「キャリア形成とライフステージの変化を前向きに楽しんで」。管理職と2児の母を両立するルームクリップの田中GMに聞く自己実現するための考え方
2024年の「ネットショップ担当者アワード」で「ワークライフバランス賞」を受賞した、家具とインテリアのECを展開するルームクリップのKANADEMONOカンパニーの田中ゆみえ氏は、管理職と子育てを両立する2児の母だ。EC担当者のキャリア形成と私生活の両立のロールモデルとなる田中氏に、ネクトラスの代表取締役でアワード選考委員長の中島郁氏が、受賞を振り返るアフターインタビューを実施した。

2024年ネットショップ担当者アワード 「ワークライフバランス賞」受賞
田中ゆみえ氏

ネットショップ担当者アワード 選考委員長
中島 郁 氏
11月6日(木)、第3回「ネットショップ担当者アワード」授賞式を開催します! 東京・赤坂インターシティAIRにて14時25分から開会。参加無料(事前登録制)です。ふるってご参加ください! ★第3回授賞式・受賞者の詳細はこちら:https://netshop.impress.co.jp/award/2025/ceremony |
「ワークライフバランス賞」受賞を振り返って
中島郁氏(以下、中島氏):田中さんは子育ての傍ら、創業期から、ルームクリップが展開するパーソナライズ家具ブランド「KANADEMONO」の事業を支えてきた。
「KANADEMONO」を管掌する“KANADEMONOカンパニー”の商品不良率を7割削減、商品単位の輸送コストをピーク時の7割削減するなど、大きな成果をあげている。ワークライフバランスの両立が素晴らしいことが受賞の要因になった。2人のお子さんを育てながらだと毎日の出社は厳しいと思うが、働き方は?

田中ゆみえ氏(以下、田中氏):現在はリモート勤務が中心で、出社は多くて週2回くらい。週に1回は必ず出社するようにしている。
普段のトラブル対応や新しい施策は現場のメンバーが対応している。業務の意思決定をするメンバーは女性が多い。私と同じように、子育て中の女性メンバーも多く在籍している。
中島氏:KANADEMONOカンパニーでは、会社の方針として田中さん以外のリモートのメンバーにも責任のある仕事を任せている。これはやはり、売り上げに結びつく結果をしっかり出せているのが大きいように思う。
田中氏:私生活と両立しながら働きやすい、リモート環境を中心とした現在の働き方を続けるためにも、私を含めメンバー全員、仕事で成果を出そうと思っている。現在、社内のメンバーは生き生きと働くことができている。
人材採用でポジティブな効果
中島氏:受賞後の社内・社外での影響を教えてほしい。
田中氏:社内については、「ワークライフバランス賞」の受賞が人材採用に良い影響が出ている。採用の応募者のなかには、事前に2024年のアワード受賞者としてインタビューを受けた私の記事を読んでくれた人もいる。
いまどきは多様な働き方に魅力を感じて応募する人も多い。働き方の事例として私自身の話をし、会社としての強みをよりアピールできるようになった。採用という切り口から、自分の実務以外でも会社に貢献できてうれしい。
中島氏:実務でも貢献し、後進がめざすEC人材の例としても貢献できている。まさに働き方のロールモデルとして会社に貢献されている。
田中氏:受賞は家庭でも良い影響があった。今まで、社会に対して「自分に仕事を任せてほしい」という思いを抱えてきた一方、仕事量が増えると家庭に負荷をかけている気もしており心苦しい思いがあった。
2024年の表彰式で一緒に登壇した二人の子どもたちは、私の受賞を喜んでくれて、「おめでとう」「いつもありがとう」と言ってくれた。母が日頃頑張っていることが、受賞という1つの形で実ったということをわかってくれたと思う。
報われた気持ちになったし、さらなるやる気の向上にもつながった。貴重な体験を家族でさせてもらい、一生の思い出になった。

EC業界のプレーヤーから注目
中島氏:受賞にあたり、社外の反応はどうだったか。
田中氏:ルームクリップや「KANADEMONO」に関心を示してくれたのはもちろん、ワークライフバランスに興味がある人たちからの声がけが増えた。「子育ての傍ら、具体的にどう働いているの」と聞いてくれる人もいる。
2024年の授賞式当日は、EC業界のたくさんのプレーヤーからお声がけいただいた。「育児をしていた当時を思い出した」という女性や、今まさに育児中の男性もいた。これは社外での活動ならではで、非常に良い機会をもらえたと思う。
ECは利用者が増えていく一方で、運営側の人材は不足している。未来のEC人材を育成するためにも、関心をもってもらうことが大事なのは確か。EC業界で活躍しながら、自由な働き方ができることをアピールしていきたい。
「ネッ担アワード」はEC業界の知られざる功労者が見つかる場
中島氏:「ネットショップ担当者アワード」は、EC業界に興味をもってもらって業界で活躍する人を増やすこと、そしてEC業界の人材に光を当てることを目的に開催している。受賞者としてアワードをどのようにとらえているか。
田中氏:私が率いるチームは元来、矢面に出て何かの賞をいただくようなポジションではない。今回の受賞はまれなことだ。でも、だからこそ「ネットショップ担当者アワード」が普段はスポットライトが当たらないスタッフ個人にフォーカスするのは、モチベーション向上につながるし、EC業界における新しい取り組みだと言えると思う。
アワードの授賞式は、ECの裏側にどのような仕事があり、どのような自由な働き方をしているかを伝えられる場になった。人にフォーカスしてECの知られざる部分を伝えられる貴重な機会になったと思っている。
キャリア形成もプライベートも充実をめざせる時代
中島氏:最後に、今EC業界でのキャリア設計に悩んでいる人と、これからEC業界でキャリアをつくろうとしている人にアドバイスをしてほしい。
田中氏:キャリアプランとプライベートをどう両立していくかを考えて前向きに取り組んでほしい。そういう社員を会社も大事にするべき時代が来ていると思う。悩んでいる方に寄り添ってくれる会社は、ルームクリップに限らずあるはず。人生を楽しんでほしい。
ECでのキャリア設計においては、ロールモデルが社内にいればやりやすいのは確か。ただロールモデルがいなかったとしても、あきらめず切り拓いていってほしい。
大手企業に勤め、実績もある30代ぐらいの女性が、自社での働き方に壁を感じてルームクリップに応募してくることがある。ルームクリップに応募してくれることはもちろんうれしいが、その一方、その方が在籍中の企業に対して「せっかく意欲も実績もあるのに、働き方のせいでこういった人材を手放すことになるのはもったいないことだな」と思う。
人がライフステージや生き方を変えることがあっても、企業を離れる選択をするのではなく、従前までのキャリアを持続できるほうが良いはずだ。
中島氏:田中さんには、ワークライフバランスをまさに体現するロールモデルとしてさらなる活躍を期待している。
11月6日(木)、第3回「ネットショップ担当者アワード」授賞式を開催します! ★第3回授賞式・受賞者の詳細はこちら:https://netshop.impress.co.jp/award/2025/ceremony |