「EC-CUBE」、AI時代の「業務適応型コマース基盤」としてサービス体系・コンセプトを刷新

リユース、マーケットプレイス、製造業の3領域に特化した業務特化型のパッケージが注力領域。単なるEC構築ツールではなく、業務に適応するコマース基盤として刷新する

大嶋 喜子[執筆]

7:30

イルグルムの連結子会社イーシーキューブはこのほど、オープンソースECプラットフォーム「EC-CUBE」の製品コンセプトとサービス体系を刷新し、新たにAI時代に対応した「業務適応型コマース基盤(Adaptive Commerce Platform)」として位置付けた。従来のEC構築ツールから、企業固有の業務ロジックに対応するコマース基盤へと再定義する。

「EC-CUBE」を刷新し、業務に最適化するコマース基盤へと再定義する
「EC-CUBE」を刷新し、業務に最適化するコマース基盤へと再定義する

イーシーキューブによると、生成AIの進化により、企業がEC基盤に求める役割は、従来の「標準機能への適応」から、「自社固有の業務ロジックの実装や変化する業務プロセスへの追従」へとシフトしているという。このことから、企業の強みを生かせるコマース基盤へと「EC-CUBE」を刷新すると決めた。

「業務適応型コマース基盤」とは

「業務適応型コマース基盤」は、企業固有のビジネスモデルや商習慣を「企業の資産」として実装し、継続的に進化させるコマース基盤。「業務ファースト」「ロジックの資産化」「継続的な進化」の3つに基づく。

「業務ファースト」の原則では、業務の意図や構造を起点に設計することで、業務をシステムに合わせるのではなく、システムが業務に適応する。「ロジックの資産化」では、独自の商習慣や承認フローを企業のデジタル資産として蓄積する。「継続的な進化」の観点では、AIや市場環境の変化に対応しながら進化を続ける構造を備える。オープンソースの柔軟性を生かして事業の変化に追従するプラットフォームをめざす。

「業務適応型コマース基盤」における3つの原則
「業務適応型コマース基盤」における3つの原則

特定業務に対応するため、各製品は次のように体系化する。

「EC-CUBE(オープンソース版)」

標準機能を備えたベースプラットフォーム。導入企業は柔軟なカスタマイズが可能。

「EC-CUBE Enterprise」

エンタープライズ向けの性能、インフラ、セキュリティ、サポート、拡張機能を備えた上位基盤。

「EC-CUBE Enterprise for X」(業務特化型パッケージ)

「EC-CUBE Enterprise」上で利用できる業務特化型パッケージ。「リユース・買取EC」「マーケットプレイス」「製造業向け受発注DX」の3領域から順次展開する。

注力領域

「業務適応型コマース基盤」へと刷新する戦略の第一弾として、SaaS型ECでは対応が難しい「リユース・買取EC」「マーケットプレイス」「製造業向け受発注DX」の3領域で業務特化型パッケージを開発・提供する。これらの領域では、「EC-CUBE」はすでに多くの企業に採用されている。ビジネススキームに必要な業務ロジックを備えており、AIによる業務プロセスの進化・追加開発のベースとしても機能する。

「リユース・買取EC」の領域では、買取フロー、オンライン本人確認の連携、一点物の個体管理、商品の状態や年代による検索、店舗POS・基幹システム連携などに対応。

「マーケットプレイス」の領域では、サプライヤーの商品・受注管理、出品者評価や問い合わせの一元管理、販売最適化などの機能を備える。

「製造業向け受発注DX」の領域では、見積もりから承認を経た受注プロセス、顧客別価格・営業担当のひも付け、型番・適合条件による検索、倉庫管理システムとの連携など、製造業・卸売業の商取引に対応する。

「EC-CUBE」刷新の背景

刷新の背景には、生成AIの進化やDX需要の高まりがある。従来のSaaS型ECでは、標準的なビジネス形態が前提となるため、企業固有の商流や業務フローに対応しにくい一面があった。一方で、昨今では生成AIの進化により、開発生産性の向上と、企業の業務プロセスの変化が進行。イーシーキューブは「AIとの協働によって再設計される時代が到来している」と見ている。こうした状況で「コマース基盤も変化を前提とした柔軟な構造を持たなければならならない」とし、「EC-CUBE」の刷新を決めた。

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