政府はヤマト運輸の配送問題をどう考えているか。国交省大臣の見解は?
石井啓一国土交通大臣が「ヤマト運輸のサービスの見直し」などに言及した。
3月3日に衆議院分館第18委員室前で開かれた記者会見。石井大臣は記者団の「ヤマト運輸のサービスの見直し」について次のように回答した。
インターネット通販などが非常に発達をしてきて、小口多頻度の宅配が増えているということから、特に宅配業においては、荷物量が非常に多くなっているということが背景にあると思います。
それから非常にサービスも、深夜に頼んでも翌日に届くようなものも出てきているということで、これは末端の物流業者にとっては相当の負担がかかっていたのではないかと思います。こうした長時間勤務等の背景があり、また賃金も他の業界に比べて安い、人手不足という状況もございます。そうしたことから、ヤマト運輸が今回、サービスの上限を決めるということになってきたと思います。
こうしたことを踏まえ、国交省としての対策を表明。
国土交通省としてはやはり、今後とも物流業界がその役割をきちんと果たしていくためには、担い手をきちんと確保するという面で、長時間労働の是正や処遇の改善、これで担い手を確保するとともに、やはり生産性の向上をしっかりとやっていく、特に宅配については再配達が非常に多いわけで、今は2割ぐらいになっております。
宅配事業者3社によるサンプル調査では、宅配便の約2割が再配達となっている現状が判明。2015年の宅配便個数から算出すると、7.4億個分にものぼる計算になることがわかっている。
石井大臣は現状を踏まえ、次のように述べた。
今、鉄道ターミナル等で宅配業者の共同の宅配ロッカー等の設置も進めております。あるいはトラックでいえば、荷待ち時間が非常に多かったり、いろいろな荷物を積み下ろす時に荷役作業を手伝わされたりなどがありますから、荷主さんとも協力をいただいて、全体的な効率を向上させていく、私たち「物流生産性革命」と申し上げていますが、それをしっかりと進めていくということが重要だと思っています。
国交省は2016年、経済成長の実現をめざし社会資本や観光、物流などの施策を総合的に推進することを目的にした生産性革命本部を省内に設置。「生産性革命プロジェクト」として物流問題の改善といったプロジェクトを進めている。
物流に関するプロジェクトを進めるのが「オールジャパンで取り組む『物流生産性革命』の推進」。2020年度までに物流事業の労働生産性を2割程度向上させることを目標に設定。2割に達している宅配便の再配達の改善など、物流分野のさまざまな非効率業務を改善し、生産性向上による将来の労働力不足の克服をめざしている。