「Amazon Pay」は何がスゴい? コンバージョンUP、買い物体験向上が期待できる理由を大解剖
ECサイトの成長を加速させる上で買い物体験の向上は不可欠で、決済ステップの改善は効果が期待できるとされる改善策の1つ。Amazonが提供するオンライン決済サービス「Amazon Pay」は、顧客には安心感とストレスのない購入体験を提供し、EC事業者には新規顧客獲得やコンバージョン率の向上などが期待できるため、10万サイト以上が導入している。
多くのEC事業者が決済ステップの改善に導入する「Amazon Pay」の価値と導入事例について、アマゾンジャパン Amazon Pay事業部 Head of Marketingの永田毅俊氏が解説する。
「Amazon Pay」はECサイト訪問者が簡単に決済できる
「Amazon Pay」の特徴は、Amazonアカウントに登録した住所情報と支払い情報を利用して自社ECサイトで商品を購入できること。「安心・安全」を支持する声も多い。
「Amazon Pay」は、Amazonがアカウントやカードの不正利用を24時間365日監視する世界水準の不正検知システムを採用。お客さまとEC事業者の双方に「安心・安全」を提供しているため、お客さまは初めて利用する自社ECサイトであっても、Amazonブランドに対する信頼感から安心して購入ができる。
また、「Amazon Pay」を使って決済をすると「Amazon.co.jp」以外のサイトでも、マーケットプレイス保証の対象となる(一部対象外の商品もあり)ため、安心・安全に買い物ができると思わせてくれる決済手段と言える。
「Amazon Pay」利用の流れはとてもシンプルだ。まず、ECサイト内にオレンジ色の「Amazon Pay」ボタンが表示され、顧客がクリックするとAmazonアカウントへのログイン画面に遷移する。そこでお客さまがユーザー名(Eメールまたは携帯電話番号)とパスワードを入力し、配送先住所と支払い方法を選択。「続行」ボタンを押すと、元の自社ECサイトに戻り、そこではすでに住所や支払い情報、電話番号、メールアドレスなどが自動的に表示される。
Amazonアカウントに登録済みの配送先住所やクレジットカード情報から希望の情報を選択するだけで買い物を完了できる。つまり、Amazon Payを使えば、お客さまは入力の手間なく注文内容を確認するだけで、購入を完了できる。(永田氏)
購入時に住所やカード情報を入力する手間がないため、顧客はストレスなく手軽に購入することが可能になる。
「Amazon Pay」の強みの1つは、「Amazon.co.jp」の顧客基盤にある。月間ユニークユーザー数はデスクトップで1400万人、モバイルで6400万人となっている※。「Amazon Pay」を導入すれば、これらのAmazonのお客さまが自社ECサイトのお客さまになる可能性があるというわけだ。
※ 「Nielsen NetView」2023年3月度データ(ブランドレベル/家庭と職場からのアクセス)、「Nielsen Mobile NetView」2023年3月度データ(ブランドレベル/スマートフォンからのアクセス)
つまり、「Amazon Pay」が提供する価値は、Amazonの顧客の購買意欲を、いかに自社ECサイトに取り込むかという「マーケティングの視点」を含んでいる。「『Amazon.co.jp』のお客さまに、自社ECサイトでスムーズな購買体験を提供する。これが『Amazon Pay』のめざすところ」と永田氏は力説する。
こうした特徴から多くのEC実施企業に支持されており、日本国内では2万社以上が導入、合計10万以上のECサイトが利用している。
ファッション、食品、ホームキッチン、ビューティー、家電/PCなどに加えて、赤十字やふるさと納税などの寄付、BtoBビジネス、旅行、デジタルコンテンツの定期購入など、幅広いジャンルでご利用いただいている。(永田氏)
「Amazon Pay」を使うお客さまのメリットとは?
