シニア世代の健康食品購買、通販・ECで狙うは「健康賢者型 健康長寿予防層」「健康投資型 情報収集アクティブ層」
電通ダイレクトは消費者の「行動スイッチ」を発見し、ダイレクト広告の成果最大化をめざす分析ラボを立ち上げ、健康食品市場における購買動向を分析したレポートを公表した。
調査は、全国の50歳以上の男女600人を対象に実施した「シニア世代における商品・サービスの購買動向調査―第1回『健康食品篇』―」。物価高騰や老後資金への不安など、厳しさを増す経済環境のなかで、健康食品市場の主要顧客であるシニア層の購買マインドや行動がどのように変化しているかを明らかにし、今後の市場動向を予測するために調査を実施した。
健康食品を利用するシニア層の6タイプ
健康意識や消費行動の違いに基づき、健康食品を利用するシニア層を独自のクラスター分析で6つのタイプに分類。健康食品を利用するシニア層の6タイプは次の通り。
- コスパ重視型 実感重視ヘルスケア層(9.5%)
- 健康投資型 情報収集アクティブ層(4.7%)
- コスト抑制型 運動重視シニア層(8.2%)
- マイペース型 ライトケア層(6.1%)
- 健康賢者型 健康長寿予防層(11.8%)
- トレンドフォロー型 メディア頼り層(8.9%)
通販・EC事業者が特に注目すべきは、ターゲットボリュームが大きい「健康賢者型 健康長寿予防層」と、支出額が高い「健康投資型 情報収集アクティブ層」。
特に「健康投資型 情報収集アクティブ層」は推計約268万8000人にのぼり、サプリメントへの月平均支出額は1万2124円と、全体平均の約6472円の約1.8倍。「健康のためには時間と費用を惜しまない」と考え、医師や専門家の推奨、クチコミ・レビューを重視し、自ら納得するまで情報を集めるアクティブな層という。この層へのアプローチには、公式サイトのコンテンツ充実や、信頼性の高い第三者情報の発信が効果的だとしている。
健康食品・サプリメントの支出動向
健康食品・サプリメントを利用している人のうち、全20カテゴリー中19カテゴリーで「支出に変化がない」と回答。物価高による買い控えは限定的で、多くの人が「健康食品を生活必需品」と捉えている可能性があることがわかった。
さらに、多くのカテゴリーで「3年以上継続利用している」と回答しており、健康食品が生活に深く定着している。
健康食品・サプリメントの利用中止理由
一方で、利用を中止した理由のトップは「効果を実感できなかったから」。物価高を理由とする回答を大きく上回り、シニア層が価格以上に「効果実感」を重視していることが明らかになった。
健康食品・サプリメントの購買行動
購買行動では「テレビで知り、ネットで吟味」が定着。認知経路はテレビCMが中心だが、比較・検討段階では公式サイトやECモール、クチコミサイトを重視しており、衝動買いではなく、慎重に情報を見極めた上で購入に至る傾向が見られた。
電通ダイレクトでは、「シニアの健康食品市場は、単なる価格競争から『信頼と実感の価値競争』へと移行している」と分析。顧客像をより詳細に把握し、「健康投資型」などの優良層に最適化されたコミュニケーション設計を行うことが今後の成長の鍵になると指摘した。
また、オフラインでの認知からオンラインでの情報理解、信頼できるクチコミ醸成まで、一貫した顧客体験のデザインが求められているとまとめた。
調査概要
- 調査手法:インターネット調査
- 調査機関:ネオマーケティング
- 調査時期:2025年6月2日(月)〜6月3日(火)
- 調査対象:全国の50代以上の男女で、健康食品を自ら購入・使用している人
- サンプル数:600サンプル(スクリーニング調査は2142サンプル)

