瀧川 正実 2015/2/13 12:15

夢展望は3月末にも健康コーポレーションの傘下に入る。夢展望が第三者割当増資を実施し、健康コーポレーションが議決権ベースで73.54%の株式を保有し筆頭株主になる資本業務提携契約を2月12日に締結。業績悪化に伴い債務超過に陥る可能性などを回避し、アパレル子会社などを傘下に持つ健康コーポレーションの資産を活用しながら業績の回復につなげる。

夢展望が今回の資本業務提携で調達する予定の資金は7億4800万円。調達資金は次の4点に充てる。払込期日と業務提携開始日は3月31日を予定。

  1. 運転資金(2億600万円)
  2. 短期借入金の返済(2億円)
  3. 経営合理化費用(1億500万円)
  4. 広告費(1億8800万円)

第三者割当増資後の株主の持株比率(議決権比率)は、健康コーポレーションが73.54%を所有する筆頭株主に。2014年9月現在で38.20%を所有する、創業者で筆頭株主の岡隆宏社長の持ち分は10.11%に減少する。

夢展望は2014年9月期連結決算で9億800万円の当期純損失を計上。自己資本比率は2013年9月期に比べ28.5ポイント減少し、9.9%まで落ち込んでいた。大幅な最終赤字は、円安による原価の高騰、ヤングレディースアパレルのトレンドの変化、新規顧客開拓が進まなかったことなどが主因。

2014年10-12月期(第1四半期)の売上高は、予算比で93.2%(推定値)にとどまり、2015年1月度も当初予算比71.0%(推定値)となる見通し。

また、決算期を3月へ変更することに伴う2015年3月期通期決算(6か月の変則決算)では、人員削減などで8億300万円の最終赤字を予想している。2014年9月期現在で自己資本は約2億3200万円のため、債務超過に陥る可能性がある。

そのようななか、夢展望は金融機関の融資継続の賛同が得られない可能性が高いことなどから、増資の引受先を模索。ファイナンシャルアドバイザーであるSMBC日興証券から20社程度の候補先の紹介を受け、そのなかの1社である健康コーポレーションと交渉を進めてきた。

健康コーポレーションはマタニティウェアのエンジェリーベ(関連記事はこちら)、アパレルメーカーのアンティローザを買収(関連記事はこちら)し、アパレル関連事業に進出している。

夢展望はブランドイメージの刷新、健康コーポレーションが扱う商材を夢展望会員への販売といったシナジーが発揮できると判断。今回の資本業務提携契約に至った。

業務提携の内容は以下の通り。

  • 健康コーポレーションの商材を夢展望の会員に販売
  • 夢展望のブランドイメージを刷新するため、健康コーポレーションの強みであるマス広告を活用したプロモーションで夢展望を支援
  • 商品企画開発、写真撮影、ECサイト運営で行ってきたEC運営ノウハウを、健康コーポレーションに提供。健康コーポレーションが手がけるアパレル事業におけるEC販売の進展、商材の拡大による新たな売上機会の創出を図る

なお、債務超過回避に向けて、資本金および資本準備金を5月2日に減額する。資本金9億6658万5000円(現時点の資本金5億9218万5000円に、第三者割当増資による増加予定資本金3億7440万円を加えた額)のうち、8億6658万5000円を減少。1億円に減額する。

資本準備金8億496万円(現時点の資本準備金4億3056万円に、第三者割当増資による増加予定資本金3億7440万円を加えた額)の全額を減少する。減額する資本金、資本準備金の全額をその他資本剰余金に振り替え、累積損失の解消を図る。

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