える第2の柱へと成長させる。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 ソリューション事業戦略
ソリューション事業戦略(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)

eコマース事業

オリジナル商品の展開強化を進め、各ジャンルでのシェア拡大・収益力の強化を図る。新たなビジネス構築に向けたビジネスを継続していく。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 eコマース事業戦略
eコマース事業戦略(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)

数値目標

中期経営計画最終年度の数値目標は、売上高900億円、営業利益69億円、経常利益70億円、当期純利益50億円を計画している。

スクロールの2022年3月期連結業績は、売上高が813億9100万円、営業利益は70億円、経常利益は70億9600万円、当期純利益は55億8500万円だった(当期から収益認識基準を適用しており前年同期比は公表していない)。

スクロールは2022年4月から2025年3月期を最終年度とした3か年の中期経営計画を策定 セグメント別数値目標
セグメント別数値目標(画像はスクロールのIR資料から編集部がキャプチャ)
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