「Amazon Pay」が提供するお客さまへのメリットとしては、大きく「安心感」「スピード」「利便性」の3つがあげられる。
「Amazon Pay」のメリット① 安心感
新規に訪問するECサイトであっても、すでに慣れ親しんでいるAmazonアカウントを使えるため安心して購入できる。万が一の場合も、マーケットプレイスと同等の保証(Amazonマーケットプレイス保証※)によりAmazonからサポートを受けられる。そのため、高額な買い物をする際の不安を払拭できる。
※ Amazonマーケットプレイス保証とは、Amazonにおいて販売事業者の出品商品を安心して購入してもらうために、購入商品のコンディションや配送を保証するもので、一定の条件を満たす場合、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までAmazonが保証する制度のこと。「Amazon Pay」を利用した購入においても、同等の保証対象となる(ただし、一定の場合には対象外となる)
「Amazon Pay」のメリット② スピード
手間のかかる個人情報などの入力作業から解放される。クレジットカード情報や住所の入力が不要なため、購入までのステップが少なくスピーディーな決済が可能になる。スマートフォンで隙間時間に気軽に注文できるというメリットもある。
「Amazon Pay」のメリット③ 利便性
1つのAmazonアカウントによって、さまざまな自社ECサイトでスムーズに決済できるという利便性がある。「Amazonギフトカード」の残高のほか、後払いサービス「ペイディ」も追加されるなど、支払い方法のオプションも豊富。ECサイトごとにIDやパスワードを覚える必要がないことも便利な点だ。
「Amazon Pay」が提供するEC事業者側のメリットと、導入企業の反応
一方、販売するEC事業者側のメリットはどうだろうか。それについても3つのメリットがある。
EC事業者側のメリット① 安心して買い物できる環境
販売するEC事業者にとっても、「Amazon Pay」は安心感のある決済環境を提供している。Amazonはアカウントやクレジットカードの不正利用を24時間365日監視する不正検知システムを採用するなど、世界水準のセキュリティ環境を保有。その環境下で運用される「Amazon Pay」は、不正取引の軽減、カード情報漏えいの防止に役立つとされる。
この高度なセキュリティ対策とAmazonブランドへの信頼により、顧客は安心してECサイトで決済ができるのだ。また、Amazonアカウントと連携した配送先住所への取引に対してチャージバックが発生した場合、必要な手続きを経れば支払保証ポリシーの対象となり、事業者にリスクがないようにしている。
【導入企業の声】食品通販サイト「俺のEC」
安心してお客さまに決済していただくという意味では、圧倒的に知名度が高く、顧客が多い「Amazon Pay」を導入することは不可避だった。初めて「俺のEC」を利用されるお客さまでも安心して決済していただけると思った。
【導入企業の声】ブランド品通販サイト「コメ兵」
不正取引への確認作業が大幅に軽減され、マーケットプレイス保証によりチャージバックリスクがゼロに近づいた。高額ブランド品の販売に対する不安がなくなった。
EC事業者側のメリット② 新規顧客の獲得
「Amazon Pay」を導入した自社ECサイトでは、初回ゲスト購入客の40%~50%が「Amazon Pay」を選択しており、そのうち60%~80%が会員登録をしている。「Amazon Pay」により新規顧客を効率的に獲得でき、会員化によるリピート施策も期待できる。
【導入企業の声】食品ECサイト「ベースフード」
「Amazon Pay」により顧客の購入のハードルが下がり、新規顧客数は2.14倍、コンバージョン率は2.5倍以上という非常に良い結果を得ることができた。
EC事業者側のメリット③ コンバージョンレートの改善
決済ステップが簡略化されることでカートでの離脱が減り、コンバージョン率が向上する効果が期待できる。「Amazon Pay」導入企業では、導入していない企業に比べて月間の注文件数の増加率が平均28ポイント高いというデータが出ている。特にスマートフォンユーザーからの支持が高く、モバイル決済の課題解決につながるようだ。
コンバージョンレートが改善する、すなわちカゴ落ちが減るため、客数増が期待できる。ダイレクトにECサイトの購入回数の改善と増収といったことにつながる効果が期待できる。(永田氏)
【導入企業の声】家電ECサイト「ディーライズ」
スマートフォンでのコンバージョン率向上が課題だったが、「Amazon Pay」の導入で40%以上改善できた。導入後は決済手段で最も利用率が高くなった。
「Amazon Pay」のマーケティング的な効果
さらに「Amazon Pay」を導入することで、Amazonアカウントに登録された会員情報をECサイト側でも取得できるようになる。これにより、メールマガジンの配信やリピート施策など、効果的なプッシュ型のマーケティングが可能になる点も大きなメリットだ。
【導入企業の声】家電ブランド「デロンギ」
「Amazon Pay」を選択した理由は、お客さまの同意が得られればAmazonアカウントに登録された会員情報を、EC事業者がメール配信などのマーケティングに活用できるため。Amazonを利用されているお客さまにプッシュ型でアプローチできるようになるメリットは非常に大きい。
広がりを見せる「Amazon Pay」の活用シーン
近年、「Amazon Pay」の活用シーンはオムニチャネルやBtoB取引など、さまざまな分野に広がりを見せている。販売チャネルでターゲットや商材が異なる場合の自社ECサイトとAmazon出品の使い分けも可能になり、ビジネスモデルに合わせた柔軟な運用が可能になっている。この点についても導入企業の声をいくつか紹介しよう。
【導入企業の声】寝具メーカー「西川」
実店舗で寝具を体験してもらった後、QRコードを読み取るとスムーズに「Amazon Pay」が利用できるECサイトへ誘導。来店客の購買体験を店頭とオンラインでシームレスにつないでいる。商品の体験から購入までを一貫してサポートでき、オムニチャネル化を実現できた。
【導入企業の声】厨房機器BtoB向けECサイト「テンポスドットコム」
従来はクレジットカードと銀行振込の利用が半々程度だったが、最近では「Amazon Pay」の利用率が約15%になってきた。決済方法として「Amazon Pay」のロゴが表示されることで、「『テンポスドットコム』なら安心して買える」という評価につながる点もメリットだと考えている。
【導入企業の声】楽器販売「島村楽器」
自社ECサイトとAmazonへの出品では、ターゲットや商材が異なる。自社ECでは「Amazon Pay」で決済ステップの利便性を高めており、もう一方の「Amazon.co.jp」では型番商品がよく売れ、他店にない商品を探しているお客さまにも購入いただいている印象だ。