ディー・エヌ・エー(DeNA)は西友やサンドラッグと連携し、ECサイトを開設するなど、食品・日用品の取り扱いを強化してきた。DeNAショッピングの流通額を大きく伸ばすことができたが、既存出店者の売り上げを伸ばすことはあまりできなかったという。2015年は再び既存出店者の売り上げ拡大に注力する考えだ。出店者の売り上げを伸ばす施策は? 田中慎也ショッピングモール事業部長に話を聞いた。

食品、日用品EC強化も、出店者の売り上げを伸ばせなかった

――DeNAショッピングが2014年で特に力を入れてきたことは。

大手小売り事業者と協業をして、食品・日用品領域を強化してきました。共通のIDポイントを使うことで、買い回りを促進し、モール出店者の商品の流通額も増えると考えたためです。

食品・日用品領域を強化したことで、いままで「DeNAショッピング」でアプローチできていなかった主婦層を獲得することができ、モールの流通額を伸ばすことができました。ただ、当初想定していたようなカテゴリー間の買い回りは少なく、日用品を買うユーザーは、獲得したポイントを日用品に使うなど、モール出店者の流通額を伸ばす効果は期待値までは達しなかったと感じています。

そのため、下期からはカテゴリーに特化したマーケティングを行っていく戦略に変更しました。

また、2014年はKDDIさんが「au WALLET」を開始し、「au WALLET」で貯めたポイントを利用できるECサイトとして連携を強化しました。「auショッピングモール」を押し出していただき、auユーザーに対する認知度はこの1年でかなり浸透したと感じています。実際、成果としても家電など型番がある商品の動きが活発になってきています。

「DeNAショッピング」でもポイント連携を進め、三菱UFJニコスが発行しているクレジットカードのポイントを交換せずに、そのまま1ポイント3.5円で利用できるサービスを始めています。新たなユーザーを獲得できるようになってきています。

――セール展開はどのように行ってきましたか。

これまでもセールを実施してきましたが、他社の大型セールのような定期的に開催するセールはありませんでした。そこで、2014年11月末から3か月に1回のペースで、ポイントが最大で40倍になる「ラッキーセール」を開始しています。セールの反応もとてもいいので、今後も定期的に開催していく予定です。

――出店者数については、ヤフーショッピングの出店料無料化の影響もあり、厳しくなっています。この状況をどう捉えていますか。

従来は商品数の多さが重要だと考えてきましたが、スマートフォン経由の売り上げが中心になってくるなかで、商品の数よりも、商品力の高い商品をしっかり並べることの方が重要だと位置付けるようになってきています。また、1店舗あたりの売り上げをしっかり高め、店舗から満足していただけるようにしていくことの方が、今後は重要だと考えています。そのため、出店者数自体にはこだわりがなくなっているので、影響は小さいと考えています。

流通額が伸びる一方、出店者数は大きくマイナスに(出典は2014年度第3四半期決算説明会資料)

専門サイトを作り特化した商品を掲載、DeNAショッピングは商品データベースのような役割へ

――2015年はどういった取り組みを行っていく計画ですか。

買い回りに関しては同一カテゴリー内で発生する可能性が高いことがわかりました。最近ではあるカテゴリーに特化したサービスが人気になってきているため、ショッピングにおいても1つのカテゴリーに特化した商品をたくさん展開していこうと考えています。

たとえば、女性ファッションであれば、女性ファッションに特化したサイトの見せ方や購入できるようなサイトを作ります。そこに、DeNAショッピングで販売している女性ファッション商品だけを表示するという形式を考えています。つまり、将来的にDeNAショッピングは商品データベースのような役割を果たし、このサイトに登録されている商品をそれぞれ特化したメディアで紹介していくという戦略を進めていきます。また、カテゴリーによっては大きく見せ方を変える必要性が出てきたり、モール全体とのユーザー属性が異なる場合は、カテゴリーの切り出しも検討していきたいと思っています。

もちろん総合モールとして「DeNAショッピング」でも当該商品は売っていきますが、完全に切り離したサイトをいくつも作って、売り上げを作っていきたいと思っています。

――すでに始まっている特化サイトはあるのでしょうか。

商品カテゴリーでの切り出しではないのですが、当社のサービスで「SHOWROOM」というライブ動画配信サイトがあります。商品を紹介する動画を流し、購入につなげる取り組みを行っています。

2014年に買収したキュレーションメディアの「iemo」(住まいに特化したまとめサイト)や「MERY」(女性向けファッションのまとめサイト)については、現状はまだ連携できていません。今後DeNAショッピングと連携した新たな取組みを検討していきたいと考えています。

また、DeNAショッピングが最も強いファッションジャンルに関しては、これまで、若年層向けに偏り過ぎ、サイト全体では20代前半くらいまでの女性を対象にした派手なものになっていることが多かった。そのため、30代女性などは自分の雰囲気と異なるとすぐ離れてしまうことがありました。今後はそれぞれの年代やテイストごとに特化したサイトやウェブマガジンを展開することで、幅広いテイストのファッションが売れるようにしていこうと考えています。

――特化サイトへの掲載は、御社側が選択して掲載するのか、それとも店舗側が立候補する形になるのでしょうか。

両方だと考えています。まずは当社側で確実にそのサイトのイメージに合う商品を選んで掲載するとともに、出店者にはサイトの内容を紹介して、そのイメージに合った商品を提案してもらえるようにしていこうと考えています。店舗さんとのコミュニケーションはこれまでと比べ格段に増えていくと思います。

――2015年中にいくつの特化サイトを立ち上げる計画ですか。

チャレンジ領域と位置付けています。それぞれのサイトで細かく分析しながら立ち上げていこうと考えているため、具体的な数字はいまのところありません。ただ、できるだけ多くの特化サイトを立ち上げて、さまざまな実験を行っていこうと考えています。サイト内でエッジの立った特集、企画、ウェブマガジンなどのメディアを立ち上げ、場合によっては別サービスとして独立させることも視野に入れています。他のモールでは売れないけれども、DeNAショッピングに出店して、特化サイトで紹介されたことによってヒット商品になったというケースが出てくるようにしていきたいと考えています。

――「auショッピングモール」の2015年の施策は。

KDDIとしても「au WALLET」で貯めたポイントの利用先として、「auショッピングモール」をさらに活発化していこうという方針です。2015年は「WALLETポイント」を持っているユーザーが数多く「auショッピングモール」を利用するでしょう。これまで、「auショッピングモール」を利用したことがなかったユーザーも新しく増えてくると思いますので、ショップにとってはチャンスになると思います。

キュレーションサイト「iemo」では家具や生活雑貨などの商品を販売していく予定
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中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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