通販新聞[転載元] 8:00

本紙(編注:通販新聞)姉妹誌「月刊ネット販売」で実施したネット販売実施企業を対象とした売上高調査「ネット販売白書」によると2023年度のネット販売実施企業上位300社の合計売上高は8兆4417億円となり、前年調査比で8.3%増加した。前年度と比べると伸び率は鈍化したものの巣ごもり消費の反動減も落ち着き堅調な推移となった。(2024年10月25日発売の「月刊ネット販売」11月号「第24回ネット販売白書」に300社の売上高と商材別市場解説を掲載)

1位アマゾンは3兆6556億円

ネット販売売上高上位30位(ネット販売11月号で掲載の上位300社のうち、本紙では上位30社分を抜粋して掲載)で注目すべき事業者を見ていく。

2023年度のネット販売実施企業上位30社
2023年度のネット販売実施企業上位30社

増収率は前年よりも鈍化

首位となったアマゾンジャパンの売上高は前年比13.8%増の3兆6556億円と2位以下に大差をつけた。引き続き、直販の強化に加えて効率的に流通総額を引き上げることができる「マーケットプレイス」への出店誘致に注力しており、特に中小事業者を出店に誘導するイベントやCMの放映などを積極化して新規出店者の獲得を推進し手数料収入拡大につなげているよう。

物流投資も積極的で2023年度は千葉に大型物流拠点、埼玉にファッション関連専門の拠点、都内に中間物流拠点を新設するなど物流体制を強化。また、配送員が軽乗用車やリヤカー付き電動アシスト自転車などで配送ができるようにし、軽バンや運転免許を持っていない人でも配達員として働けるよう不足する人員の確保面で抜かりなく手を打っている。

ただ、増収率は前回調査が前年比26.5%増だったのに対し、今回調査では同13.8%増と鈍化傾向になる。海外メディアなどによると米アマゾンの「プライムデー」の販売力が弱まってきているとの見方もある。

日本でもその限りかは不明だが、セールの実施期間や回数を増やしている傾向がみられる。そうした施策で鈍化する成長率を維持したい狙いがあるとみられる。

大手小売業はEC増収傾向

上位30位で目を引くのは有店舗小売業者によるネット販売売上の成長だ。特に家電量販店各社は高い仕入れ力に加えて、知名度が高く、販促力の高い独自ポイント制度などの強みを持つ。

加えて、独自配送網を整備している事業者もいる。戦略次第でさらにネット販売売上高を伸ばしそうだ。その筆頭は2位となったヨドバシカメラ。売上高は前年比8.0%増の2268億円で2021年度、2022年度は巣ごもり消費増の反動減で2期連続で減収となったものの前期は増収に転じた。

4位ヤマダHDも推定値で正確な増減率は算出していないが、増収で推移した模様。6位ビックカメラは決算期が8月であるため、コロナ禍における巣ごもり消費増の反動減から脱しきれず減収だったが、注力する購買頻度の高い商品の販促強化は成果を上げているようで特に医薬品や日用品といった非家電商材のほか、電池や電源タップなどの商材は軒並み2桁以上の増収だった。主力の家電の売れ行きが盛り返してくれば増収に転じる可能性は高そうだ。

また、ユニクロ、ニトリ、イオンといった大手量販店もEC強化に注力しており、今後も高い成長が見込まれそうだ。

テレビ通販も堅調、さらなるECポテンシャルに期待

ジャパネットたかた、ジュピターショップチャンネル、QVCジャパンらテレビ通販勢も買い回りを促すサイト内の導線整備やEC独自コンテンツの拡充、通販アプリの使い勝手向上などでネット販売売上高を堅調に伸ばしている。

高い知名度と膨大な顧客数を背景にECでもまだまだポテンシャルを秘めており、ECのプレイヤーとしても存在感が高まっていきそうだ。

◇◇◇

表の見方

調査は2024年7~8月、通販・通教実施企業約1000社に対して行った。無回答の企業に関しては本誌や姉妹紙「週刊通販新聞」の取材データや公表資料、民間信用調査をもとに本誌推定値(「※」)を算出。社名横の「受」は受注比率から算出した売上高を示す。
BtoCでもデジタルコンテンツやチケット販売、宿泊予約、金融などの非物販に加え、オフィス用品などBtoBも調査対象から外した。

対象決算期について「前期実績」は2023年6月から2024年5月に迎えた決算期。増減率は前の期の数値が判明していない企業や変則決算のため比較できない場合については掲載していない。表内項目の「EC化率」は原則、総通販売上高に占めるネット販売売上高の占有率。一部、総売上高に占めるネット販売売上高の占有率となる。

表中、企業名横の「◎」は次の理由による。

  • 1位のアマゾンジャパンは広告事業やクラウドサービス事業などの物販以外の事業を含むアマゾンの日本事業の総売上高。
  • 3位のZOZOは会計上の売上高で商品取扱高(流通総額)は5743億7300万円。
  • 4位のヤマダホールディングス全体におけるEC関連売上高の推定値。子会社ヤマダデンキにおける「ネット事業・テレビショッピング事業」の売上高は857億1900万円だった。
  • 6位のビックカメラはコジマ、ソフマップを含むグループにおけるネット通販売上高の合計。
  • 7位のオイシックスはBtoCサブスク事業の売上高。
  • 9位のニトリホールディングスの増減率は13か月の変則決算だった2022年度との比較値。
  • 12位のアダストリアはモール経由を含めた国内の全EC売上高。
  • 13位のノジマはEC含めたインターネット事業全体の売上高。
  • 15位のDCMホールディングスは子会社エクスプライスとDCMのEC事業合算値。エクスプライスの2024年1月期売上高は612億5800万円だった。
  • 17位のベイクルーズはモール経由を含めた全EC売上高の推定値。
  • 21位のパルはモール経由を含めた国内の全EC売上高。
  • 22位のオンワードホールディングスはモール経由を含めた国内EC売上高。
  • 23位のワールドはグループのEC売上高合計で前期は11か月の変則決算
  • 27位のオールアバウトライフマーケティングは「サンプル百貨店」と「dショッピング」を合算した取扱高。
  • 28位のキタムラは宅配売上と店舗受取売上を合算した「EC関与売上」の推定値。
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